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小堀哲夫建築設計事務所による自社オフィスづくり。建築家が森とものづくりの距離を縮め、見つけたこと。
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Introduction
はじめに
このインタビュー記事で登場する建築家の小堀哲夫さんとヒダクマの関わりは2018年から。ワークデスクのデザイン・製作でご一緒したことがきっかけです。その時から継続して小堀さんは飛騨の森、職人の工房など、飛騨に足を運んでくれています。
2023年夏にリニューアルした小堀哲夫設計事務所のオフィスで、ヒダクマはテーブルの製作に関わりました。小堀事務所では、自社のオフィスづくりを「どのようにものに価値がつくかを考える機会」と捉え、スタッフ自身が経験することを大切にし、設計から施工までを幅広く手掛けました。オフィステーブルの製作で小堀事務所の皆さんは、飛騨を訪れ、森の木が家具になるまでのプロセスや、広葉樹という素材に直接触れました。出来上がったのはその経験を活かしたデザインのデスクです。
小堀事務所の皆さんが飛騨の森やものづくりとの距離を縮めていく中で、見つけたこととは何だったのか。小堀哲夫さん、スタッフの前島瑠美さん・藤田彩加さんにお話を伺いました。聞き手は、テーブル製作を担当したヒダクマの黒田と、本記事の担当松山です。
Writing:松山 由樹 Editing:ヒダクマ編集部
2023年夏にリニューアルした小堀哲夫設計事務所のオフィスで、ヒダクマはテーブルの製作に関わりました。小堀事務所では、自社のオフィスづくりを「どのようにものに価値がつくかを考える機会」と捉え、スタッフ自身が経験することを大切にし、設計から施工までを幅広く手掛けました。オフィステーブルの製作で小堀事務所の皆さんは、飛騨を訪れ、森の木が家具になるまでのプロセスや、広葉樹という素材に直接触れました。出来上がったのはその経験を活かしたデザインのデスクです。
小堀事務所の皆さんが飛騨の森やものづくりとの距離を縮めていく中で、見つけたこととは何だったのか。小堀哲夫さん、スタッフの前島瑠美さん・藤田彩加さんにお話を伺いました。聞き手は、テーブル製作を担当したヒダクマの黒田と、本記事の担当松山です。
Writing:松山 由樹 Editing:ヒダクマ編集部
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自分たちのオフィスづくりは「もの」の価値を考える機会に
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ー 今回、オフィスを移転させることになったきっかけは何だったのでしょうか?
ー 事務所のスタッフの方が製作・施工の現場に積極的に関わられたと伺っています。それにはどんな想いがあったのでしょうか?
ー 小堀さん自身も自邸のプロジェクトで飛騨の森に入ったり、家具ができるまでのものづくりの現場を訪問されました。その時に感じたことを教えてください。
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広葉樹テーブルの製作工程で、事務所のスタッフが飛騨に
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テーブル製作に関わる前島さんと藤田さんをはじめ、合計7名のスタッフの方が、飛騨を訪問。ヒダクマからはテーブル製作に併走した黒田が案内人となり、皆さんと一緒に森に入りました。飛騨の森の様子を見たり、西野製材所の西野さんから広葉樹の製材・乾燥についてのお話を伺ったり、家具職人の野中さんの工房でものづくりの現場を訪問したりしました。
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ー 今回、前島さんや藤田さんをはじめ7名の方が飛騨を訪問してくださいましたが、印象に残っていることはありますか?
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使いながらの気づきから、テーブルをアップデートさせる
ー 今回、搬入や組み立て、そして仕上げの部分も皆さんにやっていただく形で納品したんですよね?
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ー テーブルの納品も全て一緒に納品したのではなく、分納だったと伺っています。分納してよかったことはありますか?
ー テーブルの納品後、事務所ではどんな風景が見られていますか?
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プロセスデザインのパッケージ化、建材としての広葉樹活用を
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あとがき
「森から始まる断片的な物語」
森の中で「普段、木の表情に現れる節が不自然だと思っていたけれど、森の中だと節(枝)のない木のほうが不自然なんだなと思いました。」と、スタッフの前島さんは話してくれた。
工房の中で「このテーブルやばいね、むちゃくちゃデカいんじゃない」と、職人の野中さんは笑った。
ビルの前の道路で「意外と持ち上げられそうですね」と、頼もしいスタッフの三浦さん始めアルバイトに来ている学生達が腕まくりをして運び上げていった。
事務所で「僕はこの木が好きですね、これは何という樹種なのですか?」とスタッフの霍口さんが天板を撫でまくりながら尋ねてくれた。
分業が進んだ流通と生産の中ではこうした物語を集めようとすると、少し大変なのかなと思うことがあります。物語が始まる森への秘密のチケットを、藤田さん始めスタッフの方々にお渡ししたところ、小堀さんが快く皆さんを森へ送り出してくれたことでたくさんの物語が生まれるプロセスをご一緒することができました。小堀事務所の皆さんには、いつも働く場所にある大きな木のモノのことについて、始まりの森のことから、何度でもお話ししてくれたら嬉しいなと思います。
最後に、実は今も小堀さんとは別の企てを考えていて、山の森の姿や土地のあり方と建築空間が繋がるモノづくりを計画中です。乞うご期待下さい。
ヒダクマ
森を事業部 森のクリエイティブディレクター
黒田 晃佑