飛騨の姉妹森中川町で劇的ネイチャーワーケーション

北海道中川町。北海道北部に位置し、森に囲まれ川が通る小さな町です。ヒダクマが拠点とする岐阜県飛騨市と縁もゆかりもなさそうなこの町が、飛騨市と姉妹都市ならぬ姉妹森協定を結んでいます。姉か妹か、はたまた双子か。この姉妹森はいったいどんな場所なんだろうと、人伝に色々聞きながら想像していましたが、この度その中川町がワーケーションプログラムを提供しているというので、体験させてもらいました。
数日のワーケーションでも各所の立地が把握しやすい、心地よくコンパクトな中川町は、積雪期ということもあって、自然と町の境界が曖昧。雪に包まれた町のホテルで仕事をしたり、そのホテルから見える森で人と自然の関わり合いをさぐったりしながらの数日間は、あっという間です。
私たちが中川町で体験したワーケーションプログラムと、グッときたポイントをシェアします。
Author | 志田岳弥(森林・地域交流プロデューサー)
1991年東京生まれ。大学卒業後、国際協力機構(JICA)青年海外協力隊としてペルー共和国に赴任。国家自然保護区管理事務局ピウラ事務所で、川をフィールドにした環境教育を実践。帰国後、EC専門紙記者を経て、再び南米に渡航。自然から生まれるプロダクトと人の関係に興味を持ち、チリ共和国にてサーモンの養殖産業を取材。2020年3月に飛騨市へ移り住み、同年6月よりヒダクマに所属。趣味は川。
Program
- 2/5 Sat. 中川町へ
- 旭川空港に着陸。北海道出身のヴィジュアル系ロックバンド「GLAY」の曲を聴きながら、レンタカーで中川町へ移動。温泉ホテルにチェックイン。
- 2/6 Sun. 中川の森を散策
- 朝、ランニング。朝食を済ませたら、姉妹森を知るべく、中川町の方々と森へ。体を動かしながら森の解説に耳を傾け、雪上で昼食。午後はスキーと温泉。
- 2/7 Mon. ワークして、中川を知って
- 午前、ホテルの客室や共用スペースでワーク。午後は中川町役場にて、町のことや、林業のことについてレクチャーを受ける。
- 2/8 Tue. 森と町の営みを巡る日
- 朝から再び森へ。前々日より長めのルートをゆっくり歩く。昼食には、焚き火で中川町の食材を調理する。森の素材をつかった手工芸を体験したり、工房を見学したりと町を巡る午後。
- 2/9 Wed. ワークして、スキー・スノボして
- お昼過ぎまでは、ホテルでワーク。中川でのインプットを生かした企画を考えてみたり、伸び伸びと。午後は近隣のスキー場にて、日が暮れるまでスキー&スノーボード。
- 2/10 Thu. ペンギンを見て帰る
- 朝、最後のフロンティア的な中川を出発。旭山動物園で散歩するペンギンを眺め、アニマルウェルフェアについて思考を巡らせ、帰路へ。
Recommended Points
暮らしが上達する小さな町
人口約1400人の小さな町。町役場や郵便局、スーパーといった生活に必要なインフラが集まるエリアだけなら、徒歩で十分、用が足ります。この規模感が、中長期滞在者にとっては心地いい。中川町は、どこに何があるのか、初日よりも3日目の方がずっと町を把握できることの喜びや、擬似的な生活実感が得られる場所です。
たくさん出会える中川町
短い期間で、たくさんの素敵な方々と出会いました。地元の名猟師、木工品や笹竹細工等を製作する方々、町を盛り上げるために全国から集まった若者たち。どうしてこの町に、こんなに面白い人たちがたくさん集まるのだろうか。その明確な答えはでませんでしたが、ユニークな人たちが親しみのある温かみで迎えてくれるから、こちらも引っ越してきた新参者のような気持ちになります。そんな人たちと焚き火を囲んだ日には、ここに住んでしまおうかと心が揺らぎかねません。
自然⇄仕事は刺激的
北海道へ出発する日、飛騨では雪が舞っていました。中川町行きを楽しみにしながらも「なぜここよりもっと寒い土地に今向かっているのだろう」と疑問に…。ところが、実際に中川町の地を踏むと、そこには飛騨とは違った冬がいくつもいくつも。溶けも固まりもしない雪がぎゅむぎゅむと足元で音をたて、川は凍って白い帯となってゆったり視界に延びて、森にはブナがまったくない、それら全てにいちいち驚く日々。新鮮な刺激を与えてくれる自然がすぐ側にあり、刺激され生き生きした脳で仕事ができるという特殊な環境は、ワーケーションならではかもしれません。
最後に、このワーケーションプログラムがさらに良いのは、四季折々の体験ができることでしょう。何にせよ1回目は1回しかありません。中川町の冬季ワーケーション初体験の感動は、これっきり。しかし、まだ春夏秋もあるではありませんか。どの季節をまず体験するか、リサーチしてみてください。