古都の文化を纏った「SHIRO 大丸京都店」
Overview
古来のものさしが広げる木の活かし方
コスメティックブランド「SHIRO」を展開する株式会社シロは、2023年6月に「SHIRO 大丸京都店」をリニューアルオープンしました。設計を担当したのはDRAWERSの小倉寛之氏。古都の文化を残す「京都らしさ」と自然の素材を無駄なく使う「SHIROらしさ」が合わさる店舗デザインです。木質部が多くを占めるカウンターの設計には、日本で古くから使われてきた尺貫法を採用。また、製品壁の塗料に平安朝以来の伝統色「薄香(うすこう)」を配色したりすることで、来店者と古都の文化が緩やかにつながるつくりになっています。
SHIROの店舗で広葉樹をどう活かすのか。シロ、DRAWERS、ヒダクマは施業が行われる秋の飛騨の森や広葉樹の流通現場を共に訪れ、素材選定や設計・製作に関する議論を重ねました。コンセプトや設計を考慮して、カウンターのリブ材には小径広葉樹の薄材やその端材を採用。無垢の薄材は反りやすく、什器の仕上げ材として活用されることは稀ですが、小径材をさらに小さい幅へと丁寧に加工していくことで、飛騨の森が育んだ木を余すことなく使い切ることに取り組みました。
Project 森に合わせて無駄なく使う
What we did | 飛騨の森ツアー 木材コーディネーション 製作ディレクション(カウンター什器) |
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Credits | クライアント:株式会社シロ 設計・デザイン:株式会社DRAWERS 飛騨の森ツアー:門井慈子、井上彩、松本剛(ヒダクマ) 木材コーディネーション、製作ディレクション(カウンター什器):黒田晃佑、岩岡孝太郎(ヒダクマ) 製作:白鳥林工協業組合、柳木材、ひだザイの加工所 協力:西野製材所、柳木材、カネモク 竣工写真:photo by Keita Sawa |
Period | 2022年11月~2023年6月 |
Viewpoint DRAWERSの小倉 寛之さんの視点
京都からほど近い中部地方(飛騨地方)の山から、国産広葉樹を無駄なく使うことを主軸に、
材種を混ぜた端材活用をメインマテリアルとしてデザインをまとめています。
森の木を無駄なく使うこと、広葉樹の活用をさまざまなプロジェクトで試行錯誤している「ヒダクマ」との協業により、
広葉樹の活用と自然造形をそのままテーブルにしたりというアプローチを実現しています。
壁の塗料は日本の伝統色から選定し、材木とのバランスを計り、
腰のリブ材は京都らしく和の寸法などから引用しながら古都の文化と緩やかにつながるSHIROの店舗を目指しました。
大丸店の今回の区画はまるで京都の碁盤の目の角地にあたる街並みの様で、主導線から路地に入っていく様な構成としています。