都市型林業のものづくりで公共空間の支障木に新しい価値を生み出す

Overview
3Dスキャン×コンピューテーショナルデザインを活用した曲がり木のウェーブ
総合建設コンサルタントのパイオニア・中央復建コンサルタンツ株式会社のオフィスリニューアルで、ヒダクマは京都市・宝が池の森の中で支障木として伐採された曲がり木を活用したロングテーブルを製作しました。設計は、デジタル技術を取り込んだ新しいデザイン手法を得意とするエトアスタジオが担当。ヒダクマは製作ディレクションを担い、デジタルと職人技術の融合により公共空間の支障木を生まれ変わらせました。
製作では、3Dスキャンしたデータから出力したカットラインをプロジェクターで木に投影することで、墨付け作業を一部効率化。土台には同じ木から切り出したパーツや、異なる木材でも似た曲がりを持つパーツを隣り合わせて配置し、飛騨の木工職人が耳側に残る有機的なラインに沿って少しずつカットラインがずれるように、複数のパーツを組み合わせることで、設計通りの滑らかなウェーブを形づくりました。天板は木テラゾで左官仕上げとし、テーブル脚が天板面まで貫通しているように見えるデザインになっています。
10m×1.1mになるロングテーブルは、本社1階の交流フロアにミーティングやパーティーなど多様な用途に対応できるよう設置されており、訪れた人は、まちの中の木が家具として新しい役割を果たす都市型林業の実験的な活用例を見ることができます。
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Project 有機的な“曲がり”をデジタルでつなぐ
What we did | ロングテーブル製作ディレクション |
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Credits | クライアント:中央復建コンサルタンツ株式会社 オフィスリニューアル全体・プロデュース+プロジェクトマネジメント:ロフトワーク 設計(ロングテーブル):住友 恵理・河合 晃(エトアスタジオ) 製作ディレクション(ロングテーブル):黒田 晃佑・江上 史都・今井 瑞紀(ヒダクマ) 製作(ロングテーブル):西野製材所、柳木材、やまかわ製材舎、田中建築、ノナカツールズ、Uワーカーズ、内藤工業 木材提供(ロングテーブル):宝が池公園、飛騨市森林組合 竣工写真(ロングテーブル):山内 紀人 |
Period | 2024年10月-2025年03月 |
Viewpoint エトアスタジオ 住友さん 河合さんの視点

宝が池の森の中で自然に育った製材に不向きな木を使うという前提のもと、できるだけロスを出さないために、元々木が持っている曲がりに沿って部材をカットしていきました。
スキャンしたデータを元にカットラインをデジタルで割り出し、切り出したパーツをいかに並べるかをコンピューテーショナルデザインを活用し数百通り検討しました。
最終的に完成したものはバラバラだけど一つのまとまりを持った生命力のある曲面からなるテーブルであり、オフィス空間の中でみんなが集まれる止まり木のような存在となっています。
ヒダクマチームとは設計段階から連携を取り、飛騨の工場で職人さんも交えて直接議論を重ねることができたのが大きかったです!