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  • デザイントリップ
建築家、飛騨へ。〜広葉樹の価値化デザインの旅〜

2017年1月、飛騨市と飛騨市森林組合とヒダクマの共同での広葉樹活用プロジェクトの一環で、ユニークな視点で空間設計をしている東京の建築家たちが飛騨を訪れました。
今回参加したのは、鈴木崇之ツバメアーキテクツ桑原茂の3社4人。

本プロジェクトは、広葉樹の価値化を目指し、まずは従来未活用の小径木、支障木、ライバル木などを活用して家具やおもちゃなどの木製品が作れるかどうかの実験。結果的に十分に活用できると認められれば、価値証明の材料として、広葉樹伐採の一連の仕組みづくりに着手するための手段なのです。
そんなプロジェクトの特性を各建築家へ説明し、普段忙しく活躍する彼らのスケジュールをおさえ、飛騨へ招待をすることからスタートしました。
2泊3日の全体スケジュールは文末にございますのでご興味ある方はご参照ください。

1日目:匠の技術がそこかしこに。美術館のような古川町歩き

飛騨古川へ到着し、FabCafe Hidaへチェックイン。
江戸時代から続く『熊崎邸』という元酒蔵を建築家の中山秀之さんがデザインしリノベーションした背景などを説明しつつ見学。ヒダクマの松本から日本の林業の背景、針葉樹と広葉樹の特徴の違い、国の取り組み方の違いや広葉樹活用の現状と課題などを共有。31917287494_be91670566_k

ブリーフィングを終えたら早速、飛騨の町並み見学スタート。まずは映画『君の名は。』のシーンにもなった飛騨市図書館から。今回のプロジェクトから生み出す家具・什器などの試作品は、市民にとって有益なものであるあるべく、公共施設に設置予定。そのため、図書館を含む幾つかの公共施設を見て周ります。

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次は訪問者の多い飛騨市長室へ。
飛騨市の特産物などを展示する台を広葉樹で素敵にデザインされたものにしたらPR効果が高いのではという意見の下、まずは見学。

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次に白壁土蔵と鯉が泳ぐ瀬戸川を歩きます。匠の技が町のそこかしこにあり、まるで街自体が美術館のようです。31946175863_7150dfcbc8_k

次に向かったのは匠が『未来への挑戦状』としていくつも編み出した知恵の輪的組み木を見られる博物館『匠文化館』31917286754_729700e48e_k32719333066_186e234608_k

飛騨古川にある2大酒蔵を訪問し、歴史的建造物を観察

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街歩きの途中、目を留めたのはその伝統的な建物に工房を持つ草木染め屋さん、由布衣工房。飛騨の様々な草木で美しく染められています。一同、興味津々の様子。

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街並み調査をした後は、FabCafe Hidaに戻ってインプットの共有とアウトプットのためのアイデアワークショップ。ツバメアーキテクツの千葉さんからは、「PRすべきことは、家具とか什器とかだけにフォーカスするのではなく、連関を伝えること。『なんで森を守らなきゃいけないの?』と。木工は木と工。飛騨は木にまつわる色んなことがつながっている。(木を製材して出るおがこが牛の寝床に、それが堆肥に、と循環している)でも今繋がりが見えなくなっている。連関を伝えられるようなプロダクトをつくることを優先させた方が良い。」という意見。
鈴木工藝舎の鈴木さんからは、「ザ・デザイナーズコラボなどを『これどうよ!?』と提示しても地域の人が関心を持たない限り、どんなアイデアも成り立たない。買うか買わないかの話で終わるし、興味のない人に『買ってよ』と言っても仕方ない。一方的、独りよがりで終わってしまう。関わりを増やすことが大切。」という意見が出て議論は熱を帯び始めました。活発なやりとりは止まらぬも、当然ながら机上で答えは出ません。でも十分な“?”を出し切ることが大切。その問いを持って明日のリサーチへ出ることで物事への関心や取り組み方、そして最終アウトプットが大きく変わります。2017-01-29 18.42.45

2日目:木工の現場へ

2日目の朝は、作品を実際に使う場の可能性として、飛騨市が運営する子育て支援センターの見学へ。子供達の木育になるような製品も視野に入れて。
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飛騨ならではの木製さるぼぼ積み木のおもちゃ
2017-01-30 09.52.37次に訪問したのは飛騨市の木製家具メーカー、イバタインテリア。曲木技術は興味深い。
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その後は、岐阜県内でも広葉樹の扱い量が有数の製材所『西野製材』へ。
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丸太で仕入れたら、まずは身と皮の間に挟まった余計な石を弾いたり、虫などを避けるために木の皮を剥ぐところからプロセスはスタートします。板に製材してから天然乾燥と人工乾燥を行う。木のマスターから、乾燥を徹底的にしないと後から裂けたり、反ったりなど様々な不具合が出てくるなどのインプットを得ます。木が生き物であることを気付かされる瞬間です。ここでは、製材の過程で出る端材はクリエイターに個別販売したり、製紙や燃料にまわしたり、おが屑は牛の寝床にしたり酵素風呂屋さんに販売したりと、無駄なく全て使い切っています。そんな徹底したエコな循環に驚く皆さん。

