「未定形の交差」石と木の断片の出会い
Overview
石と木の断片が交わるときに立ち現れる姿
安藤 寿孝と塩月 卓也による、建築・アート・プロダクトを横断するデザインユニット「VERCE」がDESIGNART TOKYO 2025で発表した作品「未定形の交差」において、ヒダクマは製作および製作ディレクションを担当しました。
本作は、関ヶ原石材の石と飛騨の広葉樹を用い、それぞれの断片を整えず、揃えず、そのままの形状で交差させることで成立する、石と木の断片の出会いです。均一な材料ではなく、形の異なる断片どうしが並ぶことで生まれる状態を示しています。
石は関ヶ原石材の現場にある断片の中から選定しました。形状が不揃いで再度加工に要する手間のため製品として扱われにくいものを、そのままの形状で用いています。
石の形状は3Dスキャンによって取得し、そのデータをもとに木材へCNCルーターで穴加工を行いました。ただし有機的で欠けのある石は、スキャンデータをそのまま用いても正確には収まりません。石ごとにデータを調整しCNCルーターの特性や刃物の厚みを考慮しながら、設計と加工を進めています。
木材側では、石の形に合わせて削り、楔で仮固定しながら接着剤を使わずに積み上げる構成を採用しました。石が真っ直ぐ立つよう、木材に対して正確に直角で加工するための専用ジグを飛騨の職人とともに製作し、材料を反転させても同じ座標を再現できるよう工夫しています。重心や安定性についても、事前にデータ上で検証しました。
在庫の木材には、曲がりや節、厚みや幅のばらつきがあります。石の断片と組み合わせることで、それらを整えることなく扱い、共通の用途や文脈をもたない断片が、ひとつの姿として立ち上がっています。
Project 未定形の異素材の断片の響き合い
| What we did | 製作ディレクション 製作 |
|---|---|
| Credits | クライアント:VERCE(安藤 寿孝+塩月 卓也) 設計:VERCE(安藤 寿孝+塩月 卓也) 製作ディレクション:江上 史都(ヒダクマ) 製作:江上 史都(ヒダクマ) 製作協力:ノナカツールズ、飛騨職人生活、田中 清雄 石材提供:関ヶ原石材 写真(Top、1-4枚目):塩月 卓也 写真(13枚目):ナカサアンドパートナーズ |
| Period | 2024年06月-2025年11月 |
Viewpoint VERCE 安藤さん 塩月さんの視点
建材として加工された石が割れたとき、その断面に、自然の石がもつ質感が現れているよ
うに見えました。均一な寸法や表面に整えられることで石の個性は薄れますが、割れるこ
とで、元の石らしさが表に戻ってきたように感じられました。その印象を保つため、石は
整えずに用いることにしました。木がもつ柔らかさを頼りに、石の形に合わせて削り、楔
で仮固定しながら、接着剤を使わずに積み上げています。石には裏張りや痕跡が残り、木
は厚みや樹種がそろっていません。
性質も履歴も異なる断片が、ミシンと蝙蝠傘のように、共通の文脈をもたないまま並ぶこ
とで、思いがけない美しさが生まれることを目指しました。


























