170年続く飛騨の老舗旅館・八ツ三館の菓子店「二十四」。地域の素材、職人の技が調和する空間
Overview
肌で感じる、飛騨の素材とものづくり
飛騨古川で170年続く老舗料理旅館「八ツ三館」。昨年新たにオープンした「二十四(にじゅうし)」は、同旅館で長年愛されてきたスイーツをベースに開発したメニューを提供する菓子店です。空間を設計したのは、淺野翼建築設計室(株式会社コンパス)。飛騨の風土や季節を肌で感じられる空間を目指して、地元ガラス作家が手がけるペンダントライトや飛騨産業の椅子、山中和紙の照明など、飛騨の素材とものづくりが集められています。ヒダクマはこのプロジェクトで、壁面羽目板、ロングベンチ、テーブルの製作を、地域材の材料調達から担当しました。
Project
What we did | 内装・家具製作、木材コーディネーション PR支援 |
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Credits | クライアント:八ツ三館、淺野翼建築設計室(株式会社コンパス) 空間設計:淺野翼建築設計室(株式会社コンパス) 製作ディレクション(壁面羽目板、ロングベンチ、テーブル):浅岡秀亮(ヒダクマ) 木材調達・木材コーディネーション:浅岡秀亮、志田岳弥(ヒダクマ) 製作:ひだザイの加工所、ノナカ木工所、ウッドワークス 木材提供:西野製材所 竣工写真:表萌々花 |
Period | 2022年6月~11月 |
Viewpoint 株式会社コンパス|淺野翼建築設計室 淺野翼さんの視点
長い歴史をもつ旅館の新しいチャレンジで大切にしたのは、「飛騨を想い、この地に根を張っていく」というメッセージを表現すること。そのために、地域に根差した素材や工芸の調和によって飛騨の繊細な美しさを際立たせ、老舗旅館が持つ品位にふさわしい空間づくりを目指した。
土・和紙・ガラス・椅子など、主な要素は全て飛騨にゆかりのある素材や職人によるもの。そして、その中心となるのは壁、ベンチ、テーブルに使用された多彩な表情をもつ地元産の広葉樹たち。飛騨地方の山々で伐採されたニレ・ブナ・カバ・ナラ・クルミ・サクラ・トチ・クリの8種類を使用している。
「広葉樹によるまちづくり」を掲げる岐阜県飛騨市において、この喫茶が「地元産広葉樹のショールーム」としての役割を担うことができれば、地域住民の理解を深めたり、新たに活用の道を見出す人を増やせるかもしれない。
広葉樹を通して、旅館と街の未来がひとつのものとして描かれる、そんな空間となることを意図している。