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ヒダクマが行く、奈良県奥大和。いつもと違う森でいつもを見つめ直す。

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 日頃から「飛騨の森へ来ませんか?」とさまざまな人をお誘いしているヒダクマ。今回私たちは、いつもの飛騨の森を離れ、吉野杉に代表される美しい針葉樹の森に出会いに奈良県奥大和を訪れました。いつもと違う森で、ヒダクマメンバーたちは何を感じたのでしょうか?ヒダクマが行った奈良県での2泊3日の社員研修の様子をレポートとしてお届けいたします。

いつもと違う森を「歩く」3日間。

 今回の研修のテーマは、「いつもと違う森を歩き、いつもの森を想う」。私たちが普段歩いている広葉樹の森とは違う森を歩くことで、改めて飛騨の森へ想いを巡らすことが大きな目的でした。奈良県は日本最古の造林地とされており、古くから人が木を植え育ててきた、いわば人が関わり続けてきた森です。この場所を舞台に奈良県奥大和の曽爾(そに)村、吉野町、天川(てんかわ)村の3つのエリアで「MIND TRAIL 奥大和 心のなかの美術館」が開催されており、私たちはこのトレイルコースを中心に奥大和の豊かな自然を巡りました。

森が、町が、舞台の美術館 -MIND TRAIL-

 MIND TRAILは歩く芸術祭と言われていることもあり、そのトレイルコースは6〜10 kmにおよびます。「歩く」という行為を通して展示された作品を見ることで、背景となっている森や川、町にも自然と目が向きます。背景の方に惹かれすぎて、トレイコースから外れてしまうこともしばしば。ひとりふたりとコースアウトしていきました。作品を見に行っているはずなのに、その地域の自然、人の暮らしなど、作品以外の発見があることがホワイトキューブで行われる展示会との大きな違いであり、「歩く」ことの良さだと感じました。

 

鈴木文貴さんの『草の建築』
草でできたオブジェの中に入って、草だらけになりました。身体が山の中に呑まれるのを体感してから、この作品を遠目に振り返ると、周りの山々のようにも見えてきました。山と人とのスケールの関係性がごちゃっと混ざり合うような感覚を味わいました。

トレイルコースから外れて歩いていたら、何かの骨を発見。こ、これは、もしや人骨??念の為、曽爾村役場の方に報告したら、「よくあるシカの骨です」とのこと。よくあるんですね。笑

姿が見えないなと思っていたら、川で寝ていた岩岡。このようにトレイルの側の森や川に惹かれ、ひとりふたりとコースから外れていきます。

黒田は大きな木があると、志田は川があると走って消えていきます(木に抱きついているのが黒田、奥の川にいるのが志田)。松本は森の中で味や香りがしそうなものを見つけると、気づいた時には口に咥えています。

浅岡は、飛騨とは異なる民家の佇まいや道路側(人から見える側)に縁側があることに着目したそう。この3日間で50枚以上もの民家の写真を撮っていました。

吉野の山桜。吉野山には平安時代頃から山桜が植え続けられてきた人と関わりの深い森。今はここに住む3人の人の手で守られているそう。

真っ直ぐに密集して生えたたずむ針葉樹林。木漏れ日も飛騨の森とは違う表情を見せてくれます。

自然に溶け込むような展示が多かったのが天川村。一番良かったとヒダクマからは好評だった場所です。松本は、なぜ良かったのかを次のように表現。
『先達たちがこの地でくり返してきた行為がもっとも感じられる土地であり、その土地自体の力と、それに参画クリエイターが呼応し人々のくり返しのひとつとして生まれた、作品たちだったからではないかと思う。』

