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Column

「Luomu(自然に従う生き方)」を学ぶ。北軽井沢『きたもっく』を訪ねて|ヒダクマ合宿2025

Introduction はじめに

こんにちは。森へチーム(PR)を担当している、ヒダクマの堀之内です。
先日ヒダクマでは、2025年9月18日-19日にかけて社内合宿を実施しました。

これまで山梨県や奈良県、大阪府を訪れてきましたが、今回の合宿では群馬・北軽井沢エリアを訪問しました。
主な目的はヒダクマのそれぞれのチーム連携を考えるきっかけやチームワークを深めるため、キャンプ場・北軽井沢スウィートグラスを運営する地域未来創造企業「きたもっく」のフィールドを訪れました。本記事では、そんな合宿の様子をお届けします。
ヒダクマ合宿2025のしおり

参加者は12名。今回の合宿をリードしてくれたのは、2024年新卒入社の若手社員。家具・建築空間の設計・製作ディレクションを担う森をチームの鈴鹿と二方です。

事前にふたりは行き先や内容を決めるために参加メンバーへのヒアリングを行い、「どんな学びを得たいか」「どんな合宿にしたいか」「どこへ行きたいか」個性豊かなメンバーの希望を汲み取りながら、全体の構成を組み立ててくれました。

残念ながら鈴鹿は当日、体調不良により欠席となってしまいましたが、進行は二方が最後までやり切ってくれました。ふたりとも、本当におつかれさまでした!

飛騨から群馬・北軽井沢へ

飛騨から車3台に分かれて出発。道中も終始わいわいとした雰囲気で、移動時間も日常ではゆっくり話せないほかのチーム同士の大事なコミュニケーションの時間。

途中、八景食堂でランチ。牛もつ定食やカツ丼など、どれもとても美味しく、しっかりエネルギー補給ができました。

『きたもっく』での視察

今回の合宿のメインとなる視察先は『きたもっく』。

きたもっくは、ほぼ1社で林業の六次産業化と地域循環を実現し、『TAKIVIVA』という滞在施設を拠点に、企業研修の受け入れなども行っています。
ヒダクマにとっても、事業や組織のあり方を考える上で、直接的な学びの多い取り組みです。

きたもっくの皆さんとは、2021年4月にヒダクマへ視察研修に来ていただいたご縁があり、今回はそのご縁がつながり、私たちがフィールドを訪れる形となりました。

滞在施設『TAKIVIVA』に到着

TAKIVIVAは「焚火に集う宿泊型ミーティング施設」。ホールやミーティングルーム、宿泊室のあるシェルターと、シェルターの外にはキャンプ場へ続く屋外広場の景色が広がります。

ちょうど到着した頃から、雨が降り始めました。

チェックイン時には、館内や施設の使い方を丁寧にご案内いただきました。
今回はヒダクマのみでTAKIVIVAを貸し切り、ゆったりと過ごします。

シェルターの中をぐるっと見学

お部屋は、穴ぐらのようなドミトリータイプと個室タイプの2種類。
ドミトリーが苦手なメンバーは個室を使い、それぞれの居心地や違いを共有できたのも、FabCafe Hidaの宿泊プランを考える上での良い学びになりました。

こじんまりと静かで、薄暗いドミトリーはとても落ち着く空間。
宿泊フロアには本がたくさん並ぶコーナーもあります。
シェルターの入り口には夜、野外広場でのデイキャンプに使う道具がたくさん。
屋外にはバレルサウナもあり、夜はサウナ好きのメンバーが集まって楽しみました。

『きたもっく』の視察・事業紹介

ここからは視察の時間。土屋さんより、きたもっくの取り組みについてご紹介いただきました。

土屋さんとヒダクマメンバー

つくば市森林バンク制度構築でご一緒している、つくば市役所の後藤さんと高橋さんも参加してくださいました。

土屋さんからは、きたもっくの事業内容やその根底にある精神についてお話を伺いました。なかでも、Luomu(ルオム)という「自然に従う生き方」と、その実践のあり方がとても印象に残りました。
この記事の後半では、この土地ならではの自然の景色もご紹介しますが、活火山が程近くにあるという風土が、自然への眼差しや畏怖を育み、それが生き方や事業の方針にまでつながっていることを強く感じました。

