チームの連携を深める場、可児工場のハッピーエントランス

Overview
バックヤードからはじまる、社員同士の偶発的な交流
鋼材の素材加工を行う共栄鋼材株式会社の社員が働く場所は、工場と事務所で大きくふたつに分かれています。それぞれの場所で働く社員同士の偶発的な会話を生み出すために、工場で働く社員が業務の動線上必ず訪れる、事務所1階の通用口に着目。この場所を社員同士やここを訪れるパートナー企業との対話が生まれる場とし、共栄鋼材らしいチーム連携の形がつくれないか?というアイデアが、同社と設計を担当するパーシモンヒルズ・アーキテクツ、ヒダクマが共同で実施した、働く環境を考えるワークショップで生まれました。
設計では、裏口の入口をふたつに増やし、回遊性を持たせて出入りしやすくする工夫や、工場で働く社員の靴箱をあえて事務所から見える場所に移設するなど、工場と事務所で働く社員が自然に顔を合わせる仕組みを取り入れました。
ヒダクマはこの空間づくりに向けたワークショップから家具製作を担当。事務所の外からの入りやすさを演出するため、広葉樹の自然ならではの形状や、ノタ材(木の外側の部分)といった有機的な素材を活かし、屋外を感じさせるスケール感のある家具を設置しました。2階へと続く階段部分には同社のスクラップ材を用い、広葉樹と鉄がコラボレーション。2022年に2階の多目的室をリニューアルした「未来構想空間」脇の給湯室には、ホオノキのおこもりソファを設置し、クリアガラスに交換した窓越しに屋外の緑を望めるようにしたことで、エントランスから続くシークエンスを生み出しました。もともとはバックヤードとして閉鎖的だった空間が、チーム全体の連携を深める場「ハッピーエントランス」として生まれ変わりました。
Project シームレスになる外とのつながり
What we did | ワークショップ企画・運営 プロデュース 製作ディレクション |
---|---|
Credits | クライアント:共栄鋼材株式会社 設計:柿木佑介、西尾昂紀(パーシモンヒルズ・アーキテクツ) ワークショップ企画・運営:岩岡孝太郎、門井慈子、今井瑞紀(ヒダクマ) プロデュース:岩岡孝太郎、門井慈子(ヒダクマ) 製作ディレクション:門井慈子、黒田晃佑(ヒダクマ) 製作:田中建築、板垣建設株式会社、株式会社谷本建具、片桐銘木工業株式会社、共栄鋼材株式会社 竣工写真:長谷川健太 |
Period | 2023年04月~2023年12月 |
Viewpoint 共栄鋼材株式会社 佐野さんの視点

ハッピーエントランスは、未来構想空間から広がったチーム共栄の新しいカタチです。事務所/1階の壁で囲われた空間で、共栄鋼材/製造部や協力会社様や運転手様に扉、1枚を開きにくいような空間を勝手に作ってしまっていました。
事務所メンバーだけでなく、製造部のメンバーにも加わってもらい、どうしたらよりよい空間になるのか、一緒に考えることによって協力的な絆も生まれてきました。実際に出来上がったエントランスは開放的な場所となり、自然と顔を合わせ挨拶が飛び交い、工場で使用しているベーリングや共栄鋼材で発生する端材(耳ロス)を社員で準備・使用することによって親近感や愛着も湧き、新たなチーム共栄の輪が切り広がった空間になりました。