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ヒダクマ山観日。森の奥にはクマに人気の老舗レストランがあった。

ヒダクマの山観日(さんかんび)、はじめました。

2019年、ヒダクマは、自社の森(社有林)を開放して、みなさんに普段なかなか入ることができない森に入って自由に過ごしてもらいながら一緒に森のことを考えたり話したりする「山観日」という取り組みをはじめました。

いろいろな立場の人がそれぞれの目線で、山(森)を観てもらって、楽しんでもらい、森の価値を再発見するための機会です。

北欧諸国では、大昔からの慣習で、土地の所有権を問わず、誰でも大自然の森や湖を楽しむことが許されます。自然環境に危害を与えないという前提で、郊外の森を歩いたり、自転車や自動車に乗ったり、スキーをしたりもできます。

これは「自然享受権」と言い、英語では「Everyman’s Right」、誰にもある権利という意味です。
ヒダクマでも、いきなり、いつでもだれでもというわけにはいきませんが、少しずつ「森をひらく」ことをしていきたいと思っています。

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最初の山観日は、6月最後の日曜日の朝。あいにくの小雨ですが、霧がかった幻想的な風景が広がります。

爪痕だらけのブナの木

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参加者のひとりは、FabCafe Hidaで「林縁会議」というイベントを開いてくれているクマ研究者の安江さん。
安江さんは、2週間前に、この森に来て野生動物生態調査用センサーカメラを設置してくれました。それを回収して、確認します。作業道の横の杉の木に設置したセンサーカメラは、2週間の間に、カモシカ、二ホンジカ、ツキノワグマの姿を、計10回撮影していました。

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センサーカメラに映っていた、大人になりかけの若いクマ。

また、山の上の方に登ると、たくさんのクマの爪痕が残ったブナの木を何本か見つけました。

これはクマが秋に好物のブナの実を(春には新芽も)食べるために木登りをしたツメ跡です。
東北の山でクマの研究をしていた安江さんも、これだけたくさんの爪痕が残っているブナの木を見たのははじめてだそう。
昔からクマが何度もブナの実を食べに通っている、言わば行列ができる人気の老舗レストランのような木。
安江さんの観方では、昔に人の手が入ってその後萌芽更新などで形成されてきた二次林であるこの森は動植物の種類がとても豊富で、クマをはじめとする生き物にとって暮らしやすい良い森なのではないかということです。

森と木と人と動物と

それから、昨年秋に試験的にやってみた育成木施業(いくせいぼくせぎょう)の後の様子を見に行きました。

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「育成木」、つまり、「将来より価値が高くなるはずなので、育てると決めた木」として選んだはずのウダイカンバの木が、思っていたよりも元気がありません。

「この木を残したことが、あの木を伐ったことが、ほんとうによかったのか…。」
人が、森の恵みである木材を持続的に活用していくため、環境的にも経済的にも持続可能な森林をつくる育成木施業。それは、森全体と一本一本の木と丁寧に対話し、迷いながら悩みながら手を入れて、その結果を観て、また手を入れていくことを繰り返す作業です。

木だけではなく、時には森で暮らすたくさんの生き物たちとも対話しながら。
(林業的には価値がないけど、クマにとってはすごく価値があるブナの木かも!)

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人と森との関わり方に「正解」はないので、この日の天気のように少しもやもやとしながらも、参加者同士で森と木と人と動物はどう関わっていくのがいいのか、について、しっかり話ができたはじめての山観日でした。

次回の「ヒダクマ山観日」

次回の「ヒダクマ山観日」は、7月30日午前中。カミキリムシの専門家と一緒に山に入ります。詳しくはこちら。
また今後のヒダクマ山観日は、随時ヒダクマのWebサイトのイベントページでお知らせします。

【 Today's Points of View 】

ギンリョウソウ。別名ユウレイタケ。自身では光合成をせずに、菌類を利用して樹木が合成する栄養を間接的に得て生活している不思議な植物。

森の中で踏みつけそうになったヒキガエル。動作は鈍く、肥大した体をのそのそと運ぶ。後頭部にある大きな耳腺から強力な毒液を出す。

長年クマたちにこの木が使われてきたことがわかるツメの跡

つい最近つけられた真新しいクマのツメの跡

FabCafe Hidaに滞在しながら、これからの森について一緒に考えませんか?

ヒダクマでは、今回ご紹介した「ヒダクマ山観日」をはじめ、森に囲まれた町の中のカフェで、森と共に暮らす方法を学ぶ勉強会「森のレッスン」、ヒトと森の境界〝林縁〟で、森に関わりながら生きる様々なものにフォーカスし、語り合う「林縁会議」など、森に関わるイベントを定期的に開催しています。
ヒダクマの拠点である飛騨古川にあるFabCafe Hidaで滞在しながら、これからの森の在り方について一緒に考えませんか?
どうぞお気軽にお問い合せください。お問い合せはこちら。

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