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  • イベントレポート
廃材を素材として見ると価値が生まれる

3月12日(土)、FabCafe Hidaにて、第4回目となる飛騨の森でものづくりを考えるワークショップを開催しました。

テーマは「木と異素材の組み合わせ と 廃材のアップサイクル的素材開発 〜商品のデザインを考えるのではなくマテリアルのレベルから考える〜

 

ゲストには、東京大学大学院の建築学科を修了し建築を中心としてインテリア、プロダクト、インスタレーションなどの領域を横断しながら活動し、ニューヨークADCなどを受賞している建築家の大野友資氏をご招待。

 

今、全国のTSUTAYAやセレクトショップなどで目にすることもあると思いますが、大野さんが『You Fab2012』で優秀賞を受賞した 『360°Book』は世界中で話題に!

 

今回ご来場いただいた皆さんは、地元古川からだけではなく、白川村から地域おこし隊、高山市からは木工具家具職人で、現在飛騨で木工を学んでいるデンマークの方、高級家具を扱う木工メーカーの木工職人や、ペーカークラフト作家さん、遠方の長野県飯田市からは人形作家さんたち。様々な端材を手に手に集まってくださいました。

 

ワークショップは大野さんの活動内容の紹介からスタート。大野さんが所属している設計事務所(http://www.noizarchitects.com/)で携わったプロジェクトの紹介から始まり、

 

グラフィックデザイナーの岡本健さんとの協働で去年東京ミッドタウンで開催された単位展で発表した「ことばのおもみ」。動画 https://vimeo.com/138501981

 

次は大野さんの代表作「360°BOOK」。 一冊の本をぐるっと開くと、中に空間が生まれる本。とても高度な技術で作られていて、これを製作している各工程における町工場では技術のレベルが底上げされて、これ以降、今まで受けられなかった仕事を受注できるようになったそうです。(いいストーリーですね〜)

360°BOOKのシリーズは現在11種類。そのうちの3シリーズはFabCafeのブランドブックとして制作し、今年のカンヌライオンズなど幾つかの賞を受賞。 動画 https://www.youtube.com/watch?v=jPea1Z1eQ6s

様々なフィールドで多岐に渡って作品を発表している大野さんですが、今まで見たことや感じたことのなかったモノの質感、素材感を毎回発見しようとしているそうです。そんな大野さんが飛騨のリソースとどうマッチングするのか。早速、本日の本題へ!

今回のテーマをおさらい。『①木x異素材 ②廃材利用 〜商品のデザインを考えるのではなくマテリアルのレベルから考える〜』

まずは「木x異素材」をテーマにした事例の紹介から。

これは大野さんがヒダクマのために提案した作品。飛騨の匠の技術、組木を取り入れた「壁継」という家具です。デジタルファブリケーションを駆使する大野さんならではの3Dプリントとのハイブリッド。実は大野さん、過去に一度飛騨に来て飛騨の広葉樹を使い、これらのプロトタイプをつくっています。大野さんがデザインしたのは壁に取り付く木でできた凹の部分のみ。ジョイントの部分をオープンソースにすることで、凸の部分は好きな形に3Dプリントしてはめ込んで様々な機能を持たせることができます。

 

例えばハンガー、花瓶掛け、メガネホルダー、小物いれなど。使う人が好きに機能を拡張していけるように、フォーマットの部分をデザインしたといいます。

 

「木xゴム素材」の事例では、

 

ゴムを利用して木をつないだ実験的なプロジェクトが例に出されました。(デザインは大野さんではありません)

 

そして大野さんが飛騨でやってみたいこととして、3次元切削マシン(CNC)用のマテリアル開発があげられました。

例えば飛騨の木工所から出るおがくずや木材のチップを原料に樹脂などを混ぜて、デジタルファブリケーションでの切削に使うことができる新しい木質系の素材を開発することができないか。

