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森の役割、人との関わり

飛騨の森はどんな環境と役割を持ち、人との関わりのなかでどのように更新しているのでしょうか。ここでは、飛騨の森の現状や地域の歴史・文化とともに、飛騨に訪れる人、地域の人々、行政、ヒダクマの関わりの一端をご紹介します。

飛騨の森とともにある地域の営み

広葉樹が豊富な飛騨の森

飛騨市は、岐阜県の最北端に位置する人口およそ22,000人の町。北は富山、南は高山市、西は白川村に接しています。周囲は3,000mを越える飛騨山脈などの山々に囲まれ、宮川、荒城川、高原川の清流があります。
森に入れば、ミズナラ、ブナを中心に多種多様な広葉樹と出会うことができます。飛騨市の森林率は93.4%。うち68%が広葉樹という特徴を持っています。
各地域によって森の事情は様々です。戦中・戦後に森林が荒廃したことから、昭和30年代に国策として針葉樹を植林する拡大造林が全国的に進められました。現在人工林率の全国平均は41%で、地域によっては60%以上が人工林の地域もあります。
では、なぜ飛騨市にある森は広葉樹の割合が多いのでしょうか?その理由はさだかではありませんが、地元の方の話では、飛騨地域は豪雪地帯で、良質な針葉樹が育ちにくいため植えなかったのではないかとのこと。また、当時薪炭利用のため頻繁に山に入っていたとも話してくれました。暖を取るために必要な薪として、針葉樹はすぐに燃えてしまいますが、広葉樹は持ちがよく優秀です。貴重なエネルギー資源としてそのままにし、新たに針葉樹を植えなかったのかもしれません。このようにおそらく厳しい冬が訪れる飛騨ならではの理由から、広葉樹の多い森があります。

優れた技術を持つ大工「飛騨の匠」

日本では古来から近代に至るまで、薪炭や食料、建材や道具などを身近な森から得て暮らし、その中で木の文化も育まれてきました。飛騨の人々は、古くは1万8千年前からこの地に暮らしてきたと言われています。森とともに歩んできた人々の歴史や文化を、飛騨の美しい町の景観や里山の風景、職人たちの技術など、日常から感じることができます。

飛騨の歴史を語る上で欠かせないのが「飛騨の匠」です。
森林資源に恵まれ、木を扱うことや大工仕事に長けた人のいた飛騨では、奈良時代、当時の税を免ぜられ、代わりに里ごとに大工と食事などの世話人を出し、都へのぼらせて寺社の造営修理などの仕事をするよう定められていました。その時代から平安時代の終わり頃まで、1年交代で毎年100人の大工が都で仕事をしていたとされています。
飛騨の匠が関わったとされる有名な建造物として、奈良県にある日本最古の木造建築とされる法隆寺が挙げられます。中世から近世にかけて名工として活躍した人を「飛騨の匠」と呼ぶようになり、それが現在に伝わって、優れた技術を持つ飛騨の大工を「飛騨の匠」と呼んでいます。

(出典:飛騨市学習資料作成検討委員会「ふるさと飛騨市」飛騨市教育委員会 2018年をもとに編集して作成)

飛騨の家具づくり

飛騨地域は、日本有数の家具産地のひとつです。飛騨の匠の文化が根付く飛騨地域で家具づくりが本格的にはじまるのは大正9年(1920年)から。当時薪炭や下駄の歯などにしか使われていなかったブナを、曲げ木の椅子などとして活用しようと町の有力者有志が中央木工株式会社(現飛騨産業株式会社・本社高山市)を立ち上げました。その後、時代の大きな変遷がある中で、飛騨地域に次々と家具メーカーが創業。飛騨・高山は、多くの家具職人の集まる家具産地へと発展しました。

(出典:佐野由佳ほか著「飛驒産業の100年」飛騨産業株式会社 2021年 P.219をもとに編集して作成)

森林資源を活かす「飛騨市・広葉樹のまちづくり」

飛騨の森の広葉樹は、天然更新であることや、急峻な地形、積雪の影響から、自然と木は細かったり、曲がっていたり、ねじれたりしています。飛騨市の広葉樹の平均胸高直径(胸の高さの直径)は26cm。そのような細い木を小径木と呼んでいます。小径木は、歩留まりがわるく、加工などが難しく手間がかかります。さらに多樹種のためバラバラな広葉樹を安定供給することが難しく、家具などの大量生産に不向きのため、一般的に木材としての経済的価値が低いと見なされています。
現在、飛騨市の森から伐り出された広葉樹のうち、95%がパルプやチップとして安価に取引され市外へ流出し、残り5%は家具などの材料として使われています。

