NEWS / BLOG

  • 製品開発
「子どもたちへ豊かな森と伝統技術の魅力が詰まった地元の木のおもちゃを届けたい。」

飛騨市、地域の施設・職人・企業・学生たちの想いがひとつになって生まれた木育の輪

2月14日、飛騨市の神岡子育て支援センターで「木育ひろば」のお披露目会がありました。

image17

まず初めに背景説明から。
岐阜県は、全国でも積極的に木育に力を入れています。平成28年度の岐阜県が主催する「ぎふ木育ひろば」は、県内に15か所展開し、木と伝統の素晴らしさを子どもたちにおもちゃを通して伝える場所として、現在もさらに広がりを見せています。
飛騨市では、2017年、古川町の子育て支援センターに設置され、今年は神岡町に設置されることとなりました。

今回の子供用木製玩具制作プロジェクトに関わったのは、飛騨市役所職員、飛騨市にある神岡子育て支援センター、地域の木工職人、地域の学生さんと、我々ヒダクマ(正式名称:株)飛騨の森でクマは踊る)です。

image1

神岡子育て支援センターの役割は、地元の子どもたちやお母さんの集う場として、古川はじめ県内の「木育ひろば」の視察受け入れ、木のおもちゃのメンテナンスの講座、子どもたちが安全に楽しく遊べるおもちゃについての意見交換などを市役所職員や職人さん達と重ねてきました。

image18

そのおもちゃを生み出すのに欠かせないのが木工職人さんたちです。
「感性の豊かな子どもたちに地元の木のおもちゃに触れてほしい」という想いで、お母さんや先生たちの要望をもとに、作り手としてのアイデアを出し、限られた時間の中で魅力あふれるおもちゃを制作されました。

image7image13

ヒダクマの役割は、プロジェクト管理と、レーザーカッターでの名入れ加工をお手伝いです。

image8

神岡高校美術部の生徒さん達は、神岡で愛されてきた旧神岡鉄道の列車を模したカラクリ列車の塗装を担当しました。

image19

お披露目会には、「飛騨市の木育を広める会」をはじめとしたお母さんと子どもたちが参加されました。

image11

神岡子育て支援センター、地域の職人さん、そして利用者であるお母さん達の想いに触れる

できるだけ多くの子どもたちに本物の木に触れ、感じ、安心して遊べる環境を提供したい

image10

旧神岡保育園の卒業生である吉川先生は神岡子育て支援センターへの想いをこう語ります。
「神岡に木育ひろばが設置されると決まってから、視察をしたり、研修を受けたりして、神岡子育て支援センターに合うおもちゃを決めるのに、何度も話し合いを重ねてきました。私たちは子どもたちにとって良い高さ、大きさ、角度など、提案し、予算の面では市の職員の方と、技術面では職人さんと、それぞれの視点から話し合ってきたんです。」

image4

「今回は神岡高校の美術部の方も加わって下さって、からくり列車のおもちゃに旧神岡鉄道の列車を模した着色をしてくれて、子どもたちも大喜びでした。」
「岐阜県はすごいと思います。広葉樹や針葉樹の木の種類をとっても、それぞれの土地に良いものがあります。それを活かしての木育の活動や、小さいころから地元の木工玩具で遊んでいけることも素晴らしいと思います。」

image20image5

違いがあるからこそお互いに力になれる

商社IT企業勤務から木工職人へ。この地の持つ魅力と伝統、そしてその可能性と価値に対する思い溢れる木工職人、天野さんのお言葉です。
「今回、ままごと用のキッチン台や収納台、ついたて、ちゃぶ台、おもちゃのカトラリーなどを特注で作りました。キッチン台の水道は子どもたちが回せるように軽く、でも強度をもたせて長く使えて、使っていく中で緩くなるように計算して作りました。今回作ったものは、市役所や子育て支援センターの職員の方々と『こんな感じがいいのではないか』と話し合う中で、提案し合ってできたものです。」

image2image9

「木との関わりは小さな頃から両親が山登りが好きだったのもあり、生活の中で木は身近にありました。自分の子どもが生まれて飛騨で暮らすことを決め、体を使って仕事がしたいと思った時に、木工の仕事が浮かびました。木工は感覚の世界であり、のこぎり1つで出来る、そして、木工の産業は今伝統が消えつつあるとも思っています。逆に、自分自身が異なる背景を持っていることで、役に立てる部分があるのではないかと考えました。」

