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  • 組木
知れば知るほど奥が深い組木に世界が大注目。
その魅力を大公開!

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こんにちは、ヒダクマ 蔵長の浅岡です。
FabCafe Hidaから歩いて30秒という近所に、世界でも珍しい組木の博物館があります。
「飛騨の匠文化会館」は、飛騨の匠の歴史や技術、知恵を後世に残すために、およそ28年前に建てられた施設です。

館内には、組木や千鳥格子のパズルを手で触って組立ててみるコーナーもあります。

館内には、伝統的な木造建築に用いられている「組木」に見本や、古い大工道具など展示されており、その内容数は日本でも屈指レベルだそうです。
今回は、その「飛騨の匠文化会館」に展示されているユニークな組木のあれこれをご紹介します。

組木って?

昨今、日本の伝統的な建築で使われる組木に世界中から注目が集まっています。
組木は、切り込みを入れた木材同士をつなぎ合わせ、がっしりとした立体に組んだり、材を延長することができる木造建築の技術。その歴史は平安時代にまで遡ります。
飛騨地方では、古来より組木を使った住宅や寺院が建てられ、その技術が受け継がれながら大工の町として発展を遂げてきました。その過程で、職人の技量や知恵の見せ合いや意匠として、複雑で難解な組み木が数多く生み出されてきました。

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組木が凄い5つの理由。

釘やボルトなどの金物に頼らず、木の継手の組み合わせで家を組み立てる。どうしてこんな面倒なこと(?)に今注目が集まっているのでしょうか?それには以下のこんな凄いわけがあります。

1.圧倒的な強度を生み出せる

角材同士をつなぎ合わせるということは、当然その接合部に強度が必要とされます。異なる角材を一体化させるかのように生み出された強度は、揺れや衝撃を分散し、高い強度を保つように設計されています。現在はビスやボルトなどの金物を使った、いわゆる「在来工法」が一般的ですが、腐食や木の経年変化などにより、金物にゆるみが発生し、強度が落ちてしまう恐れがあります。

飛騨の匠文化会館の内部構造。この施設は金物を全くつかわず、組木だけで建物が構成されています。

2.材を延長できる

木材の長さは限られています。しかし、組手を使えば1mの材を3mに延長することもできる。強度を持たせながらどこまでも延長することができます。

こちらは30ミリ角で長さ1メートルの短い角材を「腰掛け栓継ぎ」で繋ぎ、4メートルに仕上げた家具の部分写真。

3.腐った部分を切り落として、補填できる。

あらゆる物質は、年月を経て朽ちていくもの。しかし、朽ちてしまった部分を取り除き、組木を使って再び新しい材を補填することができます。これが木造建築が世界で最も長く持つ建築の1つである所以でもあるのです。

築100年以上のFabCafe Hidaも、柱の腐食が著しく構造が成り立たない状態でした。そこで、腐食した部分だけ切り抜き、新しい材を「大栓金輪継(だいせんかなわつぎ)」で補填しました。

古い部分と新しい部分の明暗がとても美しく仕上がっています。

4.解体して、移動、再び組み立てることができる。

家を解体して別の場所で建て直す「移築」は、大昔から行われてきました。現在も、空き家となった古民家を移築して住み直す人も増えています。これも、釘を使わない建て方だからこそ可能な方法なのです。

築150年の古民家を解体している様子。

飛騨の人気民芸店、「やわい屋」としてあたらしく生まれ変わり世代を超えて住み継がれています。

5.木を熟知した職人だけが成せる技術。

木は生き物なので、木目の向きや経年変化を読み取り、その木がより長く強く、そして美しく保てるような使い方をすることが必要となります。高い技術を持つ職人が、木の性質を取り込みながら発展してきたのが、この組木の技術なのです。

木の形状や木目を読み取り、正確に印付けを行う大工さん。

匠文化会館に貯蔵されているユニークな組木 9選

飛騨の匠文化会館では、構造的にとても考えられた組木から、職人の遊び心があふれるユニークな組木、現代の職人に挑戦を突きつけるような難解な組木など、飛騨のクラフトマンシップを存分に堪能することができます。その一部をご紹介します!