自然の中に作品が展示されており、その中を歩いていきます。

森の中に突如現れたベット。こんなところにあったら寝ちゃいますよね。

山添村、吉野町それぞれの地域に根付いた宿に滞在。

 2泊3日の研修。1泊目は山添村にあるume, yamazoeに、2泊目は吉野町にあるゲストハウスKAM INNにお世話になりました。

【ume, yamazoe】

 umeにはアウトドアフィンランド式サウナがあり、みんなでサウナに入りました。近隣地域の木々から作られた薪ストーブの炎による暖かさに包まれ、じわじわと汗をかいていきます。umeは集落の一番上にあるので、山添村や近くの山々を見渡しながらの外気浴。サウナの後は、地元の食材を中心に作られたお食事。誰がどのようにして作った野菜なのか、どんな背景があってこの料理があるのか、オーナーである梅守さんが丁寧にお話してくれました。この地域の人の営みを美味しく有り難くいただきました。こういった営みがここでは当たり前のように行われているのだなと、強く感じました。

umeでいただいた朝ごはん。箱を開けると地域で取れた食材が並んだ料理が。みんな嬉しそうに眺めています。

【ゲストハウスKAM INN】

 吉野にあるゲストハウスKAM INNは一風変わったお宿です。というのも、ここを経営する片山さんが、この宿の女将としての顔と山伏としての顔のふたつの顔を持っているからです。宿泊した夜、片山さんから山伏としてのお話をお聞きしました。片山さんにとってはここ吉野が修行の地。いわば、「いつもの森」ですが、ちょうど昨年から片山さんにとっては「いつもと違う森」である全国各地の修行道に入ることが多かったようです。そのようなこともよなよなお話いただきました。翌朝には、片山さんが毎朝行われている朝座勤行という修行に同行させてもらい、吉野のこの宿でしかできない経験をさせていただきました。集合写真のなかで手に持っている手ぬぐいは片山さんからいただいたもの。奈良にいる動物が描かれています。好きな動物ほど大きく描かれているそう。

晩御飯は道の駅で食材を購入して作りました。松本と浅岡がみんなのために作ってくれました。

2人が作ってくれたカレー。3種がけと贅沢です。

朝座勤行に同行した時の様子。片山さんは毎朝毎夕ここでお経を唱えている。

3日間の研修を終えて。

 今回の研修は、奈良の森や町を歩き、そこにある自然に触れて、そこで育った食材を食べ、そこに住む人たちと話をする。そんな3日間でした。普段と違う森や町を歩き、宿泊先でのサウナや朝座勤行など、普段より五感を使ったという感覚が強く残りました。奈良県奥大和での研修を終えて、自分の目で見て感じるということの重要性を改めて感じた気がします。ヒダクマでは「飛騨の森へ来ませんか?」とお誘いし、来ていただいた方に感じてもらうことを大切にしていますが、今後もより一層その気持ちを大切にし、さまざまな方を森へとお連れしたいと思いました。最後に、この合宿に参加し、普段飛騨で森と人との関係を作っているFabCafe Hidaのマネージャーのりなちゃんの言葉を紹介したいと思います。

“誰かと過ごす時間。しかも職場の人と過ごす時間がこんなに楽しいとは思いませんでした。もちろんヒダクマのメンバーとの毎日や飛騨での生活はいつも楽しいですが、接客業という傍らからか、特にコロナ禍では、どこか物理的にも心理的にもバリアを張っている…いつもあのアクリル板のスタンドや、エヴァンゲリオンにでてくるATフィールドのようなもの張りながら、人と関わっているような感覚がありました。それが「MIND TRAIL」を通して、自然にかえり、サウナを通してそのバリアが溶けて、体の形も分からなくなっていくような感覚に陥りました。サウナの中で一度死んで、同じ私として生まれ変わったので、新しい皮膚は薄くて敏感なのに、心は落ち着いている…胸の中に、ぽっかりと心地よい空間が開いている感覚に気付きました。その空間の余白が、隣に居る人の話し声や性格、野菜や果物の味と土の歴史や手をかけた農家さんの顔…など、一つひとつを深く理解する(したいと思う)余裕をつくっているようにも思いました。
そんな体験や、奈良の土地の恵みと出会った方々のホスピタリティに感動し、まだ上手く言葉になりませんが、自分と人と、そして地域との営みについて、より良く分かった気がしています。私も飛騨の町や森と人々との出会いが、こういった体験になればと嬉しく思い、出来ることから従事していきたいです。”

お世話になった訪問先&滞在先

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