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  • 木のトリビア
適材適所で木を使う為のメソッド 〜水回り編〜

水回りで木を使う

キッチンのカウンタートップに木を使いたい。でも腐食が心配・・・。そんなときにオススメな木が、飛騨の「ヤマザクラ」や「クリ」などです。タンニンという物質を含み、水や虫、腐食に非常に強いことから、なんと縄文時代から水回りに強い材として使われているのです。 17692365_1386473868070661_1469121343_o ↑こちらはヒダクマで製作したヤマザクラのキッチン・カウンタートップ。

木が腐るメカニズム

そもそも木が腐る原因とは、何なのでしょうか。 水だと思った方。いいえ、違います。世界最古の木造建築である法隆寺は、1000年以上もの間雨ざらしですが、腐っていません。 木が腐るのは、「木材腐朽菌(もくざいふきゅうきん)」と呼ばれる菌が木材を分解しているからなんです。 木材腐朽菌が繁殖する条件はいくつかあるのですが、最も大きな条件は「高い湿度」です。湿度80%以上の環境が彼らにとってもっとも住みやすい環境といわれています。木が湿った状態で乾くことができない状況が、最も菌の活動をより活発にさせてしまうのです。 つまり、「雨ざらしの屋外」よりも、「常に湿気が発生しがちな空間(バスルーム、キッチン、洗面所など)」の方が実は菌にとっては好都合だったりします。

木は水を吸う

菌を繁殖させてしまう原因の一つが、木が水を吸ってしまっている時です。木は、もともと立ち木の時は地面から水や栄養分を吸い上げるようにして循環しています。(じゃあなんで立ち木は腐らないのよ、って話は下で説明します) その構造は板材になった状態でも変わらず、つねに水分や湿気を吸ったり吐いたり「呼吸」しています。木が水を吸い、それを吐くことができなくなった場合、つまり呼吸ができなくなった場合に、木材腐朽菌が繁殖していき、木が腐ってしまうというわけです。

木材腐朽菌が繁殖しない条件

木を腐らせない為には、木材腐朽菌の繁殖を食い止める必要があります。菌が活動するのは一定の条件が満たされた時。つまり、その条件を満たさないようにすれば良いワケです。

  • 湿度を保つ 部屋そのものを風通しの良い構造に設計することで、菌の繁殖を抑えることとができます。
  • 水を吸わせない。吸わせても吐き出せるようにする 木は木口部分から水を吸っていくので、水が直接かかる部分に木口が露わにならないように設計することが重要です。また、木の呼吸を妨げる過度なポリコーティングも辞めておきましょう。
  • 菌に強い木を使う 菌に強い木とそうでない木が存在します。弱い木だとすぐに腐ってしまいます。
  • はっ水塗装を施す 水を弾く塗料としてウレタン系塗料や、ガラス塗装などがあります。内部に浸透させて固める塗料もあります。ただしコーティング系の塗料は水をよく弾きますが、コーティングが剥がれたときに大変なことになります。
  • 濡れたまま放置しない 普段のお手入れも忘れずに。

 木材腐朽菌につよい木

「腐りにくい木」といわれている木は、いわゆる木材腐朽菌が嫌がる成分(ポリフェノール、タンニンなど)を多く含んでいます。飛騨の広葉樹だと以下の木材が該当します。

例えばナラは非常に硬いので耐久性が必要とされる構造部分に適しています。しかし、上記の木に比べると抗菌作用はそれほどでもなく、水回りで使うには適していないといえます。クリやホオは柔らかいですが抗菌作用が高いため腐りにくい。 必ずしも「硬い木=耐久性がある」ではないのです。 ↑シンクはオーバーカウンター型(上からかぶせるタイプ)がおすすめ。アンダーカウンター型(下から取り付ける)だと、水を吸いやすい木口部分が露わになってしまい、菌が繁殖し易い状態となります。 IMG_1523 ↑洗面所の建具をヤマザクラでつくりました。湿気防止の為、オイルではなくウレタン系防水処理を施しているので、若干艷やかな仕上がりとなります。 ただし、抗菌の強い木を使い防水処理をしたからといって、水に濡らしまくっていいわけではありません。どんな強い木でもいつかは腐ります。 また、木の樹皮に近い部分は、「辺材」や「白太(しらた)」と呼ばれており、立ち木だったころに水分や栄養分の通り道だった部分です。この部分は材になったあとも水分をかなり吸います。さらに木材腐朽菌の好物である糖分やデンプンを豊富に含んでいます。色が白いので見分けは簡単。意匠的に「耳」を残して使うこともありますが、腐りやすい部分なので水回りでの使用は避けた方が無難です。 ↑樹皮側の部分で、色が白い部分が白太(しらた)。この部分が、立ち木だった時の養分の通り道。内部の色が濃い部分に、殺菌作用のある成分などが凝縮されています。立ち木が地面から水分を吸っているのに腐らないのは芯材に成分が詰まっているからです。   木が腐る条件とその対策さえ知っていれば、水まわりに木を使うことは可能です。木を単なる「テクスチャー」として使うのではなく、その特性を知り適材適所で使うことこそが、最も重要なものづくりのメソッドなのです。ぜひご参考に! 余談ですが、木材腐朽菌の正体はシイタケなんです(数ある腐朽菌の中の一部ですけどね)。物を腐らせてしまうけれど、時にはおいしい食物にもなる。シイタケエキスとも呼ばれる旨味成分、広葉樹とどんな関係があるんでしょうか。菌と木の関係はヒダクマでも研究していきたいと目論んでいます。 深めれば深めるほど面白い木のこと、いかがでしたでしょうか? 今後もシリーズで木の豆知識をお伝えしていきます。 「この目で見て、この手で作りたい!」という方はぜひ飛騨へ、FabCafe Hidaへ、木と暮らす楽しみを学びにお越しください。 

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