日月さんからは、きたもっくの事業についてさらに詳しく教えていただきました。一次、二次、三次産業。さらに森林サービスとしてのキャンプ場やアクティビティ。商品の企画・運営を行っており、多様な取り組みを展開されています。これからその一部の現場を巡るのが楽しみです。
質問コーナーも大いに盛り上がり、ヒダクマのこれまでの歩みを振り返りながら、きたもっくの皆さんの仕事への向き合い方を学ばせていただきました。

フィールド見学へ

外に出て、きたもっくの事業を巡ります。きたもっくの事業はとても幅広く、まるでテーマパークのよう。

『あさまのぶんぶん』で暮らしているヤギがお出迎え。

伐採から乾燥・加工・建築まで、木の道を一気通貫する大型ファクトリー

中川さんに製材所・乾燥・蜜蜂とはちみつの管理施設が集まった『あさまのぶんぶんファクトリー』をご案内していただきました。

あさまのぶんぶんファクトリー』では北軽井沢の寒冷地という環境での木材乾燥を研究し、温室ボイラーを導入していました。施設の全てが自分たちで試行錯誤しながらつくったと聞いて驚きました。
湿度管理のため天井に木炭を使うなどの工夫も面白かったです。ボイラー室の残り熱を生かして、『百蜜』というきたもっくオリジナルブランドのはちみつの温度管理に使っているそうです。

FabCafe Hidaの木工房(蔵)のような木材加工ができる場所もあります。
真剣に見つめるヒダクマ 森をチームの黒田
『百蜜』をつくる蜜蜂

薪の製造

キャンプでも使いやすいサイズ感に揃えられた薪が並び、バブル期に建てられた別荘兼テニスコートを活用した薪保管スペースは、圧巻でした。

きたもっく特製の薪は、小ぶりでかわいらしいサイズ感。キャンプなどにも持ち運びやすそうな、ちょうどよい大きさです。
きたもっくは部署異動も柔軟で、たとえば製材所を経験した人が他部署へ移ることもあるそうです。

「ルオム」を伝える森と洋館

TAKIVIVAから車で5分ほどの場所にある『ルオムの森』へ。美しい森の中に佇む築100年の洋館や周辺の森を玉井さんが案内してくださいました。

薪窯ピッツァや蜂蜜を味わったり、薪ストーブの温もりを楽しんだり。きたもっくのコンセプトパークとして日々進化している拠点のようです。

『百蜜』は、季節や年によって味が変わり、どれも本当に美味しく、みんな大興奮。お土産として購入するメンバーも。
飲食スペース

日本一のキャンプ場『北軽井沢スウィートグラス』

TAKIVIVAのすぐ隣にあるキャンプ場『北軽井沢スウィートグラス』へ。

ツリーハウスが点在し子どものようにはしゃぐヒダクマ一同。
ここにある木々も、自分たちで植林して育ててきたもの。

木の成長によってツリーハウスから見える景色が少しずつ変わっていったとお聞きして、きたもっくの事業の歴史を感じます。

スウィートグラスは全ての宿泊プランが薪付き。先ほど『あさまのぶんぶん』で製材された薪を自分で割って、キャンプに使えるコーナーも。
ここで記念撮影。移動サーカスのキャラバンのようなテントがわくわくします。
売店もあり、ここではお土産やキャンプの食材を購入できるほか、ドリンクやアルコール、ピッツァなども提供されています。

焚火と夕食の時間

ここからはお楽しみの夕食の時間。
会場の設営チームはガスランタンの使い方や、薪での火起こしを教わり、調理チームは焚火で料理を進めます。

設営を終えたチームは、最後に焚火でほうじ茶をつくります。
焼き加減にこだわって調理したカレーの副菜。同じお肉やお野菜でも2パターンの味わいを楽しむことができるように調理したそう。
薪釜で炊いたご飯は、ふっくらと炊き上がりました。

一緒に火を起こしたり、食事を作ったり、夕食の場をしつらえたりする協働作業からヒダクマメンバーの会話は弾みました。お膳立てされた食事の場とは違い、私たちが自ら能動的に関わる夕食の時間が自然と生まれていたのです。自然の中で五感を刺激し、夕食での協働作業によりチームワークや一人ひとりの個性を引き出しながら組織の能動性が引き出されていました。これこそきたもっくの合宿のプログラムにおける最大の魅力だと思います。

焚火を囲んでいただきます!

今夜のメニューはカレー。焚火を囲んで、いただきます。
(あまりの美味しさに、完成したカレーの写真を撮り忘れてしまいました…!)

