下高井戸の商店街に開かれた、北海道・中川町のサテライトスペース『ナカガワのナカガワ』のリニューアルプロジェクト

With 中川町地域開発振興公社

Overview

雄大な北海道の大地が感じられる
あたたかい店舗空間

中川町は北海道北部の内陸に位置し、北見山地や天塩山地、そして天塩川といった豊かな山川に囲まれたのどかな町。遠く離れた両町のお付き合いは、2001年から中川町の特産品を下高井戸商店街の催事で販売し始めたことがきっかけでした。『ナカガワのナカガワ』では農産物や地元作家による木工プロダクトなどを展示販売しながら、地域住民の方とのつながりを育んできました。そしてオープンから4年が経ち、より情報発信機能を強化したスペースにしたいという相談を、姉妹都市ならぬ「姉妹森」協定を結んでいる飛騨市のヒダクマへ持ちかけます。
主要産業が林業であり、持続可能な森を起点としたまちづくりを目指す中川町と飛騨市。ヒダクマチームは中川町へ足を運び、実際に森を見て感じたことを生かし、情報発信拠点としての在り方を検討し、家具製作プロジェクトを進めます。お店に立つスタッフとの意見交換も重ね、下高井戸地域の人たちが気軽に立ち寄り、展示やワークショップを通じて中川町と交流を図れる場所を目指しました。
雄大な北海道の大地が感じられる、あたたかい店舗空間へと生まれ変わりました。

Project 自然とコミュニケーションが生まれる場に適した、優しい風合いの家具たち
呼吸する「木口建具」

What we did コンセプト策定
木材コーディネーション
家具設計製作
家具製作ディレクション
Credits クライアント:中川町地域開発振興公社
コンセプト策定:松本 亮平(株式会社ロフトワーク Layout Unit)、門井 慈子・黒田 晃佑(ヒダクマ)
建築設計:tomito architecture 担当:冨永 美保+林 恭正
解体・改修工事施工:株式会社ルーヴィス
木材コーディネーション・家具設計製作・家具製作ディレクション:黒田 晃佑・門井 慈子
製作:田中建築、小倉鉄工、谷本建具、飛騨職人生活、トキワランバテック、西野製材所、TIME&STYLE(順不同)
写真:三嶋 一路
Period 2020年8月〜2021年3月

Viewpoint 建築家 冨永 美保さんの視点

冨永 美保
Miho Tominaga
tomito architecture 代表

中川町の森をご案内いただく中で、「キツツキが虫を捕食するために開けられた穴が森の生態系において欠かせない」という話がとても印象的でした。個体数が少ないながらも生態系へ大きな影響を与えるキーストーン種の振る舞いが、森の様々な動植物に連鎖していく現象です。その現象のように、
中川町のアンテナショップも、いわゆるお店っぽいものではなく、小さいながらも下高井戸の日常の中に溶け込んでいける場になれないか考えました。下高井戸も見た目は違えど、森の生態系のように様々な異なる建物や年齢層、人々が混じり合っています。町の看板や中川の魅力を伝える商品、工芸品を引き受ける屏風のような建具が、中川が下高井戸へ手紙をしたためるような対話の媒体となり、多くの人に中川町の魅力が発信され伝わることを祈っております。

冨永 美保+林 恭正
tomito architecture

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