道玄坂上を走る、なだらかなテラス什器の稜線
Overview
渋谷の喧騒を柔らかく受け止める。
1回の信号待ちで3,000人が行き交う交差点を要する町、渋谷。
人々のエネルギーが集まる町の中で、FabCafe Tokyoは新しいものづくりを楽しむクリエイターのコミュニティスペースとして、2012年より道玄坂上で運営を続けています。そんなFabCafe Tokyoの屋外に設置するテラス什器の設計・製作を、伊藤維建築設計事務所とヒダクマで行いました。
設計・製作は、カフェのオープン・クローズにあわせて設置・撤収を繰り返すという使い方に合わせて、仮設式の仕様で進めました。テラスに設置するテーブルには、広葉樹のノタ材(樹皮付きの板材、直線部分がとれないことから通常天板には使われない)をテーブル用の材料として採用し、できるだけ加工を加えない方法で製作しました。
多くのビルが立ち並び人工的な直線で囲まれた都市環境の中で、自然形状を活かして製作したこの什器は、緩やかなカフェのテラス環境を提供しています。
Project
What we did | 製作ディレクション |
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Credits | クライアント:株式会社ロフトワーク、FabCafeTokyo 設計:伊藤維建築設計事務所 ディレクション:金岡大輝(FabCafe Tokyo) 製作ディレクション:黒田晃佑(ヒダクマ) 製作:ノナカ木工所、藤井製作所、日下塗装、トクゾウ(植栽)、株式会社DOSO(テキスタイルPD)、Watanabe Textile(テキスタイル製作) 竣工写真:表萌々花 |
Period | 2021年12月~2022年4月 |
Viewpoint 伊藤維建築設計事務所 伊藤維さんの視点
簡単に組立解体のできる家具を、できればなにか「余りもの」の木材でつくろうと考えつつ飛騨に向かいました。製材所の片隅に積まれていたこの耳材たちに出会い、想像を膨らませた瞬間に、一気に方向性が決まったと思います。それらは(角材よりもずっと)野生の縮図のようなかたち・質感を持っていて、同時に「カフェのテーブル天板は全面が平らでなくても良いのでは」という発見を与えてくれました。その出会い・発見の鮮度のようなものを保てるように、と思いながらプロジェクトの詳細を詰めていきました。頼もしい製作チームのおかげで素敵な屋外家具が完成したと思います。