ご近所付き合いをサポートする、渋谷区発のストリートファニチャー

Overview
交流のきっかけを生む、組み立て式家具
渋谷区区民部 地域振興課が主催する地域交流イベント「渋谷おとなりサンデー」は、地域のつながりを深め、ご近所同士の交流を促すことで、いざという時に助け合える関係づくりを目指す取り組みです。しかし、「テーブルや椅子は誰が用意するのか」「設営や片付けが大変そう」といったハードルから、開催に踏み切れない地域の方も少なくありません。そこで「道具を一緒に運び、組み立てること自体を交流のきっかけにする」というアイデアのもと、誰でも手ぶらで参加でき、自然と会話や協力が生まれるストリートファニチャーを、面白法人カヤック(松本 亮平、井野 貴亮)、ArchTank(林 恭正+横尾 周)との協働で開発。ヒダクマはその中核となる「ちゃぶ台テーブル」の設計と製作ディレクションを担当しました。
この「ちゃぶ台テーブル」は、誰かと一緒に簡単に組み立てられることを前提に、何度も試作と検証を重ねて完成させたオリジナルデザインです。材料には軽量で扱いやすい飛騨の広葉樹(ホオノキ、セン、キハダ、クリ、オニグルミ、トチ、シナ)を使用し、全7台を製作しました。脚部は折りたたみ可能で、持ち運び用の穴を備え、スタッキングによってハイテーブルや展示什器としても利用できるなど、柔軟な使い方が可能です。
2025年06月01日に開催された「渋谷おとなりサンデー」では、渋谷本町さくら公園でユーザーテストも兼ねたイベントを実施。地域の方々が協力して組み立てに参加し、交流の場が生まれました。現在は渋谷区本町コミュニティセンターのエントランスホールに試験的に設置されています。
Project
ご近所さんとの会話がはずむ家具デザイン
What we did | オリジナルツール設計 製作ディレクション |
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Credits | 全体プロデュース:松本 亮平、井野 貴亮 (面白法人カヤック) プロジェクトマネジメント:松本 亮平 クリエイティブディレクション:松本 亮平 オリジナルツール企画:林 恭正(ArchTank)、松本 亮平 オリジナルツール設計:林 恭正 + 横尾 周(ArchTank)、門井 慈子(ヒダクマ) オリジナルツール制作:門井 慈子、鈴鹿 裕子(ヒダクマ) 製作:ノナカ木工所、小倉鉄工 写真撮影:高嶋 佳代、松本 亮平 |
Period | 2025年4月-2025年6月 |
Viewpoint ArchTank 林さんの視点

渋谷区が主催する地域交流企画において、「そもそも何が必要か?」「どんな風景が描かれ得るか?」という根本的な問いを起点に、企画初期からチーム全員で対話を重ねてきました。
チームメンバーの各々の職能や視点を持ち寄りながら、ユーザー体験、デザイン、素材、工法、コスト、都市に至るまで、複層的な検討を行い、その交差点として生まれたのが、この「あるようでなかった」ピクニックデバイスです。
広葉樹のちゃぶ台を軸に、パラソルやオリジナル多角形シートとともに展開され、人々のふるまいや出来事をやわらかく繋げる。そんなコミュニティの形が愛され、馴染み、使いこなされていくことを、創作チームの1人として願っております。