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瑞浪駅前「Mビル」で可変性と風通しが交流を生み出す
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Outline

2020年12月、瑞浪駅(岐阜県瑞浪市)前にある商店街に開設されたコミュニティースペース「Mビル」。竣工から約1年がたち、現在では日常的な利用だけでなく、イベントスペースや福祉相談窓口など多様な使われ方で市民の方々に親しまれています。

瑞浪駅は学生や通勤者などの利用者が多い一方、待合室をはじめとした居場所がありませんでした。そんな中、駅前にコミュニティースペースができたらどうなるか。それを検証すべく、駅前周辺の活性化を目的に始まったのが、「Mビル」を起点とした瑞浪市の社会実験でした。

「Mビル」の空間・家具デザインを担当したのは、コミュニケーションを生む空間や家具の設計を得意とする岩沢兄弟(バッタネイション)。ヒダクマは2020年7月から2021年3月にかけて、製作ディレクションや木材コーディネーション、Mビルの運営支援を通じてこのプロジェクトに携わりました。

プロジェクト概要

支援内容:木材コーディネーション・製作・製作ディレクション

期間:2020年7月〜12月(空間設計・製作)、 20210年7月〜2021年3月(運営支援)

体制:
クライアント:瑞浪市、森ビル都市企画
空間・家具デザイン:岩沢兄弟(バッタネイション)
木材コーディネーション・製作・製作ディレクション:岩岡 孝太郎、浅岡 秀亮、黒田 晃佑、門井 慈子(ヒダクマ)
運営支援:松本剛、志田岳弥(ヒダクマ)
施工:板垣建設
製作:飛騨職人生活、すぎした工房

Outputs

駅前と接続するファサード、交流が生まれる空間

10本の建具が全て一箇所に収納できるファサードは、駅の改札口からも見えるMビルが駅前と接続するスペースになるためにデザインされました。ミズメザクラを使用した建具は、ガラス張り。閉めていても中の利用者が見え、開ければ商店街と空間が同化し、駅前をゆく知り合いに直接声をかけられる、そんなファサードになっています。

歩道に面したエリアには、段違いの箱型家具「縁側ベンチ」を配置。老若男女が訪れることを想定し、使う人の背丈に応じてベンチやテーブルとして使える設計となっています。

<ファサード 仕様>
素材:ミズメザクラ
サイズ:各W1,150×H2,000mm
仕上げ:浸透性ガラス塗装

<縁側ベンチ 仕様>
素材:白樺合板、クリ、ナラ、ブナ、ミズメなど
サイズ:各W1,600mm×L1,100mm×H800mm, W1,600mm×L1,100mm×H420mm
仕上げ:浸透性ガラス塗装

柱を囲むカウンターも設置

屋台のような車輪付きカウンターは、通常利用の際にはテーブルとして、イベント時には物販用カウンターとしても活用可能。その他の家具もひとりで持ち運び可能な仕様となっており、広々としたMビルの利用シーンに応じて家具の配置が変更できます。

<カウンター屋台 仕様>
素材:ラワン合板、クリ、ナラ、ブナ、ミズメなど
サイズ:各W1,400mm×L800mm×H900mm(上部フレーム除く)
仕上げ:ガラスクリア塗装

<受付カウンター 仕様>
素材:白樺合板、セラミックタイル、ミズメ
サイズ:各W5,700mm×L2,300mm×H1,000mm
仕上げ:ガラスクリア塗装

<カフェテーブル 仕様>
素材:ラワン合板、クリ、ナラ、ブナ、ミズメなど
サイズ:各W700mm×L700mm×H724mm
仕上げ:ガラスクリア塗装

<柱巻きカウンター 仕様>
素材:ナラ、ブナ
サイズ:各W1,100mm×L900mm×H1,000mm
仕上げ:オイル塗装

<壁面カウンター棚 仕様>
素材:ナラ、ブナ
サイズ:各W2,400mm×D250, W5800×D250mm
仕上げ:オイル塗装

カウンター天板には、瑞浪市に隣接するタイルで有名な多治見市のタイルを使用

瑞浪らしい交流のありかたを考え、やってみる

瑞浪駅は若者を中心とした多世代のたくさんの利用者がいるにもかかわらず、周辺での滞在時間が少ない、住民同士の交流が生まれないという課題がありました。ヒダクマはFabCafe Hidaの運営のノウハウやネットワークを活かし、竣工後のMビルの利用を促すために社会実験期間中のスペース運営やイベント開催をサポートしました。数カ月間をかけてリサーチや地域の方々との関係つくりを進め、将来のMビルがより良いコミュニティースペースになるためにどのような交流が必要かを探り、スペース運用についてのアドバイジングや、複数のイベントの企画・運営を実施しました。

