地域の森と住民との関係を結び直す挑戦。つくば市森林バンク制度の運用開始

With つくば市

Overview

市民と森との多様な関りが示す、都市近郊林の新しい可能性

市が仲介役となり、森林所有者と活用希望者をつなげる「つくば市森林バンク制度」。住宅地に近接し、住民からの苦情の対象になっているような森林に価値を見出して市民の活用を促進する仕組みです。2025年4月から運用が始まりました。

2015年から岐阜県飛騨市にて地域の森の多様な活用に取り組み続けてきたヒダクマは、2024年に同制度の制度構築を支援。制度運用開始後もサポート役に採用され、市民向けの説明会兼交流会(全8日、15回)を実施。並行して、刈払機(下草を刈る機械)の安全な使い方を楽しく習得する講習会や、森で秘密基地を作りながら防災を学ぶワークショップなどを全10回企画し、運営しました。

市民同士のつながりを築きながら市内の森林との多様な関わりを促進した結果、制度開始から9か月の2025年12月末の時点で所有者登録は70人(207筆。合計約51ha)。利用者登録は20人に達しました。そのうち、養蜂やキャンプ利用などの目的で契約に至ったのは11件です。

制度活用促進の効果と今後の課題を最も認識しているのは、つくば市の鳥獣対策・森林保全室の後藤佑太さん。森林担当となって5年間、年間100件もの苦情の対応窓口となり続けてきた担当者です。

「制度が始まってから気づいたことはたくさんあります。そのひとつが、森林の整備や活用だけでなく、住民の意識を少しでも変えることの重要性です」

後藤さんによれば、つくば市の森林の約2割が住宅街や道路沿いにあり、その多くは住民の目の敵にされています。もしくは無関心。しかし、説明会やイベントを続けていると、「この森は前から気になっていた」「自分で利用はできないけれど、1日のイベントぐらいなら参加したい」という人とも出会えたそうです。

「特に夏場の草刈りは森林の所有者や利用者だけではどうにもなりません。週1ペースで刈らないと雑草の成長に追いつかないので……。森林に愛情を感じ、草刈りなどのサポートをしてくれる人も必要です。今後は仲間作り、コミュニティ作りをしっかりやっていきます」

森林バンク制度も活用しつつ、サポーターを増やしていくこと。地域の森と住民との良好な関係を再構築する道筋をつくば市は作りつつあります。

(Writing:大宮 冬洋)

Project 森林整備・活用を促すための市民向け説明会兼交流会や体験イベントの企画運営・制度改善

What we did 制度運用支援
森林整備・活用イベント・ワークショップ企画運営
市民向け説明会兼交流会企画運営
専門家によるブラッシュアップ検討会企画運営
Credits クライアント:つくば市
プロデュース:松本 剛(ヒダクマ)
イベント・ワークショップ、説明会兼交流会、ブラッシュアップ検討会の企画運営・制度運用支援ディレクション:松本 剛、二方 紗耶(ヒダクマ)
協力:特定非営利活動法人つくば環境フォーラム、つくばね森林組合、HARDWOOD株式会社、神宮 翔真(国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所)、ファンク合同会社、つくばまちなかデザイン株式会社、筑波大学、上林製材所、小林 彩子(flavour)、岩倉 智美、株式会社AIST Solutions、佐藤 由也(国立研究開発法人産業技術総合研究所)、株式会社百森、篠原 智子(つくば養蜂研究会)、大塚 太郎(大塚設計)、株式会社ラハイナ・コーポレーション、合同会社ツバキラボ、特定非営利活動法人金田台の生態系を守る会、ak park(つくばセルフ防災ラボ)
写真:Yo Tanaka(FUNC LLC)
Period 2025年05月-2025年12月

Viewpoint つくば市 高橋さんの視点

高橋 萌
Takahashi Moe
つくば市役所 経済部 鳥獣対策・森林保全室

2024年に入庁し、初めての配属先が森林保全室です。森林バンク制度の構築業務に携わり、制度の運用が始まったときは不安でした。森林の管理は大変なので、利用希望者はゼロかもしれないと思ったからです。でも、初年度で11件という契約数には驚いています。私たちは森林の所有者と利用希望者のマッチングをお手伝いする立場です。制度に登録された森林を10カ所回ってもマッチングには至らないこともあります。でも、所有者と利用希望者が意気投合してすごく楽しそうに話している姿を見られたりすると苦労を忘れられます。私個人の関心は大学で学んだ考古学の活用です。つくば市の森林の中には古墳もあります。今は雑草だらけで荒れ放題の森林でも、かつては生活して葬礼をしていた人たちがいたのです。そのことを紹介できたら、現代の人も身近に感じられて適切な保全につながるかもと思っています。

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