NEWS / BLOG

  • インタビュー
内と外の人が集う、キッチンのあるオフィス

事例:内と外の人が集う、キッチンがあるオフィス

image9

きっとここに来た多くの人が心惹かれるのは、キッチン。

冷蔵庫の中には、各地の美味しい食材が入っています。

ここは、産地と都市を繋ぎ、持続的な農業と流通を支える、農畜水産物の流通・物流プラットフォーム「SEND」や、生産物を早く、確実な収益に変える、生産者向け早期支払サービス「FarmPay」など、ITによる新しい食材流通のためのサービスを開発・運営するプラネット・テーブルのオフィスです。

この空間がどのようにして実現したのか、プラネットテーブル創業者・菊池さんにお話をうかがいました。


聞き手:井上 彩(ヒダクマ) 写真:川瀬 一絵

内と外の関係性を作るオープンスペース


   
  以前のオフィスからここに移転したきっかけを教えてください。

菊池:3つ理由があって、ひとつ目は、スタッフが増えて手狭だったこと。スタートアップだからお金もないし、間に合わせで無理に席をつめていた。無機質で窮屈な中で仕事をがんばんなきゃいけないというか。やっていることは価値のある仕事なのに、楽しめないし、余力もないし、窮屈だし、空気も悪いみたいなところはあったのかなって。ふたつ目が、食べ物を扱っている会社なのにみんなが食べたり、料理する環境が全然なかった。

     キッチンがなかった。

菊池:ちっちゃい水まわりはあったけど、一人ひとりが食べる体験がしにくいから、食材をもっと語れるようにもなっていかない。何やってんだろうなって思って。食材を保管したり、みんなで食べたり、シェアできるようなスペースは必要だなって。

入り口近くのオープンスペース。

菊池:3つ目は外との交流。僕自身は、生産者とも会うし、ほかのベンチャーや技術を持った人や専門家とも会いやすいけど、スタッフたちにとっては閉じちゃってるのね。業務に追われているっていうこともあるけど。だからいろんな人たちが来て、もっとミーティングやディスカッションもするし、人が活動してるところに関わっていくような関係性を作りたかった。だからここでは、入口側をオープンスペースにしている。生産者さんが来た時はもちろん、食べ物に関わる起業家や活動家の人たちで、特にオフィスを構えずにやっているノマドの人たちを対象に、使っていいよって。あの椎茸祭竹村君はうちの冷蔵庫を置いている(笑)。薬草茶の新田さんも結構出入りしてるし、カンボジアへ行っちゃったけど、昆虫の葦苅君も来ていたよ。

壁を取り払い、音を共有する


菊池:
あと、以前のオフィスでは、人数が多いミーティングでは外出していたんだけど、ここでやれるようになった。そのことで会話が聞こえる。そのほうがいいんじゃないかと思う。聞き耳をたててると、学びになったり、誰が来たのか、なんとなくどういう方向で話しているのかもわかる。逆に言うと、言えないことや出さなきゃいけないことこそ、オンラインでやればいいと思ってて。ただ、僕が厳しく言っている時もそれは聞こえるけどね(笑)。

   
  そういう空気を感じる空間。ここがワンフロアっていうのが効いています。

菊池:壁を作ると、部分最適化が進んで、全体最適が起きなくなる。料理と一緒で、一箇所に固まっちゃう。それには壁を取るのが一番早い。一方で、緩やかな境界が必要な場面はある。そんな時に利用するのは本棚で仕切られた一番奥のスペース。プロジェクトルームでもあり、僕や取締役たちが厳しい話をしなきゃいけない時にはあそこで話すことが多い。

家具によって緩やかに仕切られた空間。

奥のプロジェクトルーム。

フロア全体図。


 

 

プラネットテーブル社のチームは3つ。ブランディングとPR、HR・採用を含めて、外の人たちを巻き込むコミュニケーション・チーム、事業企画やシステム開発をするクリエイティブ・チーム、SENDなどのサービスの運営やユーザー対応をするサービス・チームがある。

窓際のカウンターテーブル。

基本的に固定電話があるためサービス・チームがキッチン奥の執務スペースを利用し、コミュニケーションやクリエイティブ・チームが窓側のスペースを使用している。

 

 


 

「キッチンのある会社で働きたい」


   
  斎藤さん(取材に同席されていたプラネットテーブルPR担当のスタッフ)、実際に使ってみてスタッフの声はいかがでしょうか。

斎藤:私はこのオフィスになった後に入社したんですけど、決め手はオフィスです(笑)。

菊池:え?!

     おお!

斎藤:すごく良い気を感じて。キッチンのある会社で働きたいって思っていたんです。みんなの気配を感じ合うことで、怒られているときもフォローしやすいし(笑) 。みんなが集まるっていう感じが良いです。

     どんなふうにキッチンを使われていますか?

