森をひらく道具を収納・貸し出しする広葉樹建築「道具番屋」

With 新岐阜興業株式会社、ツバメアーキテクツ

Overview

「道具」でひらく温泉街の森の入り口

岐阜県高山市奥飛騨温泉郷を構成する温泉街のひとつ・福地温泉の東端に位置する建築「道具番屋」。福地温泉は、夏祭りで披露される獅子舞「へんべとり」や冬季の氷柱のライトアップ「青だる」、北アルプスの笠ヶ岳を眼前に望む「福地山」の登山などが、季節ごとに訪れる温泉客を楽しませてくれます。一方で、温泉街のすぐそこにあるこの森は、奥にある祠の世話をする地元の人が入る以外は、静かに閉ざされていました。

山主である大橋さんは、地元の旅館の人たちとの会合を重ね、「温泉客が日中を過ごす場所にならないか」との意見を受けて、「この森をみんなにひらきたい」とヒダクマに相談。ヒダクマは、ツバメアーキテクツをチームに迎え、フィールドリサーチとワークショップを重ねて、森で過ごす時間を豊かにするための「道具」を収納・貸し出しする建築の計画に至りました。

この建築「道具番屋」の特徴は、飛騨の森を反映した広葉樹の柱梁で構成されていること。当初、この森の木々を活用することを検討しましたが、長い間遊休林であったため、養蚕の時代の名残であるクワの木の他、オニグルミ、トチの木など立派な木もありつつ、危険木に当たる木々が多く、まずは手入れを行い、森を適切に育てることを優先しました。広葉樹は隣の飛騨市の森から持ってくることにしたため、必然的に広葉樹のバリューチェーンから生まれた森の端オフィス
を参照した構成となりました。

春にはテラスに届く枝ぶりのサクラが満開となり、深い雪の上をスノーシューで散策する冬にかけて、春夏秋冬、「道具番屋」が入り口になり、温泉街と森をつなぐ人の流れが生まれました。

Project 森の番人に出会い、道具を持って出かけるための森へのゲート

What we did 森からはじめる広葉樹建築のプロデュース
チームづくり
プロジェクトマネジメント
Credits 企画・建築主:新岐阜興業株式会社
設計:ツバメアーキテクツ
構造:円酒構造設計
原木手配:飛騨市森林組合、柳木材
製材:西野製材所、やまかわ製材舎
乾燥:飛騨市広葉樹活用推進コンソーシアム、飛騨産業
建築施工:田中建築
基礎:丸藤工業
電気設備:MIYAJIMA
水道設備:山口設備工業
ガス設備:田中屋商店
塗装:田中塗工
板金:永瀬板金工業所
建具:谷本建具
床:スミ室内装飾店
写真:中村絵
Period フィールド構想計画:2023年07月-2024年03月
設計:2024年04月-2025年07月
工期:2024年11月-2025年07月

Viewpoint ツバメアーキテクツ 千葉さんの視点

千葉 元生
Motoo Chiba
ツバメアーキテクツ 共同代表

フィールドリサーチの名のもとに、とにかく大橋さんの森でみんなで遊びました。ハンモックを吊るした森カフェやルーペをつかったコケの観察、スノーシューなど、道具を持ち変えることで森は全く違った世界を見せてくれます。
この建物は、森の番人大橋さんに出会い、道具を持って出かけるための森へのゲートです。
森の端オフィス同様に広葉樹板材を組み合わせて架構をつくり、道具の居場所となる半屋外空間が多いことから、柱の両耳を残して木が外にそのままひょろっと生えているようなファサードにしました。この両耳残しが私たちと大工さんをおおいに苦しめることになりましたが、完成後に食べる山菜を数段美味しくしてくれたように思います。

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森の端オフィス:〒509-4256
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