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これからの地域材活用のあり方とは?全国39都道府県、約300事業者が集結「WOODコレクション2024」

Introduction はじめに

日本各地の地域材を活用した木材製品の総合展示会「WOODコレクション(以下、モクコレ)」(主催:WOODコレクション実行委員会)が2024年1月11日-12日に、東京ビッグサイトにて開催されました。モクコレは、「植える→育てる→伐る→使う」という、森林の循環への寄与を目的に、木材の需要喚起と利用拡大を推進する国産木材の展示商談会。第8回目となるモクコレの今年のテーマは、「その気づきが、未来を創る」。39都道府県、約300事業者が出展し、全国各地の木材製品が集まりました。

ヒダクマでは、モクコレの初日に行われたステージプログラム「地域から始まるイノベーション〜森林・木材の利活用がもたらす新価値創造」に代表の岩岡が登壇。また、会場中央のアトリウムでのWood Solution ゾーンでの展示と、Wood Lifestyle ゾーンで開催されたモクコレカフェにて、FabCafe Hidaで提供する人気のクロモジコーヒーや薪カヌレを提供しました。

本記事では、ステージプログラムを中心に「モクコレ2024」の当日の様子をレポートします。

森や林業の新たな価値を生み出す挑戦

左から、モリアゲの長野さん・東京チェンソーズ 青木さん・ヒダクマ岩岡・武田林業の武田さん。

イベントは、豊かな森を次世代へつなぐ活動に取り組む株式会社モリアゲの長野麻子さんの軽快な掛け声のもとスタートしました。ステージプログラムのタイトルは、「地域から始まるイノベーション〜森林・木材の利活用がもたらす新価値創造」。登壇者は、長野さんと、株式会社東京チェンソーズの代表取締役 青木亮輔さん、株式会社武田林業 代表取締役 武田 惇奨さんと、ヒダクマ代表の岩岡の4人。会場は満席で立ち見もでるほど多くの方にご来場いただきました。

実践者として、東京の林業を伝える東京チェンソーズの青木さん(写真・中央)

最初のプレゼンターは、東京・檜原村を拠点に活動する東京チェンソーズの青木さん。東京チェンソーズは、苗木の植え付けや間伐など林業の現場作業から、加工、販売、森林の空間活用までを行い、それらの“山仕事”を通じて、森林の価値の最大化に取り組んでいます。その中で、地域に根を張っていくこと、顔の見える情報を届けることを大切にしていると青木さん。また、木材を流域生活圏で考えることの必要性について語りました。青木さんのお話からは木の捉え方、自然と人との関係のあり方はどうあったらいいだろう?と想像を掻き立てられるものでした。

「切らない林業」をコンセプトに事業展開する武田林業。自身のルーツに関わることがやりたいと語っていた武田さん(写真・右)

愛媛県内子町にある武田林業の武田さんのプレゼンテーションでは、大学卒業後に広告代理店で営業として勤めていた武田さんが、ヒノキ林業を営んでいた祖父の影響を受け、現在の職に就くまでのプロセスを紹介。現在武田林業では、「森の入り口づくり」をミッションに掲げ、まちと山の間の「梺(ふもと)」に立ち、両者をつなぐ「梺業」を営んでいます。「多くの人々が林業を知らない今、もはや林業はエンタメ」と武田さん。娘たちの世代にどうやって林業に関心を持ってもらうかを考え企画した、木育とプログラミング教育をかけ合わせた「MOCKUPプログラミング教室」をはじめ、多世代の人々が森を身近に感じられる魅力的なコンテンツを紹介しました。

ツバメアーキテクツ、チドリスタジオ、円酒構造設計、飛騨地域の人々とともに取り組んだ「森の端オフィス」の紹介をする岩岡

ヒダクマ岩岡のプレゼンテーションでは、飛騨地域の豊富な資源である森がどのように循環し、さらにヒダクマが関わることによって何がアップデートされているのか。ヒダクマの拠点であるFabCafe Hidaや、広葉樹でつくった建築「森の端オフィス」を紹介しながら、飛騨市が推進する「広葉樹のまちづくり」や、飛騨地域の川上から川下までの事業者が連携する「飛騨市広葉樹活用推進コンソーシアム」と連動した取り組みを紹介しました。

