森と人とをつなぐ空間 ー小径広葉樹が大きく生まれ変わった日ー
Overview
象徴的な広葉樹の大きな面で、応接室と森とまちをつなぐ
飛騨の木を使って、飛騨市役所の応接室をリニューアルするーー。「広葉樹のまちづくり」を進める飛騨市の活動を、市内外の人々に広く発信することを目的に発足したプロジェクトです。プロポーザルを経て、矢野建築設計事務所とヒダクマは、共同でプロジェクトを統括しました。リニューアルのコンセプトは、「象徴的な広葉樹の大きな面で、応接室と森とまちをつなぐ」。
空間を構成する、天井、ハイバックベンチ、テーブルのみっつの大きな面は、それぞれ小径広葉樹の小ささを大きさに転換する試みがなされました。明るく開放的になった応接室は、本来の機能を備えつつ、新たな活用シーンを想像できる空間になっています。
夜になると、天井の大きなシェードの光がまちを明るく照らします。
Project 多義的なプロダクトと、開放的な空間
What we did | プロジェクト総括・プロデュース 広葉樹コーディネーション 製作ディレクション |
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Credits | クライアント:飛騨市 プロジェクト総括・プロデュース:岩岡 孝太郎(ヒダクマ) 広葉樹コーディネーション:松本 剛(ヒダクマ ) 製作ディレクション:浅岡 秀亮・飯山 晃代 (ヒダクマ) プロジェクト総括・建築設計:矢野 泰司・矢野 雄司(矢野建築設計事務所) 建築設計:杉浦 哲郎 広葉樹調達協力:飛騨市森林組合、株式会社柳木材 広葉樹製材:株式会社西野製材所 工事管理、解体工事、内装工事、造作家具工事:田中建築 造作家具製作:ノナカ木工所 椅子製作:飛騨無垢屋 電気工事:株式会社MIYAJIMA 塗装:田中塗工 床施工(左官):有限会社丸藤工業 ブナシェード突板加工::片桐銘木工業株式会社 竣工写真:長谷川 健太 |
Period | 2019年7月〜2020年3月 |
Viewpoint
私たちは今回の設計を進めていく中で、広葉樹の魅力を伝えるだけでなく、既存のRC建物が持つがらんどうな空気感や角部屋ならではの開放感を活かしながら、市民に開かれた応接空間にしたいと考えました。形式的な応接室としての利用だけにとどまらず、使い手の創意によって気軽に活用方法を考えることができるように、各々の造形にはおおらかなスケールと複数の意味や効果を与え、一義的に解釈が定まらないように検討を進めていきました。
集まる人たちやプレートの並べ方、自然光や照明の調光具合、季節によって部屋の様相は変化し、それに応答するような使い方が発見される事を期待しています。