「THE SUN & THE MOON」の
エシカルなティースタンド
Overview
フードを引き立てる、ほどよい木の個性
2021年4月27日、MOON FOREST(月の森)をテーマにリニューアルしたミュージアムカフェ&レストラン「THE SUN & THE MOON」(六本木ヒルズ森タワー52F)。リニューアルを機に製作されたアフタヌーンティーとハイティーのスタンドの全体デザインを手掛けたのは、建築家の黒川彰さん(Sho Kurokawa architects)と内田奈緒さん(nao architects office)です。六本木ヒルズ森タワーと月をイメージした美しいシルエットが目を引きます。ヒダクマは、木製プレートを広葉樹の無垢材で製作しました。無垢材の中でも、飛騨の森を育てることとつながるものを厳選。テーブルについた人々が、本物の木が持つ個性を感じながらも、色とりどりのフードとともにティータイムやディナータイムを楽しめるバランスを、製作の中で模索しました。
Project 浮遊感のある満月のような広葉樹プレート
What we did | 木材コーディネーション・製作・製作ディレクション |
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Credits | クライアント:ソルト・コンソーシアム株式会社 デザイン:黒川 彰(Sho Kurokawa architects 株式会社)、内田 奈緒 (nao architects office) 木材コーディネーション・製作・製作ディレクション:岩岡 孝太郎・浅岡 秀亮・松山 由樹(ヒダクマ) 製作:飛騨無垢屋 |
Period | 2021年1月〜4月 |
Viewpoint 建築家 内田 奈緒さんの視点
東京の中心のある飲食店でアフターヌーンティーを通じて、どこまで広い世界との繋がりを感じ取ってもらうか、を考えるプロジェクトでした。スタンドは、シンプルな幾何学の構成で考えたデザインですが、繊細で無機質なステンレスのフレームに支えられる広葉樹のプレートが持つ、密度のあるストーリーに耳を傾けることで、いくつものスタンドが一堂に会す姿は、窓越しの都市の表情と重なり合う特別な風景となるのではないかと考えました。
今回ヒダクマさんと共同でプレートを作ることで、広葉樹は本当に奥深い、と楽しみつつ試行錯誤することができました。正円の、同じ平面・断面の中から無限の豊かな個性、多様性が生まれるプロセスは、私たちの頭の中の創造性を溢れさせてくれるように感じました。さらに今回、無塗装で仕上げられた状態の素地のプレートの美しさ、鮮やかさを知り抜いた上で、広葉樹の”相対的な質感”をどう位置付けるかがひとつの課題でした。料理に対するニュートラルな表情や、フレームの素材であるステンレスとの対比におけるあたたかさややわらかさ、軽さ。素材同士の質感の心地よいバランスにおいて、塗装加減なども慎重に決めていきました。
高層ビルの立ち並ぶ都市的な眺望の中で、飛騨の木々が織りなす穏やかな表情は、素材同士が、そして素材と人間が豊かな関係を結ぶことができる空間を実現させてくれたように思います。これからも多くの人たちがここで、アフターヌーンティーを楽しんでくれることを期待しています。