地元瑞浪にUターンし、クラフトビールの醸造所「カマドブリュワリー」を立ち上げた東恵理子さんと開催したトークイベントでは、地域の魅力を発掘するビールづくりについて紹介していただき、参加者とともに瑞浪らしいビールやビールを通じた瑞浪の活性化について考えました。

違った価値観を持ち活動している同年代との交流をテーマに実施したトークイベント「Z世代の生き方に学ぶこれからのコミュニティスペース」には、Z世代落語家の桂枝之進さんをゲストにお招き。イベントに参加した瑞浪高校の学生と活動をプレゼンし合い、落語パフォーマンスを披露。

Process

地域性を取り入れた、家具とコンテンツづくり

現場でも飛騨の職人と作業

天板は、多樹種の広葉樹をはぎ合わせることで、小さな広葉樹や節をはじめとした大量生産の家具向けではない木材もうまく生かして、飛騨の森らしい表情をつくりました。その一方で、Mビル内の家具で最も大きな受付カウンターには、飛騨の職人が多治見市を訪れて買い付けたタイルが貼られています。それは、地元の素材を使いたい、という思いから。レーザーカッターで製作した木枠を用い、高精度で効率よくタイルを貼り付けていきました。

現在、Mビルは地元の事業者が中心となって運営されています。地域内外の活発な方々が利用してくださっていることもあり、竣工当時よりファサードが全開になる機会も増え、Mビルと駅前が一体に。ミズメの建具も喜んでいるはずです。

Members

いわさわひとし|Hiotoshi Iwasawa
岩沢兄弟(バッタネイション)

1974年千葉県生まれ。多摩美術大学建築学科卒業。岩沢兄弟の立体物デザイン担当。空間デザイナー、車輪家具プロデューサー。空間デザインからイノベーション家具、名刺ケースまでなんでもつくる。無類の車輪好き。
https://battanation.com/

いわさわたかし|Takashi Iwasawa
岩沢兄弟(バッタネイション)

1978年千葉県生まれ、武蔵野美術大学短期大学部生活デザイン学科卒業。岩沢兄弟のWeb、映像、音響、よろずディレクション担当。趣味は自作楽器の演奏。
https://battanation.com/

浅岡秀亮|Hideaki Asaoka
飛騨の森でクマは踊る
木のイノベーター 

岐阜県飛騨市出身。名古屋芸術大学卒業後、家具メーカーやインテリアデザイン事務所で家具製作・デザインを経験。2016年にヒダクマに参加し、プロダクト開発や設計、制作、施工など幅広く担当。

志田岳弥|Takeya Shida
株式会社飛騨の森でクマは踊る
森林・地域交流プロデューサー

1991年東京生まれ。琉球大学農学部を卒業後、国際協力機構(JICA)青年海外協力隊として南米で環境教育に従事。業界紙記者やフリーの取材活動を経て、2020年6月よりヒダクマに所属。

Member’s Voice

プロジェクト立ち上げ時に建物を訪問し、シャッターが開いていたころの情景を思い浮かべながら建物内の階段に佇みました。そこから見えたのは、駅前ロータリーの階段に座る学生たちでした。どうしたら、彼らに快適なベンチのように建物を利用してもらえるのか、ヒダクマのみなさんと仕込んだ、ちょっとした違和感と入りたくなるキッカケが活用され、引き続きいろいろな活動が生まれる場所となることを期待しています。

岩沢兄弟

瑞浪の駅前の商店街で、シャッターを閉じたまま長い年月を眠り続けたこの建物。中に入ると、薄暗くて冷たくてまるで息をしていないような空間でした。しかしそこに工事が入り、壁や床を仕上げ、広葉樹が入るだけでとても明るくなり、色気づき、なんだか空間が「生きてる」ような雰囲気に。建物が体だとすると、広葉樹の家具はまさに「血」を巡らせるようなことなんだね。(いや、臓器か?)

浅岡秀亮

現地でリサーチを進める中で「瑞浪、面白いですか?」という質問を何度か受けました。みなさん、自分の思う瑞浪の面白さと、外の人間が感じる面白さの答え合わせをするような、そんな聞き方でした。そうした方々に人や場所を紹介してもらったり、キャッチボールを重ねたことで、Mビルが瑞浪らしい場所になったのではないかと思います。

 

志田岳弥

竣工写真:長谷川健太
文:志田岳弥

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