法政大学山道拓人研究室による曲がり木プロジェクト。素材・人との対話で生まれた3つの家具

With 法政大学デザイン工学部建築学科山道拓人研究室

Overview

マテリアルとの会話、職人との関わりで変容するかたち

形のユニークさゆえに家具・建築用材として流通しにくい「曲がり木」。法政大学デザイン工学部建築学科山道拓人研究室は、曲がり木を活用したクリエイションを支援するヒダクマの「曲がり木センター」と協働し、スキャニング技術や3D設計を駆使したオブジェクト製作を実践する「広葉樹曲がり木プロジェクト」を進めています。小径木の端材を活用したテーブル「あおまめ」「はなまめ」を製作した2022年に続く第2弾は、同研究室の3つの設計チームが再現性のない唯一無二の「曲がり木」の形状そのものに向き合いました。

ヒダクマは3Dデータの提供から、飛騨でのマテリアルハンティング、製作を担当したローカルパートナー 田中建築とのディスカッションなど、各チームとともにプロセスを並走しました。設計者という立場を軸に、マテリアル側と作り手側の視点を何度も往来してできあがった3つの家具。「曲がり」や「二又」を活かし、製材された板に現れる曲線を360°楽しむことのできる本棚「あいかき」、曲がり木本来の形状に加え、回転軸を変えたことで新たな曲線を持った「くるり」、自然環境によって形成される根曲がり特徴を最大限に生かし、加工を最小限に留めた本棚「ゴロー」。各設計チームが、マテリアルや職人と交わした固有の対話により、曲がり木にユニークな角度からスポットを当てています。

Project 個別性の高い曲線と向き合った家具

What we did 製作ディレクション
Credits クライアント:法政大学デザイン工学部建築学科山道拓人研究室
監修:山道拓人
設計:
『あいかき』:小出理紗子、松本真哉、板垣圭一郎、竹鼻柊二、中林恵都、山本乃依
『くるり』:藤野晟伍、伊藤隆、上野友愛、木幡優咲、藤原美菜、山口秋桜花
『ゴロー』:小林大馬、竹村敬太郎、南雲悠見、人見光我、二方紗耶、摩嶋日菜子(法政大学デザイン工学部建築学科山道拓人研究室)
木材コーディネーション・製作ディレクション:門井慈子、今井瑞紀(ヒダクマ)
製作:田中建築
協力:西野製材所、田中建築
Period 2022年12月~2023年7月

Viewpoint 法政大学デザイン工学部建築学科 山道拓人さんの視点

山道 拓人
Takuto Sando
法政大学デザイン工学部建築学科山道拓人研究室
ツバメアーキテクツ

広葉樹は、山道研のプロジェクトとして継続的に取り組んでいるテーマである。
今年は特に「曲がり木」に注目した。そのクセ強な個性は2次元の図面ではなかなか捉えられない。3Dスキャンしたデータを、3Dのまま切ったり組んだりするスタディ方法が推奨された。今回最終的にアウトプットされた3つの形態は、3Dをそのまま触る方法によって導かれたようなところがある。そして、クセを活かした複雑な形を実現するために、ディテールが後から追いかけてくるような、ある意味でセルフ・リバースエンジニアリングとも言えるような瞬間があって非常に興味深かった。手の感覚と論理の関係を議論していきたい。

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