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キングストン大学建築ユニットによる木材合宿レポート Day 5

Day 5

 

プロトタイピング

最終日の5日目は終日FabCafe hidaの工房にて作品の完成と16時からの地域に対する発表です。
発表予定の作品は、ユニット5チームが来年の3月にイギリス、バービカン美術館にて展示予定の茶室の1/2スケールのプロトタイプと飛騨への提案を組み合わせたもの。来年バービカンにインスタレーションする茶室は、建築家 藤森照信とのコラボレーションによるもので、今回飛騨で学んだ伝統建築の技術や組木の学びを生かします。ユニット5のチームは、イギリスの郊外に広がる既 存の郊外住宅のあり方を見直し、コミュニティーを重視した新しい住宅の提案を行う予定で、その一環で種蔵集落や飛騨古川、高山の街並み調査も行いました。

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移動式屋台型茶室(Mobile Tea House)

今回、飛騨への提案作品となるのは、移動する屋台型茶室です。飛騨の広葉樹と伝統の技術をつかった茶室が車の付いた移動式屋台に乗り、FabCafe hidaを飛び出してみなさんの元にアクセス可能になり、飛騨地域とFabCafeの新しいコミュニティーをつなげる狙いです。
茶室のプロトタイピングには、飛騨の広葉樹である栗の木の端材(家具などにはならない余った材)を使います。屋台のインスピレーションの元になったのは、組木をつかった板倉づくりが残る種蔵集落で見た蕎麦の屋台と、鮎飛さんのガイドにより古川の町歩きで見た祭りの屋台です。

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この発想を元に、宮川の伝統建築を大事にする大工の荒木さんに学んだ手工具使い、田中建築で学んだ木組みの知識を生かします。

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構造には匠文化館で直井さんに学んだ組木の凹凸を組み込み、屋台の上に茶室が乗った作品を製作します。

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バービカンの庭園をイメージし、茶室のモデルをつくるチーム、FabCafe hidaの機械都工房をフル活用し、木をつかって技術を駆使して実際の茶室屋台をつくるチーム、これまでの合宿でのリサーチプロセスと学びを共有するプレゼンチームの3チームに分かれ、作業は佳境を迎えています。

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発表

16時!いよいよ発表の時間です。飛騨古川の住民の方々がプレゼンを聞きに来てくださいました。
プレゼンは来年のバービカンでのインスタレーションの発表について、郊外住宅への新しい住宅提案について、そしてそれらを目的に今回飛騨で習得した一連の学びについての共有があり、最後の成果物として移動式の屋台茶室を発表しました。

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見に来てくれた地域の方々からも質問をいただきました。また、今回ご協力をいただいた田中建築の田中さんからは、「こんな短期間でこれほどの完成度の作品ができるとは期待していなかった」という感想をいただきました。

これが完成型の移動式屋台型茶室です。

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最も印象的だったことと今後に活かせることは?

学生さんたちが今回の合宿で最も印象的だったと話していたのは、いかにつくり手たちが細部までこだわり丁寧な仕事をしているか。木という自然素材のみで家を建てるために釘を使わないように生み出された匠による幾つもの複雑な組木たち。
そして、木という生きた素材に寄り添って生きる暮らし方を提示し実行している人々ーそれは決して目立つようなデザインではないけれど、木が本来持つ特性を生かし、それに合わせたデザインや暮らし方を提案する建築家や大工たち。
木を伐り出し、道具も自らの手でつくり、製材から建てるまで一連のプロセスをすべて面倒見るという覚悟で取り組む姿勢に大きな衝撃を受けたそうです。

そういったものづくりへの姿勢や丁寧な仕事ぶり、伝統建築の技術などは今後彼らのものづくりに確実に生かしていける、と話していました。

 

合宿を終えて

今回の合宿の段取りから実施の一連のプロセスで一番印象的だったことは、このユニット5のチーム力の強さです。何かを話し合う時のテンポの良さ、エネルギーレベルを高め合おうとする気風、話し合う中で当然意見が割れることもあるけれど、互いの意見を尊重しわかりあうまで話し合う根気強さ。そして一度決めたらそこに向かっていくスピード感とトライアンドエラーを繰り返すチャレンジ精神。もちろんそれも、ご協力いただいた飛騨地域の皆さんから得たインスピレーションが彼らの士気を高め、反応し合った結果に違いありません。目に見える学びと目には見えないけれど確実に糧になり未来の挑戦へつながっていく学びがあったと感じました。

こうした合宿やデザインレジデンスを通じて、外国人の視点で見た飛騨の伝統建築や木の生かし方、暮らし方への提案が、丁寧な技を施す職人さんたちとの融合により驚きや楽しさを持つ製品やサービスの誕生につながると信じ、引き続きプロジェクトを行っていきます。

 

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