型破りな製作プロセスを経て生まれた、ソニーコンピュータサイエンス研究所 京都研究室の内装空間
Overview
実験的空間にふさわしい、機能的でない余白を持たせた空間設計
無機質なコンクリート造の近未来的オフィス空間。そこに佇むオブジェのような、巨大な丸太の有機的な形が目を引くデスクや作業台。古くて新しい町、京都に株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所(以下、ソニーCSL)は国内初の支所、京都研究室(以下、ソニーCSL京都)を開設しました。東京、パリに次いで3拠点目となる新オフィスは、2020年4月に新しい研究室の在り方を思索しながら、少しずつ機能を拡大していく実験的な空間として開設。ロフトワーク京都が空間をプロデュースし、建築家でありアーティストの佐野文彦さん(FUMIHIKO SANO studio)が内装・家具設計を主導、ヒダクマは木材コーディネーション・家具設計製作・家具製作ディレクションを担当しました。
Project 個性の強いマテリアル同士がぶつかり合う空間
What we did | 木材コーディネーション 家具設計製作 家具製作ディレクション |
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Credits | クライアント:株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所 プロデュース:寺井 翔茉(ロフトワーク京都) 内装設計・家具設計:佐野文彦(FUMIHIKO SANO studio) 木材コーディネーション・家具設計製作・家具製作ディレクション:岩岡孝太郎・浅岡秀亮(ヒダクマ) 製作・協力:神岡林業協同組合、西野製材所、飛騨職人生活、木と暮らしの制作所 |
Period | 2020年1月~7月 |
Viewpoint 建築家 佐野 文彦さんの視点
イノベーションを起こすような場所には何が必要か。そんなことを思いながら空間を考えました。それは、自由度と刺激なのではないだろうか。インターネットによる情報のオンライン化で、ラボに人が来ないことが問題と聞いていた中で、ラボに行く理由を作る、というのが今回のテーマです。机や椅子がある、大きなテーブルは動かせる、イベントができる、キッチンがある、MTGルームがある。それは機能でしかありません。この場所にはそれらを叶えた非日常が必要だと考えました。さまざまな種類や色、テクスチャーの丸太たち。皮が残っているものもあれば、白太がなくなっているものもあります。一つひとつ違うコブの盛り上がりや木目が違い、使うに従って変化していく。日常に非日常がある。それがこのオフィスでは形にできているのではないかと考えています。