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飛騨の森から生まれたパタゴニアの新商品。持続可能な森づくりとものづくりの挑戦

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世界的なアウトドアウェアブランド「パタゴニア」が、食の分野で環境問題に対処し、地元生産者を支援することを目指してはじまった「パタゴニア プロビジョンズ」。その商品ラインナップの中に、飛騨の森から生まれた商品があります。

飛騨ならではの「木」と「技」から生まれたカトラリー

パタゴニアのアメリカ本社には、外で食事を楽しむためのカトラリー(食具)の商品として、竹製のスプーンとフォークとナイフと箸のセットがありました。しかし、パタゴニア日本支社は、これをそのまま輸入して販売するのではなく、「せっかく日本には森林資源もそれを加工する技術もあるので、日本の木でつくりたい」と、全国で森林再生事業を手掛ける株式会社トビムシに相談。ヒダクマの出資企業でもあるトビムシは、日本の真ん中にあって豊富な樹種と高度な木工加工技術を擁する飛騨で開発するのがふさわしいと判断。ヒダクマでプロデュースを行いました。

現在、国内で販売されている木製カトラリーのほとんどは、海外で大量に製造される安価なものか、作家さんによる高価なもの。きれいにつくればつくるほどコストが嵩み、さらに形は量産品と同じようになってしまうというジレンマがあります。また、どんな木でも材料になるわけではありません。硬い木でもスプーンにして力をかけると簡単に折れてしまったり、丈夫につくろうとすると形が野暮ったくなったりしてしまいます。

それでもたくさんの飛騨の木工房や職人さんにご協力をいただきながら、さまざまな樹種と加工方法で試作を重ね、品質とコストとロットのバランスをとりながら、ようやくスプーンと箸のセットを商品化することができました。

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それが「飛騨の森 カトラリーセット」。
パタゴニアスタッフや購入いただいた方からは、「本国のものに比べて、つくりが繊細でなめらか。箸先の細さと、スプーンの角度や深さが絶妙」と評判です。
素材は、加工と使用に耐えることができる粘りがあり、また口当たりの良いなめらかな木肌をもつ樹種として、ブナの木となりました。ちなみに、飛騨市では、原生林の素晴らしさと自然の豊かさを象徴する力強い木として、ブナの木を「飛騨市の木」と定めています。

「ボジョレー・ヌーヴォー」のようなカッティングボード

ブナのカトラリーセットは無事商品化できましたが、飛騨にはまだまだたくさんの種類の未活用の木があります。また、カトラリーという商品の特性上、少しでも節や傷やシミのあるところは使うことができません。

そこで、飛騨の森に生えているなるべくたくさんの種類の木の、なるべくたくさんの部分を有効に使ったものづくりができないかと検討し、次にカッティングボードを商品化することにしました。
カッティングボードであれば、サクラ、ホオノキ、クリ、ナラ、カエデ、ミズメ、トチ、クルミ等、さまざまな木を材料として使うことができます。また、それが商品のバリエーションとなってお客さま選ぶ楽しみにもなります。かと言って無理に種類を増やしたりせずに、その時に森から出てきた木を使うようにします。
いわば、「ボジョレー・ヌーヴォー」ならぬ「飛騨の森・ヌーヴォー」。毎年飛騨の森の手入れから発生する不揃いな木の違いを、自然ならではの個性ととらえて楽しんでいただくというコンセプトです。
ボジョレー・ヌーヴォーとの違いは、ちゃんとしっかり熟成(乾燥)された材を使っているということ。

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サイズが小さなカッティングボードは、アウトドアにも持ち運びしやすい薄さと軽さ。
森の側からみると、薄くて幅が狭い材料も使うことができます。また、多少の木目のばらつきや節も個性として楽しんでいただけます。
形状は、ドレスのような有機的で美しい形にデザイン。横穴に紐がついているので、置いたときもがたつかず、壁に掛けて収納、乾燥ができるようにしました。

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ちょうど2017年3月にパタゴニア名古屋店がリニューアルオープンすることが決まり、その店舗の床材やカウンター材に飛騨のクリの木が使われるということで、まずは同じ飛騨のクリ材でつくったカッティングボードが名古屋先行販売されました。
5/17から全国直営店でクリの他に、サクラ、ホオノキが販売開始。公式オンラインショップでも6月上旬から販売予定です。

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飛騨市の広葉樹活用の事業と連携することで、森の手入れから発生する支障木やライバル木といわれる、これまで活用することが難しかった木を材料として使います。

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伐採された場所の番地まで明らかな、トレーサブルな木材。種類はばらばら。細い木が多いので、板は薄かったり幅が狭かったり。

加工はすべて飛騨市内の製材所と木工所、木工職人さんにお願いをし、仕上げは福祉事業所にお願いをしています。地域資源を持続可能に利用し、木材加工技術を発展・継承させる経済循環のプロセス確立を目指しています。

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使い手に知ってもらうことからも変えていく

カトラリーセットの店頭販売が始まると、お客さまから「末永く使うために、お手入れの方法を教えてほしい」という声をたくさんいただきました。そこで、ヒダクマでは、スタッフのみなさまにお手入れの方法をお伝えするとともに、お客さま向けに木のお手入れを学ぶワークショップをすることをご提案しました。

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横浜店では、箸とスプーンを木地の状態から、磨いて仕上げるワークショップを開催。生のクルミをハンマーで砕いて、その油で塗って仕上げます。せっかくなので、自分でつくった箸とスプーンでプロビジョンズの食品を試食します。サーモンとセイバリーグレインズとスープ。それから、ロング・ルート・エール(ビール)で乾杯。

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リニューアルしたばかりの名古屋店では、FabCafe Hidaの広葉樹箸づくりワークショップを開催。自分の好きな木を選ぶところから、削って、磨いて、オイルで仕上げていただきます。ここでも出来立ての箸を使った試食と、ビール。

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このワークショップに参加いただいた皆さまは、それぞれの樹種の特性を知り、自分の手で加工することで、これから自分の好きな木の商品を選ぶことができ、また、反ったりキズがついても、磨いたりオイルを塗りなおしてお手入れをしていただくことができます。

昨今、消費者の品質要求のエスカレートによる「過剰品質」のために、環境や労働者の負担が大きくなってしまっていることは少なくありません。使い手の皆さまに、商品の素材のことやその作り方を知っていただく機会をつくることは、もののつくり方や売り方を良くすることにつながっていくと思います。

ヒダクマの木のものづくりワークショップは、使い手のみなさまに「つくる楽しみ」、「お手入れの楽しみ」、「使う楽しみ」を伝えるだけではなく、新しいものづくりのありかたへの挑戦でもあります。パタゴニアが提唱する「ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する」ひとつのやり方。

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ヒダクマでは、パタゴニアさんのような志のあるパートナーとともに、商品の開発や販売、ワークショップ等の機会を通じて、持続可能な森づくりとものづくりに挑戦していきます。

『飛騨の森 カトラリーセット』のご購入はこちら

パタゴニア公式オンラインショップ