大野さんはこういった素材自体の可能性を考える”プロダクトデザインの一歩手前”に興味がある、と言います。

そして既存のフォーマットやルールに意味を与えることがデザインだと考える、と話します。

次に「廃材利用」のお話へ。廃材や端材など地域に眠る低価値や無価値と思われているものを一手間かけることで、素材としての価値を高める方法を編み出したい、と話します。

大野さんが強調していたのは、環境に良いことをしなくては”とか、”もったいない”、”エコでなきゃ”といった発想ではなく、『何かをつくりたい』、そのために必要な材料がたまたま廃材や端材のなかにある、という逆の発想。例えば、蚤の市などではいい割れ方をした茶碗が「金継ぎ用」として売られていることがあるといいます。素材として見た時に、いままでと全く違う捉え方や価値が生まれます。

 

皆さんの身近にも、もったいないな、と思う廃材や端材がたくさんありませんか?ヒダクマが飛騨で集めたのは、FabCafe Hidaの蔵から出てきたタイル、木工の現場でカンナで削る時に出るカンナ屑やおがこ、家具メーカーで出た曲げ木の不具合品、ガラス屋さんで出るガラスの不良品、その他、鋳型工場ではたくさんの金属の廃材が出ます。銅、チタン、鈴、亜鉛など。

飛騨の家具の歴史をつくった世界的に代表的な技術といえば”曲げ木”。曲げ木には相当な労力と費用がかかっているにも関わらず少しでもしわや傷があると、もうそのまま”ゴミ箱”行きの運命。

では、参加者の方の端材、廃材のストーリーを聞いてみましょう!

こちらは木工メーカーに勤める木工職人さんが持参された牛皮。とっても高級で端材でさえもこれを使えるなんて贅沢!と思わせるほどのクオリティ。ただ、多くの消費者が傷やシワなどのついてない画一的な製品を求めるため、少しでも傷があったら致命的。その皮の運命は一気に”端材”という刻印が押され、”ゴミ箱”行きのカートへ。そして籐編みに使う藤も同じように捨てられる運命に、、。

 

白川村からご参加された方は町おこしの一環として行っている古民家活用でリノベをする際に出てくる古材。飛騨には100年以上も経った古民家を解体し、その家を支えていた古い柱をまた新築に再利用するような若手の大工さんもいますね。古いものに息吹きを与え、何世代も生きわたらせてゴミを生まないといった考えからなのでしょうね。

 

参加者が持ち寄った端材は、それぞれ「こんな風に活用できるのではないか?」というアイデアを交換し合い、たくさんの学びと発想のヒントをもらえる時間となりました。これら以外にも「木 x ⚪️⚪️」という発想はいくらでも出てきます。「木 x LED」で照明素材を木に。「おがこや木屑 に何かを混ぜて」子供が遊べる粘土に、、とか。

最後に、ご参加いただいた方々からと大野さんの感想を一部ご紹介。

Q: 今日参加した感想は?

現在、飛騨の木工家具の技術を学んでいるデンマークから留学中のアダムは、「木と異素材を組み合わせるということはとても面白いと思う。だけどその異素材をどのように組み合わせるのか、つまり素材開発のどの段階でどのように素材を加工し組み合わせるのか、そんなところにもまだまだ可能性が潜んでいそうですね」と。

その他にも、「廃材と異素材の組み合わせで価値が高まるということは新しい発見でした」、「大野さんの発想『価値を高めることや新しい素材にすること』など廃材ありきで考えないことが参考になった」、「木工メーカーで新技術素材を探していたが、いろんな技術を知られて探す意欲が湧いてきました」、「家具のリペアの仕事がしたいのでそれに異素材を組み合わせて作れたら楽しいなと思ったので、これからも参加したいです」

Q: 今後やってみたい木と異素材との組み合わせでつくりたいものは?

「木材を人形づくりに活用したい」、「子供の感性を育む感触にこだわった鉛筆を開発したい」

Q: ヒダクマやFabCafe Hidaに求めることは?

「木に生息する微生物やバイオ関連の研究者を呼んでほしい」、「様々なアイデアに増える子ができる場になれば良いなと思いました」、「異質なアイデアが出会うオープンなプラットフォームであってほしい」

などの感想をいただきました。

そして大野さんからの感想は、

今回のワークショップは、時間内に何かをつくるというタイプのものではなく、今後も続いていく開発プロジェクトの第一弾という位置づけでした。 木だけでなく、革やガラスという素材が集まったのも良かった。素材や専門的な技術をよく知っている職人さんのおかげで、僕自身とても勉強になりました。