枝・樹皮・コブに光をあてる、法政大学山道拓人研究室がデザインした「卓上のランドスケープ」

Overview
データと実物を往来する探索的なデザイン・設計
法政大学山道拓人研究室とヒダクマは、広葉樹の中でも特に癖のあるものからものづくりの可能性を探る「曲がり木プロジェクト」を2021年より実施しています。2024年は、枝、樹皮、コブといった、建材や家具用材としては採用されない森林資源に焦点を当て、「卓上のランドスケープ」をテーマに企画から設計・製作までを行いました。プロジェクトに参加した研究室メンバーは、広葉樹とヒダクマの取り組みに関するオンラインレクチャーやマテリアルサンプルに触れることから構想に着手。そこから取り組むテーマごとにチームを作り、東京と飛騨、3Dデータと実物とを往来する探索的なプロセスにより、多彩なプロダクトをデザイン・設計しました。
森が育む幾多の自然物のうち、マテリアルとそうでないものを区別するものとは、何でしょうか。仮に全てを活用可能としたとき、それらを評価する基準は、普遍的かつ静的なものでしょうか。依然として自然物であり、しかし人の手によって設計・製作されたプロダクト群は、既成の概念や評価の枠組みをやさしく溶かし、人と森との距離を近づける卓上のランドスケープを形成しています。
Project 卓上で感じるリアルな森
What we did | 合宿コーディネーション・運営 製作ディレクション マテリアルコーディネーション |
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Credits | クライアント:法政大学デザイン工学部建築学科山道拓人研究室 合宿コーディネーション・運営: 松山由樹、二方紗耶、鈴鹿裕子(ヒダクマ) 製作ディレクション・マテリアルコーディネーション: 江上史都、今井瑞紀(ヒダクマ) 製作:飛騨職人生活 協力:西野製材所、飛騨市森林組合、木と暮らしの制作所 写真提供:法政大学山道研究室 |
Period | 2024年5月-9月 |
Viewpoint 法政大学山道拓人研究室の視点

【えだのコースター】小出理紗子/今村凪乃夏/入学壮太郎/片嶋拓人
えだに表れる様々な曲線を生かしたスロープトイ。直線的なボールが転がる一般的なスロープトイとは異なり、えだごとにレールの角度やコースの掘り具合を調節し、支柱とダボ接をすることで成り立っている。5本の支柱・7本のレール材と受け皿は7種類の樹種が混ざっており、それぞれの樹皮や木の断面の表情が見える。飛騨の森が凝縮されたえだのコースターを囲んで人が集まり、研究室での休憩場所になる。
【きはだな】松本真哉/柏⽊宏太/熊⽥英之/⼟橋洸太
長い間樹木を覆っていた樹皮には、荒々しくも温かい不思議な魅力があった。 そんな樹皮たちの個性豊かな表情を楽しみながら、森の「肌触り」を感じることのできる小さな棚。 加工場で削り落とされてしまった樹皮の山を掘り起こし、ひとつひとつ質感や重みを確かめながら材を選定した。 三角グリッドに配置したアクリル丸棒をつなぐ樹皮が 360°自由に広がり浮遊することで、卓上という小さな大地に木漏れ日を落とす。
【コブステーション】藤野晟伍/竹村敬太郎/摩嶋日菜子/梶原悠太郎/上米良亮樹/野村旭
木に取りつくコブを、「握る」「触る」「生える」という視点で楽しむプロダクト。 握って使う「メジャー」や「ブラシ」、コブから生える「ティッシュ」や「コード」。 それらが一箇所に集まるステーションを設計した。材によって異なる形や模様に触れていく。卓上にコブがバラバラ散らばりつつ、また元の木に戻してステーションに引っ掛ける。使用の度に様相を変える卓上のランドスケープ。
【輝/香/奏】大竹未紗/竹鼻柊二/石井萌々香/中村亘佑
広葉樹に見られる虫喰いの穴や割れから着想を得て3つのプロダクトを制作した。賽銭箱は貫通した内部に、落ちる小銭が音を奏でる。花瓶はくり抜いた上部にフラスコを設置し、花が顔を覗かせる。照明は材を縦に割りビスケットで繋ぐことでスリットを作り、光が溢れる。高さを揃え、対の支えによって統一性を持たせることで、それぞれが個性を強調し日常を彩る。