image21

「100円の物を大事にするって、相当な想像力が必要だけど、自分が時間をかけて作ったものなら、その価値がわかる。子どもたちは感覚でわかっていると思うんですよね。あの木の種類は杉だとか、知識ではないですが、手で触って感覚的にわかってもらえると思う。。箸だって、箸づくりをしてみたら、『箸づくりって木からできているんだ』って、その繋がりがわかると思うんです。世の中にも物が増えて、生活の形も変わっていっている。でも、おもちゃでも木とプラスチックと手に取ったときに『どっちの方が元気をもらえるだろう?』と思うと、ぼくは、素材として生き物である木の方がやっぱり好きですね。」

image12

伝統を守りながら新しいものを受け入れる、という柔軟な考え方と孫へのプレゼントが木工おもちゃづくりへ繋がったのです

こうお話しするのは、飛騨春慶(*1) の世界へ入り今年で35年目の小山さんです。

「歴史ある飛騨春慶も、時代と共に、高齢化と後継者不足の問題で、木地師である私の仕事もなくなりつつありました。そうした中で、今までのことにこだわりすぎずに、いろいろな方向で、何ができるか、頭を柔軟にしていく必要があることを感じていました。そのタイミングで孫が生まれて、『子どもで何かできるものはないかな?』と思うようになって、つくったたのがこの車のおもちゃです。」

image15

「どうしたら飛騨春慶の木地でなじみのある丸い形を活かしておもちゃを作れるかと考えていきました。そうして考えるうちに車のタイヤが作れるなと気づき、車のおもちゃができました。それが、天野さんの目に留まり、この企画に関わることになったんです。」

 (*1) 飛騨春慶とは、1600年始めから400年以上もの歴史を持つ飛騨市、高山市で製造される春慶の塗の漆器。お盆や重箱など多く作られ、1975年には、経済産業省より、「伝統的工芸品」として第一次指定を受けている。

image6

「例えば、ピザのおもちゃは、パズルからアイデアがでてきました。一番つくるのが大変だったままごと用の炊飯器は、どう動かすようにしていくのか考えながらつくるのが大変でしたが、そうやって色々な考えを入れて、作っていく、変わっていくことは面白い。それこそが、ものづくりの面白さなんじゃないかと思います。」

image3image22

「飛騨には、針葉樹、広葉樹があり、その木の手触りや匂いなどは様々です。家具や建築とは異なり、小物であれば、木の種類は選びすぎなくてもいいですし、廃材や切れ端を生かせばブローチなどのアクセサリーもつくれます。広葉樹は種類が多いので、岐阜県産や飛騨市産の木を使って子どもたちのためにおもちゃを作れたことがとても嬉しいです。」

image13image16

「またこうやって小さいころから木に触れて、木で何か作ってみたいという人が現れてくれたら、一番嬉しいですね。」

「木のものが好きで、子どものことも思うともっと木育を広めたいと思った」

神岡子育て支援センターの利用者で、生まれも育ちも飛騨市で現在「飛騨市の木育を広める会」のメンバーの福澤さんはこう話します。
「私はずっと飛騨で生まれ育ちましたが、昔は今ほど、保育園にあるおもちゃも含めて、木のおもちゃはなかったのではないかと思います。今はDIYブームで、木やものづくりがより身近になってきました。」

「私も木は好きで、木に囲まれて育っていても、意外と木の事を知らなかったんだなって気づかされて、「飛騨市の木育を広める会」のメンバーになってから、木の種類も見てわかるようになってきています。」

image14

「この子自身、プラスチックのものやスポンジ素材のものは触らず、積み木を買ってあげても、色がついているものではなくて、無垢の木のものだけ触るんです。もし、おもちゃを買っても、使ってもらえるのかわからなかったので、ここでおもちゃと遊んでいる様子を見てから、何を買おうか決められるのがありがたいです。市の取り組みの1つで、こういう誰でも使える公共の場に地元の木が使われたものを置いてもらえるのは嬉しいですし、ありがたく感じています。」

image23

市役所と、神岡の子育て支援センター、地元の職人、地元の企業、地元の学生とが、「子どもたちに良質な木のおもちゃを届けたい」という想いからひとつになって完成した木のおもちゃ。
飛騨の持つ伝統と洗練された技術、そして豊かな自然を活用する好事例となりました。

 

日本の伝統技術と豊かな自然を未来の子どもたちに届ける様々な活動をご一緒しませんか?

ヒダクマは、100年先の飛騨の豊かな森のためにできる取り組みとして、多様な活動を行っております。

飛騨の多様な種類の広葉樹を用いた製品開発、地元の職人さんとの共同開発、建築家やデザイナー向けの学びと試作品作りの合宿、
企業や教育機関の研修や合宿、飛騨の森でのワークショップやフェスティバルなど、都市のニーズと地域を繋ぐ橋渡し役として活動しております。ぜひお気軽にご相談ください。お問い合わせフォーム