菊池:ランチ。めっちゃ美味しいよ。斎藤ちゃん、ちょっと上を開けてみ。

(斎藤さんが冷蔵庫を開ける。)

     すごいです。お肉がたくさん入っています。

菊池:お肉は業務用の冷凍庫なら半年くらいは持つから、ストックしておいて、みんなの賄いに。あと、サンプルで来たものをみんなで食べるっていうのもある。この間作ったのは三色そぼろ。オール牛ひき肉、甜麺醤、いんげんと卵。卵は20個使ったよ(笑)。僕が作った。山菜の天ぷらも。

産地から送られてきた旬の山菜。

菊池さんが作った三色そぼろ。

菊池さんとスタッフが一緒にランチを作っている時の様子

菊池:かつお菜っていう九州の野菜があるの。お肉を焼いて、かつお菜の茎の部分は刻んで。お肉をサイコロに切り、玄米にガーって混ぜて、みんなで食べる。

斎藤:ポップアップ社食やっている山口祐加さんに週二、三で来てもらったり。

     いいなぁ。美味しそう。みんなで一緒に食べるっていうのが一番のコミュニケーションになっているような気がします。

菊池:キッチンを作ってほんとによかったなって思う。食べるって、そのまま「人」だって思ってて。家族が作って出すから安心して食べるし、同じもの食べると同じ感覚にもなったりもする。食べるって人そのものだなって思う。

菊池さんは、全国各地の生産者やそれらの食材を提供するレストランをまわっている。

採れたての山菜。

飛騨に訪れ、地元の農家の方々とお話されている様子。

人の成長とともにオフィスも成長させる


菊池:
ちょうどこのオフィスを作る時、人数がどうなるかもわかんなかったし、人の入れ替えもあり、組織も考え方も色々変えていかなきゃいけないタイミングだった。

image7
菊池:その時はなんとなくその人たちの働き方に合わせて作っていこうってことは決めて、僕らの成長とともにオフィスを成長させればいいっていう考え方で設計していた。つまり、「可変で設計する」っていう前提があって、このキッチンカウンターもそうなんだけど、実は固定しているものがほとんどない。

     確かに!そうですね。

菊池:用途に応じてレイアウトを変えられる。テーブルも一台大きいのを作るっていうのではなくて、バラせるテーブル。

     あちらのテーブルですね。とても可愛いテーブル。

使う人数に合わせて自由に組み合わせ可能なシェアテーブル。

素材には、サクラ、ホオ、クリ、トチの4種の広葉樹を使用している。

菊池:これすごくいいでしょ。テーブルを全部合わせると2m×5mのテーブルになる。これは、入口近くのカフェテーブルと同じで、繋げると結構大きい。キッチンカウンターも大きいんだけど、キャスターが付いていて、移動できるし、仕切りにも使える。

対話でしか生まれないもの

床材の余りを使ってつくってみたらという菊池さんの意見から生まれたカフェテーブル。(写真:ヒダクマ)

天板に床材を斜めに張ったスタイリッシュなデザイン。

     今回は設計が建築家の古市さんで、設計・製作ディレクションをヒダクマが担当しました。菊池さんとの意思疎通がきちんとできていなかったら、この空間はできなかっただろうと思います。

菊池:それはすごくある。重要だなって思っているのは、今の状況が結果としてハッピーなんです。でもハッピーになるように最初からウォーターフォールで設計していたかというと、してない。うちの開発は状況に合わせて作るアジャイル。IT業界だけじゃなく、社会のあらゆる場面で、自分たちが発注者、向こうは業者・受注者っていう観点で仕事をしている人は多くいると思う。僕らは逆で、サービスを作る時もそうなんだけど、一緒に作る時に信頼関係をすごく重要視してる。

image13
     菊池さんはFace to Faceの関わりも大事にされています。

菊池:形だけ整えれば、中身はなくても良い、みたいなものも溢れすぎている。例えば、野菜の直売で、顔写真と名前だけ貼ってても、顔が見えるとは思わない。対話がちゃんとあるというのは重要。何か良いものを作りたければ時には、パートナーシップや対話が必要で、その感覚は、ヒダクマのメンバーとは合う。彼らも話したがるよね、すごくヒアリングしてくるし。オフィスとか家具を、ヒダクマとは一緒に作って育てる。作り続けるっていうか。作って終わりじゃないからね。育てるっていう感覚でやれたらと思ってる。

     そう言っていただけて嬉しいです。家具・空間、関係性も作り育んでいく。

菊池:もうひとつ、言い足しておくと、ヒダクマはうちを実験台にしてるところがあるから(笑)、プロトタイプがここにある。実際、うちを見て「あれほしい」と、ヒダクマに発注してくれた人がいる。結論、プラネットテーブルはヒダクマのショールームでございます(笑)

     ありがとうございました (笑)。

プロフィール

菊池 紳(きくち・しん)
プラネット・テーブル株式会社 創業者
起業家。ビジネス・デザイナー。1979年東京生まれ。大学卒業後、金融機関や投資ファンド等を経て、2013年に官民ファンドの創立に参画し、農畜水産業や食分野の支援に従事。2014年にプラネット・テーブル㈱を設立。『SEND(2017年グッド・デザイン金賞 受賞)』、『Farmpay』など、“食べる未来”をテーマに、デザイン/テクノロジー/サイエンスを活用し、未来への提案となる事業を生み出している。Next Rising Star Award(Forbes Japan)受賞、EY Innovative Startup Award(EY)受賞。

会社概要

プラネット・テーブル株式会社
世界の「生産者支援」に取り組むスタートアップ。 「すべての人が、食べ物に参加する社会」の実現を目指して、テクノロジーやデザインを活用した生産者支援プラットフォームを提供している。

《 プラネット・テーブルオフィス 》

クライアント:プラネット・テーブル株式会社
設計:古市淑乃(古市淑乃建築設計事務所)WIZU Inc.
設計・製作ディレクション:岩岡孝太郎・浅岡秀亮・甲斐貴大・飯山晃代 (ヒダクマ)
製作:すぎした工房、田中建築、Go Products

オフィス環境を家具から見直していきませんか?

ヒダクマでは、オフィス家具の提案から設計、設置まで、皆さまに寄り添ったお手伝いをいたします。
お問い合わせはこちら