ふたつの森が丸ごと天板にお引越し。Forest Bankが示す環境の価値
Overview
淺沼組名古屋支店の改修プロジェクトで、テーブル天板に採用された森林資源を活用したマテリアル
デザイナーの狩野佑真氏(STUDIO YUMAKANO)が飛騨に滞在して制作したマテリアル「Forest Bank」を使ったテーブルが、2021年9月16日にリニューアル工事を終え竣工した淺沼組の名古屋支店を彩っています。
社屋は同社が推進する「人間にも地球にもよい循環」をつくり上げる「GOOD CYCLE BUILDING(グッドサイクルビル)」の第1弾で、設計は川島範久建築設計事務所と淺沼組設計部の共同によるもの。資源の循環に配慮した素材や技術を各所に採用しています。
「Forest Bank」は板をはじめとした木質素材とは異なり、森を丸ごとマテリアル化して生かせる特徴を持っています。そこには、伐採現場に残されるいわゆる林地残材や、木の実や朽ち木、根といった森の要素も含まれています。
ヒダクマはテーブル天板の製作にあたり、森林素材の調達からディテール設計、製作ディレクションを担当。飛騨の森、そして淺沼組名古屋支店のファサードで使用された吉野杉の伐採現場、これらふたつの森で集められた素材をものづくり拠点へ持ち込み、ヒダクマメンバー総出で狩野さんをはじめプロジェクト関係者とともに製作にあたりました。
Project ”森の豊かさ”をありのままに表現する
What we did | 森林素材調達・製作・製作ディレクション |
---|---|
Credits | クライアント:狩野 佑真|STUDIO YUMAKANO 製作ディレクション:門井 慈子(ヒダクマ) 製作:studio yumakano|狩野 佑真、TAKT PROJECT、門井 慈子・志田 岳弥・浅岡 秀亮・黒田 晃佑・松本 剛・岩岡 孝太郎(ヒダクマ)、川島範久建築設計事務所、飛騨職人生活、アーティストリー 協力:西野製材所、飛騨市森林組合、神岡林業協同組合、岡田 善徳氏 竣工写真:長谷川 健太 |
Period | 2021年6月~2021年8月 |
Viewpoint 狩野 佑真さんの視点
そもそもは”森の豊かさ美しさ”をそのまま表現したいというコンセプトから生まれたForestBankマテリアル。今回のプロジェクトでは森の素材のみならず、建設現場の端材や残土まで混ぜ込み有効活用しました。完成した天板には”森の生の素材”と”現場で人工加工された木材”が混ざり合った完全オリジナルの模様が表れました。森林や現場の素材だけでなく、このプロジェクトに関わった様々な”記憶”までもがこのマテリアルに封入されていると思います。
木材は人々の生活には欠かせない素材。今後、様々なプロジェクトを通して、また新たなForestBankが生まれることを楽しみにしています。