飛騨市の豊かな森林資源を活用して持続可能な地域づくりができないか。2014年、飛騨市が立ち上げたのが「広葉樹のまちづくり」です。価値ある広葉樹を育てることと、今ある「使えない」と言われている小径木にアイデアやネットワークなどを活用し、新しい価値を生み出すことにより、広葉樹活用体系の確立を目指しています。
2015年、これまで活用されていなかった小径の広葉樹を活用し、商品の企画・開発・営業・販売を行う新たな事業主体として、クリエイティブ・カンパニーのロフトワークと、全国で森林業のプロデュースを行うトビムシの民間2社と飛騨市が出資する「飛騨の森でクマは踊る(ヒダクマ)」が設立しました。
翌年2016年には同市に林業振興課が新設。森林・林業施策に関する戦略会議として、市民を中心に構成される円卓会議が設置されました。その後も市内広葉樹の資源量調査、森林(川上)の仕組みづくりの強化、スイスからフォレスターを招聘した研修、商品開発プロジェクトの実施や、同じく豊かな広葉樹を有し、森林資源の活用・価値創造に取り組む北海道中川町との「姉妹森」協定集結などが取り組まれました。
2020年には、林業者、木工業者、建築業者と飛騨市・高山市内からなど合わせて17事業者・団体(当時)が参加し、小径広葉樹の販路拡大を目指す連携組織「飛騨市広葉樹活用推進コンソーシアム」を設立。飛騨地域の関係事業者が包括的な連携のもと相互に協力し、新たなバリューチェーンの構築を図っています。
最近では、木材の人工乾燥実験プロジェクトや、スマート林業による資源量調査、広葉樹の森が生み出す水資源等調査の実施など、益々取り組みは活発になっています。

なぜ飛騨?

今、飛騨やヒダクマの取り組みに興味を持って国内外から人々が訪れてくれています。訪れる人は、林業や、木製品の製造業に関わる人々、建築家やデザイナー、研究者、自治体関係者以外に、森や木とは一見関係のない異業種の企業の方々もいます。では、なぜ飛騨に来てくれたのでしょうか。都市や別の地域から飛騨を訪れてくれた方々の関心事をいくつか以下に紹介します。

トレーサビリティ100%

飛騨の強みのひとつは、ものづくりの一連の流れで、誰が、いつ、どこでつくったのかといった透明性・トレーサビリティがあることです。
国産材・地域材を使った空間や家具づくりに注目が集まっています。エンドユーザーや作り手にとって、製品だけではなく、原料調達からの製作プロセスや、背景にある社会的・環境的意義に対し共感できるのかが重要なポイントになっているのではないでしょうか。

地域一体のバリューチェーン

飛騨には、森から切り出された木が製品になるまでの各工程で関わる人々が連携し合い、付加価値を生み出すバリューチェーンがあります。
大量生産された製品によって私たちの生活は格段に快適になりました。しかし、その製品づくりのための効率的な分業システムで作り手は、エンドユーザー、ほかの工程で関わる人々や、素材(原料)そのものから遠くならざるを得ません。飛騨においては、大量の木を動かしているわけではありませんが、そこには森と人、人と人が連鎖する小さな循環があります。

森という時間軸から未来を思考する

木に向き合う飛騨の人々は口を揃えて、「木に無駄なところはひとつもない」と言います。木は長い年月をかけて成長します。林業に関わる人や、飛騨の職人はそのことを自然の理として森や木を尊重し、未来に向けて森や地域、木の技術を育んでいます。飛騨の人々が持つその姿勢は、日々時間に追われている現代の人々に、未来のことを考えるきっかけを与えてくれるかもしれません。

飛騨の職人の先進性と高度な木工技術

飛騨の職人たちは前例のないことにも果敢にチャレンジする精神を持っています。アイデアを形にするための豊富な木の知識、高い技術力がそれを可能にしています。

基盤である地域コミュニティ

ご近所付き合いが盛んな飛騨。挨拶にはじまり、夏は日々きゅうりや野菜の漬物をもらったり、冬は雪かきを互いに手伝い合う関係。美しい町並みや里山、祭りも、地場産業や福祉、教育なども、地域のコミュニティが守りつないでいるからこそ続いています。飛騨では、ともに生きるためのコミュニティの持つ力を感じることができます。

飛騨の森×クリエイティブ

ヒダクマは、ロフトワーク・FabCafe・トビムシの持つネットワークを活用し、世界中から訪れる人々と飛騨との結節点であり、世界と地域、都市と地域、地域と地域を、森を起点にクリエイティブの力でつないでいます。
最新のテクノロジーと手仕事を融合し、建築家やデザイナーと飛騨の職人との協働で、広葉樹を活用したユニークな家具や空間をつくったり、様々な分野の専門家やクリエイターとともにフィールドワークや森の調査・研究、森の恵みを活かした商品開発や空間利用なども行っています。
森の価値・循環の更新に必要なのは、関わる内と外の人々の多様な視点が、時にぶつかり合い、時に調和しながら、ともに創造すること。飛騨にはその環境があります。
100年先の未来に向け、一緒に森の価値を更新しませんか?

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