鶍継ぎ(いすかつぎ)

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鶍(イスカ)とは鳥の名前ですが、鳥がくちばしを広げているような状態のことを指す建築用語だそうです。見ての通り、斜めに欠き取られた仕口はくちばしのようですね。
この継ぎ手は、天井竿など細い角材を長く繋ぐときに用いる継ぎ手で、上部からの荷重に強いそうです。斜めにスパッと繋がる様子は、見た目的にも美しいので、よく見える部分に意匠的に使う「化粧継手」としても使わるそうです。

 

鶍鯱(いすかしゃち)

image2鯱(しゃち/車知とも)とは、ホゾと溝にまたがって差される細い棒のこと。こちらはイスカ継ぎにさらに鯱栓をいれることで、より強度を高めた継ぎ手となっています。(肝心の鯱部分は欠品してしまったそうです。。)

 

腰掛蟻継(こしかけ-ありつぎ)

image20腰掛けとは、写真下段の凹凸部分、蟻は、台形のような形をした仕口のことです。この2つのあわせ技がこの腰掛蟻継ぎ。主に建築の横軸方向の継ぎ手として使われ、上部からの荷重とひっぱりに強い仕口です。

 

独古組み(どっこぐみ)

image10こちらは大阪城の追手門に使われている継ぎ手を再現したものです。当時は継いだ状態からは内部構造がどうなっているか不明で、X線による解析で内部構造が分かったそうです。縦にも横にも動かない、とても難解な組木です。

 

四方金輪(しほうかなわ)

image11テレビなどでも最もよく目にする金輪継ぎですが、縦横あらゆる方向からの荷重に耐えられる最強の継ぎ手として知られています。しかし、この四方金輪はとても特殊で、4面全てが金輪状態となっており、継いだ状態を見るとどの方向から差し込んだのかサッパリ分からないようになっています。斜めから差し込むことでこの形状を可能にしているわけですが、これはもはや完全に大工さんの遊び心と言えます。

 

送蟻(おくりあり)

image6縦軸と横軸を組むときに使う継ぎ手です。男木(オス部分のこと。メス部分は女木と呼びます)を差し込んでスライドすると固定されるというトリッキーな構造。反対方向にスライドすると簡単に外れます。

 

仕掛蟻(しかけあり)

image7女木を一段階欠き取り、その中にさらに蟻組みで固定するという継手です。蟻組みは引っ張りに強いという性質がありますが、それ以外の荷重には強くないので、他の継ぎ手とのあわせ技を用いることでパワーアップさせることが多いようです。

 

四方変形(しほうへんけい)

image1四方変形は、どの面からも異なる継ぎ手を用い、さらに、繋いだ状態ではどうやって繋いだのか分からない継ぎ手です。このようなトリッキーな継ぎ手は、構造よりも意匠的に使われ、特に寺や城など特別な場所に使われていたそうです。一見不可能に見える不思議な見た目は、魔除けの為に使われたと考えられています。

 

番外編:大工のスキル検定

image17こちらは若手大工の実技試験で使われたものだそうです。この中に基本的な仕口や継ぎ手のノウハウが凝縮されており、それらをいかに早く正確に作れるかどうかが、昔の大工さんのスキル検定だったそうです。

 

いかがでしたか。古来より継承されてきた組木は、いつ見ても新しい発見や学びがあり、昔の大工さんの技術や工夫、心を読み取ることができます。これらは決して過去の遺産ではなく、現代の暮らしに合わせてアップデートできる余地が残されているのではないか。今、そんな組木の可能性が注目を浴びています。

ミラノ・サローネ2018に、飛騨の組木が登場!

毎年4月に行われる、世界的なインテリア見本市ミラノ・サローネで、飛騨の匠文化会館の組木サンプルが展示されます。
「何かと何かを繋ぐジョイント」をコンセプトにした企画展で、様々なデザイナーがジョイントをモチーフにしたプロダクトを展示。その中で、世界のジョイントを紹介するコーナーで飛騨の組木が展示される予定です。
乞うご期待ください。

日時:2018年4月17日〜4月22日
場所:イタリア、ミラノ「Spazio Maiocchi」
Web:http://spaziomaiocchi.com/

FabCafeに滞在して 組木を体感しませんか?

匠の醍醐味がつまった飛騨の匠文化会館は、FabCafe Hidaより徒歩30秒。建築やものづくりに携わる方や、そうでない方もたっぷり楽しめます。
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