居場所が連なり人と活動が育つ、共栄鋼材「森のなか幸せ工場」

With 共栄鋼材株式会社、徳倉建設、パーシモンヒルズ・アーキテクツ

Overview

4年間の共創が結実した森の生態系ような新工場

自動車業界が急速な変革期を迎える中、鋼材の加工・販売を手がける共栄鋼材は、未来を見据えた人材育成に乗り出しました。その推進力として外部パートナーを迎え入れたことが、現在にいたる一連のプロジェクトのはじまりです。共栄鋼材の皆さんによる飛騨訪問を機にヒダクマに声がかかり、部署や年次を越えた対話の場づくりを重ね、社員一人ひとりの小さな声を拾い上げる仕組みを育てながら、その取り組みは「未来構想空間」や「ハッピーエントランス」「ハッピーテラス」といった、働く環境を更新するプロジェクトへと発展していきました。建築の完成をゴールとするのではなく、運用のなかで気づきを交換し、次の場づくりへとつなげていく。4年半にわたる「チーム共栄」としての継続的なパートナーシップの積み重ねから誕生したのが、新工場「森のなか幸せ工場」です。

「森のなか幸せ工場」の設計を手がけた徳倉建設と連携し、外構をSTGK Inc.、工場を取り囲む約250mにわたる下屋空間をパーシモンヒルズ・アーキテクツが設計。ヒダクマは、その空間に点在する家具や什器の設計・製作ディレクションを担いました。

工場の外へ一歩踏み出すと、建物を巡るように続く下屋空間が広がります。そこは、社内外の人々が自然と集い、休憩や対話を楽しめる居場所です。カフェや事務所、ワークショップスペース、屋内外の休憩室など、それぞれの場に合わせて、共栄鋼材の鉄と飛騨の木を組み合わせた家具が点在し、曲がり木のベンチや鉄のテーブルなどを設えました。交流の中心となるカフェには、マルシェやイベントにも対応できる可動式什器や、分割してミーティングにも使える大型テーブルを製作。日常からイベントまで、用途に応じて柔軟に活用できます。

並行して、新工場に訪れる人々との関わり方やここでの過ごし方を考えるワークショップも実施し、カフェの活用方法や案内マップを考案。ワークショップで生まれた共栄鋼材の鉄を活用したアイデアは、照明や洗面スペース、工場内を見渡すことができるステージなど、新工場の随所に生かされています。

「森のなか幸せ工場」という名前は、単に木々や周囲の風景に囲まれた工場を意味するものではありません。ヒダクマが考える「森」とは、多様な人や活動が生態系のように関わり合いながら育っていく環境のこと。その考えを空間としてかたちにしたプロジェクトであり、これからのものづくりや働き方、働く場所を共に育んでいく新たな出発点となりました。

Project 鉄と木でつくる7つの居場所と家具・什器

What we did ワークショップ企画・運営
プロデュース
プロジェクトマネジメント
家具什器設計・製作ディレクション
Credits クライアント:共栄鋼材株式会社
設計:柿木 佑介・廣岡 周平・中尾 壮宏(パーシモンヒルズ・アーキテクツ)
工場棟 設計:徳倉建設
構造:井上健一構造設計事務所
設備:裕健環境設計
環境:deXen
照明:杉尾篤照明設計事務所
ランドスケープ:STGK Inc.
サイン:SPHERE
造園:T'sガーデンスクエア 
建築施工:徳倉建設、佐伯綜合建設
プロデュース・プロジェクトマネジメント・家具什器設計:岩岡 孝太郎・門井 慈子・今井 瑞紀(ヒダクマ)
家具什器製作ディレクション:門井 慈子・今井 瑞紀・黒田 晃佑・江上 史都・二方 紗耶・鈴鹿 裕子 (ヒダクマ)
家具什器製作:田中建築、藤井家具製作所、谷本建具、すぎした工房、ノナカツールズ、Uワーカーズ、ひだザイの加工所、HOPE、DaLa木工、小倉鉄工、内藤工業、板垣建設
材料提供:柳木材、神岡林業協同組合、カネモク、西野製材所、共栄鋼材、共栄ファスナー
写真(Top、1-2、4、6-7、10、12、14-15、18枚目):中山 保寛
写真(3、5、8-9、11、13、16-17、19-26枚目):ヒダクマ
Period 2022年11月-2026年2月

Viewpoint パーシモンヒルズ・アーキテクツ 柿木さんの視点

柿木 佑介
Yusuke Kakinoki
主宰建築家
株式会社PERSIMMON HILLS architects共同主宰

このプロジェクトは、工場そのものではなく、その周りを対象としています。工場をL型に囲むように全長約250mのたわんだ鉄の屋根を架け、朝日や西日といった低い角度からの日射をやわらげることで、作業環境を守りながら、緑に包まれた明るく開放的な働く場所をつくりました。

屋根の下をどう使うかは、最初から決まっていたわけではありません。事業主である共栄鋼材さん、Hidakumaさん、私たちをはじめとするチーム共栄でワークショップを重ねながら、この屋根が生み出す環境と向き合い、使い方や過ごし方を発見していきました。どこを囲って室内とし、どんな機能を添えようか。そうしたことが少しずつ見えてきて、家具がその場所を具体的な居場所へと育ててくれました。屋根の下には、みんなの「あったら良いな」が息づいています。

建築が使い方を決めるのではなく、人が環境の中で自然と使い方を見つけていく。この屋根は、そのための環境そのものです。

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Hidakuma

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