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道中、小休止に、飛騨高山に古民家を移築し、民芸道具や食器を全国から集めて販売している素敵なお店、やわい屋さんへ立ち寄りました。
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午後から訪れたのは、家族経営の木工房 Hida Collection。無垢材での家具づくりについて知識を得ます。
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次に飛騨エリアで最大規模で歴史の長い飛騨産業のショールーム。飛騨産業は戦時中、木製の飛行機の開発や鉄砲などをつくるための機械を製造していた経緯から、木工機械も自前でつくるようになった歴史や、トーネットの曲木技術を日本で最初に持ち込んだこと、環境に配慮し、間伐材利用を促進するために杉の圧縮技術の研究施設を運営しながら日々技術の刷新に務めていることなどをヒアリングし、日本の木工技術の長い歴史と先の未来に思いを馳せる時間となりました。
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今日のツアーはここまで。夜はFabCafe Hidaで行われるイベントに参加し、勉強家の兼松佳宏さんから興味深い視点を得ました。
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3日目:インプットから、スループットに向け

最終日の今日は2日間のリサーチを終え、インプットの共有を。3月のシンポジウムでのアウトプットまでのスループットの期間に入る前にみんなの意見を掃き出し、調整、統合をしていくわけですが、その前にそれぞれが何をしているのか知るところからスタート。
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共有が終わったあとは、FabCafe Hidaのデジタル木工房でFabと木工を融合した家具などを紹介。2017-01-31 14.35.55

FabCafe Hidaの売りは、異なる樹種を組み合わせたまぜまぜ広葉樹天板。テーブルにするには、当然ながらその天板を支えるための脚が必要です。Fabマスターの岩岡孝太郎がそこで編み出したのは、3Dプリンターで出力したジョイント。これでどんな3本の木製の脚をお好みの角度に合わせて接続することができます。それが、デジタルの力。

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『腹が減ってはアイデアも出てきまへん』ということで、ここでエネルギー補給。飛騨びとの胃袋をつかんでいると言っても過言ではない、おかんが経営する惣菜屋やまもとへ。店には飛騨の伝統的郷土料理のずらっと並ぶ。これでもか!とパックに詰めるものの、レジで会計後に渡されるパックは原型を留めず山盛りに。だけどたったの400円也〜。お腹にも懐にも優しいのです。2017-01-31 14.02.46

飛騨を発つ前に味わっておかないと!と次に一向が向かったのは、来る人来る人ヒダクマチームに拉致されてしまう「世界一うまいソフトクリームがある!」と豪語されている牧成舎。西野製材のおがこの行き先(牛の寝床)でもあります。地域で森や製材所がなければ、おがこもでてきません。最近はおがこが足りなくてわざわざ海外から輸入して使っている牧場も多いのです。おがこには、防カビ材等の薬品が付着していることもあるそうです。だけど、地域の木が地域で製材される時にでてくるおがこなら、牛さんも安心して眠れますね。
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次は飛騨市広葉樹のまちづくりシンポジウムでの作品紹介へ続く。(乞うご期待ください。)

 

最後に、全体スケジュールはこんな感じでした。

●ツアー工程
*電車、東京発の場合

1/29(日)
7:20   東京駅発 かがやき503号
9:31   富山駅着
9:52   富山駅発 ワイドビューひだ8号
11:05 飛騨古川駅着
11:15 FabCafe Hidaチェックイン
・イントロダクション
・FabCafe建物(旧熊崎邸)案内
12:30 昼食@古川町内
13:30 古川町並散策
瀬戸川と白壁土蔵
13:45 匠文化館(組木)ミュージアム
15:00 古川町並散策
・祭広場、祭屋台蔵
・八ツ三館
・渡辺酒造
・蒲酒造
・壱之町珈琲
17:30  今日のインプット共有&アイデアブレストワークショップ@FabCafe
19:00 夕食@古川町内

1/30(月)
8:00   朝食@FabCafe
9:00   出発(車で移動します)
9:30   子育て支援センター(家具・什器設置場所見学)
10:15  イバタインテリア家具工場見学
12:00  西野製材所(広葉樹を専門的に扱う製材所)見学
13:00  飛騨コレクション家具工場@国府
13:45  やわい屋
14:30  昼食
16:30  飛騨産業家具ショールーム見学
18:00 古川へ移動
18:45  FabCafe着

1/31(火)
8:00   朝食@FabCafe
9:00   二日間のインプット共有&アイデアブレストワークショップ@FabCafe
12:00 昼食@古川町内
13:00 今回の飛騨訪問のまとめ
14:30 牧成舎
15:30 チェックアウト
16:00 飛騨古川駅発 高山本線(高山駅乗り換え)
16:32 高山駅発 ワイドビューひだ18号
19:02 名古屋駅着
19:22 名古屋駅発 のぞみ138号
20:56 品川駅着