設計×ゲーム——法政大学山道拓人研究室の森の未利用材プロダクト

With 法政大学デザイン工学部建築学科山道拓人研究室

Overview

設計に向かう態度そのものを、ゲームとして捉える。

法政大学山道拓人研究室は、2021年から「曲がり木プロジェクト」に取り組んできました。その一環として2025年には、飛騨での合宿を通したプロダクト開発を実施しています。本プロジェクトでは、枝や樹皮、コブなど、一般的には建材や家具用材として利用されにくい森の未利用材に着目しました。

今回のテーマは「ゲーム」。勝敗を競うものではなく、あえてルールを設けることで生まれる発見や偶然性を楽しみ、設計の視野を広げるための思考実験としての「ゲーム」です。設計という行為やプロダクト自体にルールやゲーム性を持たせることで、設計への向き合い方を問い直し、学生たちは5つのチームに分かれて開発に取り組みました。

飛騨合宿では、学生たちが事前に考えた設計案をもとに、森や土場でのインプットツアーやマテリアルハンティング、飛騨の木工職人やヒダクマの製作チームとのワークショップを通して、アイデアのブラッシュアップを行いました。

合宿後も法政大学の学生たちが設計を進める中で、ヒダクマは職人からのフィードバックの共有や、実際の製作を見据えた設計の考え方を伝えたり、製作時の技術的なサポートを担当しました。

森の素材は有機的な形状が多く、設計・製作の両面において工夫が求められることから、今年は新たに高精度3Dスキャニングを導入。学生が飛騨の森で採取した木材の凹凸や曲がりまで忠実に1/1スケールでデータ化し、法政大学と共有することで、遠隔でありながらも詳細な設計を進めることが可能となりました。

試作品や成果物は、ロフトワークで開催された「Year and Party 2025」にてお披露目され、来場者はコマやジェンガで遊びながら木に触れ楽しみました。

Project 森・土場でのマテリアルハンティングと職人との対話から進化するプロダクトと設計

What we did 合宿コーディネーション・運営
マテリアルコーディネーション
製作ディレクション
Credits クライアント:法政大学デザイン工学部建築学科山道拓人研究室
合宿コーディネーション・運営:門井 慈子・鈴鹿 裕子(ヒダクマ)
製作ディレクション・マテリアルコーディネーション:門井 慈子・鈴鹿 裕子・江上 史都・二方 紗耶(ヒダクマ)
製作・アドバイザー:ひだザイの加工所
協力:新岐阜興業株式会社、神岡林業協同組合
写真:法政大学デザイン工学部建築学科山道拓人研究室
写真指導:川村 恵理
Period プロジェクト期間:2025年04月-2025年12月
合宿期間:2025年06月21日-22日

Viewpoint 法政大学山道拓人研究室の視点

曲がり木プロジェクト2025メンバー

「木積のワンドロップ」
クリの丸太を輪切りにし3層のフィールドに再構成、丸太の面影を感じさせる立体作品。
すり鉢状の表面加工により球体は孔へと収束するが、意図的に残された突起が干渉し、その軌道に不規則性を与える。予測不能な軌跡を描きながら落下する中で、特定の孔への到達を確率的な事象として設定した。
物理法則と自然素材を掛け合わせ、偶然性が生み出す現象を体験させる。
(熊田 英之 竹村 敬太郎 市川 大洋 川村 亮仁 田口 祥太郎 水越 智也 山本 有莉)

「野性のベーゴマ」
市場に乗らない耳板端材15枚を壁に組み、布の有無で挙動が変わる直径610 mmのこまバトルフィールドと、ねじ加工の軸に樹皮ブレードと枝ボディを自由にカスタムできる木製こまを設計。
子どもが森の多様性と物理法則を遊びながら学び、端材を循環させる新しい遊具体験を提案する。
(竹鼻 柊二 宮下 果子 村松 康平 加藤 咲絵 岡本 陽太郎)

「マテリアルブロック」
飛騨の森と職人技術を掛け合わせたブロック崩し。
ホオ、ブナ、ケヤキなど、比重の異なる樹種を使い、プレーナー、鉋、名栗、浮造り、はぎ合わせといった加工を施す。
さらに、枝や割れ、虫喰い、こぶ、耳など広葉樹の未利用材を活かしたピースを加え、計11樹種・33ピースで構成している。
スケールを従来のジェンガの2倍にすることで、ピースをじっくり観察でき、抜く時・積む時の触覚や視覚を通して、飛騨の森と技術を体感できる。
(入学 壮太郎 原 伊吹 山口 夏実 前田 碧斗 小南 滉成)

「ゲタトスダレ」
銭湯での使用を想定した、下駄とスダレ状に展開するカバンのセット。
これらは1枚のトチ材から切り出されており、使用時は道具として機能するが、不使用時に玄関に並べると、元の1枚の板材としての姿が復元される。
板を細分化して構成することで、素材の連続性と道具としての可変性を両立させた。
スダレ状のカバンには、小径木の丸太を輪切りにした横板を設けた。カバン本体が横板の形状に沿って閉じるため、横板を交換することで、広葉樹の多様な断面形状が立面に現れる。
また、持ち手には森で採集した草花の叩き染めを施し、多様な形で森の資源がプロダクトに表れる設計とした。
(板垣 圭一郎 摩嶋 日菜子 辰本 桂 石井 萌々香 武本 向日葵)

「えだかけ」
広葉樹の枝がもつ曲線や、樹皮を活かした腰掛け。
荒々しくも、温かみのある座面の枝はそれぞれ個性的な表情をもち、木が本来持つ肌触りや温度、凹凸を直接感じることができる。
側面を切断した枝からは、木目と樹皮が混じり合う断面が現れ、素材の異なる様相を視覚的にも伝える。
二段構成のベンチは、下段に枝をストックし、本や小物を置く場所としても機能する。腰掛ける用途にとどまらず、素材に触れ、枝を入れ替えながら飛騨の森を体感できる居場所となる。
(上米良 亮樹 小林 愛理 櫻井 陸来 土橋 洸太)

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