人がつくり、地域とつくる「2023飛騨の家具®フェスティバル」
Overview
木工産業の営みを、屋根に結んで
2023年10月21日〜25日に開催された「2023飛騨の家具®フェスティバル」(主催:飛騨の家具フェスティバル実行委員会、協同組合 飛騨木工連合会)で、ヒダクマはメイン会場(飛騨・世界生活文化センター)のテーマブースのディレクション・製作と、イベント(一部)の企画・運営を担当しました。
飛騨の家具®フェスティバルは、「飛騨の新作家具」を一堂に展示し、飛騨の家具のブランド力を発信するイベントです。例年、飛騨木工連合会が制定する飛騨デザイン憲章に基づきテーマが設定され、2023年のテーマは、第2条「人がつくる~人がつくり、人をつくり、人とある~」。テーマブースは、この言葉をコンセプトに、tamari architectsの寺田英史さんが設計しました。
飛騨の広葉樹の森で拾い集めた葉や小枝、製材所や家具メーカーからいただいた端材、カンナ屑など、木工産業の流通の過程で生まれた約2,000個のさまざまな欠片をオーナメントとして活用。装飾した網状の象徴的な屋根を支持体となる柱や什器に掛け、全部で5基製作し、それぞれの屋根の下でイベント、マーケット、カフェなどが開かれ、人が集う空間をつくりました。このブースを通して大切にしたのは、「木工産業の資源の流れを可視化すること」と、人が互いに助け合う「結(ゆい)」を表現することです。川上から川下へ、森から製材所、そして作り手へ。家具の産地としての飛騨地域を支える流通のリレーを、普段は見えていない部分まで含めて小さなオーナメントとして表現しました。それらをまとった屋根が、ブースをおおらかに包みます。製作においては、材料集めから一つひとつのオーナメントを結びつける作業まで、チーム一体となって手作業で行いました。長年にわたり地域や木工連合会が培ってきた「自治性」や「共助」を「結」として表現するとともに、製作のプロセスにおいても、その姿勢を大切にしました。
テーマブースの設計は、当初より飛騨木工連合会が主催するイベント、パーティ、商談の場などのその時々で変わる様々なシーン・用途を想定する必要があり、什器のサイズ・数・配置など、主催者と寺田さん・ヒダクマとの間で綿密な打ち合わせが行われました。2023年のフェスティバルで初の試みとして土日限定で開かれた「飛騨作り手市」では、13組の作り手の木・陶・ガラス・革など様々な素材の作品がテーマブースで展示・販売されました。作り手の皆さんはテーマブース内のそれぞれの持ち場を思い思いに拡張し、屋根の網や柱を活かし展示。作品とともに来場者と交流する風景は異国のマーケットのようでした。会場のエントランスに立つと、周囲にある飛騨木工連合会各社の展示ブースのビームより頭ひとつ高いテーマブースの柱が奥の方に見え、少し離れた場所からもフェスティバルの賑わいを感じ胸が高鳴る空間となりました。
ヒダクマでは、前年の2022年から2024年までの3年間、同フェスティバルに関わりました。中間年となる2023年は、テーマブースとともに、地域間の連携を促す「広葉樹活用サミット」、異業種メーカーとのコラボレーション、東京でのキックオフイベントの実施などにより、フェスティバルの輪をより広げる転機の年となりました。
Project みんなが互助し合い、ひとつの空間をつくる
| What we did | 2023 飛騨の家具®フェスティバル テーマブースの製作・製作ディレクション イベント企画(一部)・運営(イベント名:「広葉樹活用サミット2023 in 飛騨」、「サーキュラーエコノミーの観点からこれからの工業製品のあり方を考える」、「飛騨の森と人とこころの多様性」、「飛騨の森ツアー」) FabCafe Hida 出張出店 |
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| Credits | クライアント:協同組合 飛騨木工連合会 テーマブース設計:寺田 英史(tamari architects) テーマブース設計・製作ディレクション:江上 史都・黒田 晃佑・岩岡 孝太郎(ヒダクマ) テーマブース製作:ブレーン企画 テーマブース製作(結工程):松山 由樹・今井 瑞紀・門井 慈子・志田 岳弥・堀之内 里奈・岩門 玄(ヒダクマ) 材料提供・協力:飛騨産業、日進木工、柏木工、シラカワ、イバタインテリア、柿下木材工業所、笠原木材、田中建築、西野製材所、柳木材、岡田さんの森 イベント(一部)企画・運営:松本 剛(広葉樹活用サミット2023 in 飛騨)、井上 彩 テーマブースでのFabCafe Hida 運営:堀之内 里奈・伊藤 優子(ヒダクマ) 写真・画像提供(TOP01, 08-12, 16, 18-21):tamari architects 写真提供(02-07):協同組合 飛騨木工連合会(撮影:なぎふぉとぐらふ) 写真(13-15, 17, 22-41):ヒダクマ |
| Period | 2023年5月-2023年10月 |
Viewpoint tamari architects 寺田さんの視点
このプロジェクトを引き受けてから、まずはヒダクマメンバーの井上さん、黒田さん、江上さんと、飛騨木工連合会に所属する「奥飛騨開発」さん及び「イバタインテリア」さんへリサーチを行った。資材の成り立ちには、精密な機械や重機などによる時間の堆積によってできた美しい生産ラインがあり、そこには端正に積まれたり、集まる綺麗さが存在していた。また制作後の30cmに満たない端材は、どこまで使うかは企業によって違うが燃料になってしまう。その欠片は何かの一部であったり、図と地で言うと反転した何かであったり、とても愛おしく、人がつくるものとして伝えるものにできないかと考えた。
飛騨デザイン憲章 第2条「人がつくる〜人がつくり、人をつくり、人とある〜」をテーマとして、過去から現代において、人がつくるとはどう変わっていくのか。この文章を執筆している時は、さらにAIの進化が目覚ましく、全てが機械と会話するだけで成り立っていく。人の中にAIが棲んでいるような錯覚すらする。そんな中だからこそ、生あるもの同士が生成するプロセスの中でつくることや談ることを本来的な楽しみとして見出したい。
提案した骨子は、自治的なルール(≠法律)があること、互助すること、漸進するものという3つを掲げた。
その際に飛騨や茅葺きをする集落では、住人同士が守る、茅場というコモンズ(共有財産)があり、そこから資材を刈り取り、屋根の葺き替えを順番にしていき助け合っていた。それを結(ゆい) と昔から人々は呼んでいる。私も京都の山奥で参加したことはあるが、竹に縄でくくるという技術は必要だが、人の手の大きさに合わせて茅を縛っていく、ひたすらハンズオンの世界で屋根が作られる。
「2023飛騨の家具®フェスティバル」では、飛騨木工連合会から出た未利用な資源をヒダクマさんにかき集めて頂き、そうした屋根による風景が爽やかに立ち上がった。ここから狼煙をあげ、みんなが互助し合いひとつの空間をつくり上げること、つくられる過程も含めて居場所となる状況を、私たちは目指した。















































