オフィスに活きる木の多様性「鈴与本社リニューアルプロジェクト」
Overview
地域での働き方の可能性を切り開く、鈴与株式会社のオフィス改革
総合物流会社の鈴与株式会社(以下、鈴与)は、静岡県清水区にある築50年ほどの本社5階のリニューアルと、別館オフィスの建て替えを行いました。ヒダクマは、このオフィスの木のある空間づくり・家具製作に携わりました。
「働く空間を大胆に変えて、社員の行動や、思考さえも変える環境をつくる」ことに挑戦したこのオフィス改革プロジェクトは、2018年5月から鈴与とクリエイティブ・カンパニー・株式会社ロフトワークとの共同で進められてきました。
オフィスリニューアルで目指したのは、より働きやすい職場環境はもちろんのこと、鈴与社員が主体的に捉えた「働き方」を取り入れ、人も組織も変化し成長しながら、大胆に行動できるオフィス環境のデザインでした。イベントホールや小規模セミナー、新製品の発表会など、用途ごとに自由に場所を使える設計に。家具や植栽などはキャスター付きで、可変性・可動性の高い空間になっています。
鈴与の経営理念である「共生(ともいき)」の精神を引き継ぎ、「CO=共に」+「DO=生きる」を意味する「CODO」と名付けられた910平米の本社5階の講堂には、飛騨の広葉樹がふんだんに使われています。木の持つ形の柔軟さ、様々な広葉樹の持つ表情の豊かさ、安心感を与えるような木の存在感は、明るく生き生きとした空間形成に寄与しています。
Project 多様な広葉樹を使った居場所のグラデーション
What we did | ・企画提案 ・家具什器設計 ・家具製作ディレクション ・家具什器プロトタイプ製作 ・製作図作成・3Dモデリング ・木材選定・調達 ・工程管理 ・加工・製造 ・搬入・設置 |
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Credits | ・クライアント:鈴与株式会社 ・プロデュース・プロジェクトマネジメント・クリエイティブディレクション:ロフトワーク Layout Unit ・建築監修・内装設計・家具設計:後藤周平建築設計事務所 ・木材コーディネーション・家具製作・家具製作ディレクション:岩岡孝太郎・浅岡秀亮・飯山晃代 (ヒダクマ) ・製作:西野製材所、藤井家具製作所、カネモク、柿下木材工業所、トキワランバテック、go-products、MIYAJIMA(順不同) ・カーテンデザイン:Studio Akane Moriyama ・サインデザイン:hokkyok ・竣工写真:OFP |
Period | 2018年12月〜2019年10月 |
Viewpoint 後藤周平建築設計事務所 後藤 周平さんの視点
歴史ある企業の、空間から働き方を変えていく実験的なプロジェクトとして、本社最上階にある講堂の改装と、隣接して新築された別館の内装について、それぞれ同時に設計しました。どちらも立体的な空間構成で、床だったところが視点が変わると机になったり、ベンチになったりと、使い方を自由に発見していけるようなオフィスを目指しました。触る、踏む、座るなど、多様な使い方が可能になる素材として、木を使うことを想定し、早い段階からヒダクマに相談に乗っていただきました。そのサポートのおかげで、色、節、硬さ、経年変化、生産数や加工方法の違いなど、樹種ごと、個体ごとの差の大きい木という材料の特性を組み込んだ設計ができ、多くの樹種を使った表情豊かな空間になりました。