焚火を見つめながら、きたもっくの「焚火哲学」を感じ、心がゆっくりとほどけていきます。

夜は、事前にヒダクマ側で用意していたレクリエーションの時間。
飛騨の森で拾ったさまざまな枝にマシュマロを刺して焼き、左隣の人へ「普段なかなか伝えられない感謝や想い」を言葉にしてから、マシュマロを口に運びます。

きたもっくの中川さんと高橋さんも参加してくださいました。

TAKIVIVAの朝と帰り道

朝は贅沢に『百蜜』が添えられたホットドッグセット。
最後にTAKIVIVAのロゴ前で記念撮影を行いました。

帰り道では、鬼押出し園へ

鬼をイメージして記念撮影
ジョン・レノンファミリーにならって記念撮影

『鬼押出し園』では火山の活動が生み出した地形を前に、自然への畏怖や山への信仰を感じました。
溶岩が固まり、自然や生き物を内包しながら隆起した山の姿を目の当たりにし、この土地に根付いてきた自然への感覚、きたもっくの皆さんがおっしゃっていた「ルオム」「自然に従う生き方」を体感した瞬間でした。

頂上の広大な下界を見下ろす景色をみると、ひとりの人間としていかに私たちが小さな生き物なのかを感じます。

その後、『軽井沢発地市庭』や『Karuizawa Commongrounds』、『くろもじ庵』に立ち寄り、お土産を購入して帰路につきました。

『軽井沢発地市庭』でお蕎麦をたべました。
『Karuizawa Commongrounds』
『Karuizawa Commongrounds』の地面は木のチップになっている
ヒダクマメンバーが大好きな燻製のお店も
『くろもじ庵』

『くろもじ庵』では、クロモジを使った羊羹やプリン、カヌレなど、クロモジのデザートがたくさん並んでいました。もちろんクロモジ茶をいただくこともできます。

FabCafe Hidaのカヌレやさまざまな商品開発を行っている森でチームの伊藤も、興味津々の様子でした。

合宿を終えて

きたもっくの事業は、テーマパークのようでありながら、地域の暮らしと深く結びついている点が印象的でした。
とくに、活火山の近くで暮らす土地柄ならではの自然への敬意が、日々の生活や仕事への姿勢にまでつながっていると感じました。

一方で、飛騨には活火山はありませんが、近年はクマの出没情報が増えるなど、また違ったかたちで自然への畏怖を感じる場面が多くなっています。
地球温暖化の影響や、クリなどの実の不作、人が森へ入る機会が減ったこと。さらに、里山と呼ばれるエリアが縮小し、森と町との境界が以前よりも近くなっていること。
そうした複数の要因が重なり、今の状況が生まれているのだと感じました。

実際、ヒダクマのツアーやプロジェクトにおけるリサーチでは、クマに出会わないようホイッスルを鳴らしながら森へ入るなど、さまざまな対策を講じていますが、クマ以外にも滑落や蜂に刺されるといった自然のリスクは常につきまといます。
それでも、なぜ私たちは森へ入るのか。
今回の合宿を通して、「森からスタートすること」の意味をあらためて考えさせられました。

たとえば、木は単なる「木材」ではないということ。
実際に森の中に身を置くことで、発想はより豊かに、よりクリエイティブに広がっていくのだと思います。

ヒダクマとして、そして協働するパートナーの方々とともに、飛騨の森のありのままに触れながら、そこにある無限の可能性やインスピレーションを感じてほしい。
ヒダクマはそのために森へお連れしているのだと、今回の合宿を通してあらためて腑に落ちました。

飛騨を飛び出してみることで、あらためて飛騨の良さや違いも見えてきます。
実際に足を運び、同じ場所で食事をし、体験を共有すること。
そうした時間そのものが、個人の成長だけでなく、ヒダクマとしての考え方を育んだり、共有していくことにもつながっていると感じた合宿でした。

きたもっくの皆さま、この度は素敵な時間をありがとうございました。
また、きたもっくの皆さまとヒダクマとで交流ができましたら嬉しいです。

わたしたちが訪れた場所

ぜひ皆さんも北軽井沢の自然を五感で体感する場所『きたもっく』を訪れてみてくださいね。

◯ きたもっく:https://kitamoc.com/
◯ TAKIVIVA:https://takiviva.net/?kitamoc

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