「繊細な感情をたどる」香りの体験へ導く木製の香水ボトルキャップ
Overview
一つひとつの木の個性が、感情に静かに寄り添う
「小さな憂鬱」をテーマに、人の内面に潜む繊細な感情や揺らぎを肯定し、香りを通じて豊かな体験へと昇華させる、株式会社CiiKのフレグランスブランド「Tools8」。ヒダクマは、2025年11月にリリースされた3つの香水「Bolero」「Giselle」「Ivan」の木製ボトルキャップの開発を株式会社CiiKと共同で手がけました。
製作した木製ボトルキャップは、Tools8の「繊細な感情をたどる」というコンセプトのもと、その体験に触感を添える存在としてデザインされています。モックアップを製作した飛騨の木工職人とCiiK、ヒダクマとの間で何度も対話を重ね、ボトルキャップに使用する樹種やフォルム、カラーを選びました。
ボトルキャップには、木目がはっきりと浮かび上がるクリを使用。ダークグレー、極薄紫、ビビッドオレンジの3色を、ツヤを抑えたマットな塗装で仕上げることで、環孔材のクリが持つ凹凸とした木目が際立つデザインになっています。また、節や板目、柾目など、木が本来持つ多様な表情を活かし、工業的にはノイズとされがちな要素もあえて採用することで、一つひとつ異なる木の個性が楽しめるボトルキャップになりました。
フォルムの成形には、均一な品質と形状を保つため、設計図に基づきデジタル旋盤で生産。最終仕上げは、職人の手により旋盤と紙やすりを使って磨き上げることで、プロトタイプで追求した繊細なフォルムを、製品にも忠実に再現しています。
ボトルキャップには磁石を内蔵し、ボトルに被せると“カチッ”と吸い付くようにしっかりとはまる構造に。高級感のある質感と心地よい使用感を目指し、細部までこだわって製作しています。
Project 繊細な感情に触れるボトルキャップデザイン
| What we did | 木材コーディネーション デザイン・製作ディレクション |
|---|---|
| Credits | クライアント・プロデュース・設計:株式会社CiiK クリエイティブディレクション:志波 友樹(株式会社CiiK) ブランディングディレクション:志波 友樹、白石舞(Cattleyatokyo) ロゴデザイン・グラフィックデザイン:宮崎聖也(Cattleyatokyo) デザイン(香水ボトルキャップ):宮崎聖也、門井 慈子・黒田 晃佑(ヒダクマ) 製作ディレクション(香水ボトルキャップ):門井 慈子・黒田 晃佑(ヒダクマ) プロトタイプ製作(香水ボトルキャップ):osio craft 製作(香水ボトルキャップ):柿下木材工業所 木材提供(香水ボトルキャップ):カネモク プロダクト写真:munico |
| Period | 2024年3月-2025年6月 |
Viewpoint CiiK 志波さんの視点
Tools8は「繊細な感情をたどる」というコンセプトのもと、言葉にならない心の揺らぎに寄り添うフレグランスブランドです。その体験に触感を添えるものとして、木製のキャップの開発に取り組みました。
ヒダクマさんとは、素材特性や造形方法、樹種選定から量産に向けたテストまで、細かなディレクションを通じて共同で形をつくってきました。実際に飛騨の森に足を運び、木の個性や風景を観察することも重要なプロセスのひとつだったように思います。
一つひとつ異なる木の個性が、感情に静かに寄り添うような存在になればと願っています。