会場を盛り上げる長野さん

トークセッションでは、長野さんからの「これからそれぞれの地域で森や木の価値を創造していくにあたってどうしたらいいかな?」という質問に対し、青木さんは村全体を考えるにあたりこれから行政との協力・連携も大切であること、岩岡は風土・文化にリスペクトしながら、よりいいものをつくっていくこと、武田さんはその地域の人にどう理解してもらうか、地域の人の心たかぶるようなものを見つけて引き出せるかが大切と回答。3人のコメントからそれぞれの地域に向かい合う姿勢が見えてきました。

最後の一言では、武田さんはこれから新しい動きが起こるであろう様々な地域の方に向けて「へんなことをやってきても受け入れてほしい。面倒な話はたくさんあるかもしれないけど、寛容な気持ちで話を聞いてもらえたら」とメッセージ。岩岡は、今後のヒダクマの取り組みとして、「周辺で面白いことをやっているように見えるかもしれないが、ブレイクスルーは暮らしや産業の王道の上にこそあるべきと考えている。木材活用のメインストリームである建築を広葉樹でつくり、地域の森を反映したまちづくりに発展させたい。」と意気込みを語りました。青木さんは、「これまで植林してくださった方がいて、人工林を扱うことができ、ラッキーな時代に取り組めている。これからの人口減少や山で働く人が減っていくなかで、多様な形での関わり、業種関係なく関わりしろを見つけていくことができれば」と話しました。

あっと言う間にトークは終了。これからの森の可能性、地域の可能性を感じた時間でした。登壇者の皆さんの今後の展開もとても楽しみです。

会話を通じ、高まる森や林業への親近感

国産材を使用する必要性やメリットを多面的な視点から表現する「主催者企画展示」のブースでは、東京チェンソーズ・武田林業・ヒダクマを紹介する展示も開催されました。ヒダクマでは森の端オフィスの模型やパネル展示を行いました。

ヒダクマの松山がお客様をご案内。
設営風景。田中建築さんが製作した森の端オフィスのトラスの模型も設置。
パネル什器はヒダクマ江上が製作。
展示ブースでは、東京チェンソーズ・武田林業・ヒダクマを紹介するスペシャルムービーも公開されました。ヒダクマの動画ではお世話になっている地域の皆さんやヒダクマメンバーのインタビューがあり、見ごたえ満点。
写真は後ろ姿ですが、写真中央右にいるのが飛騨市林業振興課の竹田課長。お客様を案内してくださいました。
来場者がお茶やスイーツなどを楽しめる「モクコレカフェ」では、いつもFabCafe Hidaで提供している「クロモジコーヒー」と「薪カヌレラスク」を提供し、好評をいただきました。
飛騨高山の家具メーカー飛騨産業さんのブース。最新家具をはじめ、街路樹でつくった椅子なども展示。
曲げ木など加工技術を紹介する展示では飛騨の家具メーカーの家具が並ぶ。
ヒダクマもお世話になっている、岐阜県各務原市にあるエスウッドさんのストランドボード。多様なテクスチャのサンプルの数々。
こちらもお世話になっている高い職人技術、5軸加工、3DCADを活かしたものづくりを支援するArtistryさんのブース。たくさんの人で賑わっていました。
秋田スギの美しい木目にうっとりしました。
美しい北山杉に興味津々。木の育て方や年輪で枝打ちした時がわかると教えてもらいました。
木原木材店さんの土木用の杭の端材で出来たかわいい「マルデトガル」。
岐阜県生活技術研究所の長谷川所長に声をかけてもらい、見せてもらったセンダンのテーブル。森林総合研究所の杉山研究員より早生樹等の国産未活用広葉樹材を家具・内装材として利用拡大するための技術開発の話を聞かせてもらいました。

全国の個性のある事業者が集った「モクコレ2024」で一番楽しかったのは、この場で出会った方との会話・コミュニケーションでした。全国の人たちが一堂に会するイベントで、初めて出会う人、すでに知っている人たちとこの機会に顔を合わせてお話できたのは貴重でした。また今回いいなと思ったのは、これから林業を勉強するためにモクコレに足を運んだという方がいたことでした。モクコレには、林業や森・木のことにやさしく触れることができる広場のような魅力的な機能があることを実感しました。

モクコレ2024にご来場いただいた皆さま、関係者の皆さま、ありがとうございました!
ヒダクマはこれからも多様な出会いを大切に、森の可能性を広げていきたいと思います。

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