NEWS / BLOG

  • case
働く人と共に可変する、プラネット・テーブル社の新オフィス

[Outline] 自由にレイアウトができる空間を様々な家具でつくる

独自の農畜産物の流通・物流プラットフォームを開発し、生産者と食の未来を支えるビジネスを展開するプラネット・テーブル株式会社。もともと渋谷にオフィスを構えていましたが、人員が増え手狭になる等、さまざまな課題を解決すべく、2018年4月末に同じく渋谷エリア内で移転しました。ヒダクマは約1年かけて対話を重ねながら、プラネット・テーブルの大切にしている思いや理念をベースに、フローリングからテーブル、カウンターといったオフィス家具を製作しました。設計を担当したのはFabCafe TokyoやKanamaisonを手がけた古市淑乃さんとヒダクマです。

_I8A2513

空間作りで大事にしたのは、働く人と一緒にオフィスも成長出来る「可変性」。代表の菊池さんは「ちょうど組織の在り方や働き方を大きく変えていかねばいけない時期で、どんな人が入って来るのか予測がつかなかったのですが、働く僕らの成長と共にオフィスも成長すればいい、という考え方で設計・製作をお願いしました」と語ります。

製作側はその方針に沿って、各エリアの境界線に壁や段差を作らずに、シェルフで緩やかに仕切る、ワークテーブルも大きなものを一台置くのではなく、必要に応じてバラして利用出来るような家具の仕様にする、といった工夫をしました。ほとんどの家具は可動式で、固定のものはオフィス内に見当たらないほどです。人の動線にも配慮した、フレキシブルな空間使いが可能となりました。

【プロジェクト概要】
    支援内容
  空間設計・家具什器設計
  製作ディレクション
  家具什器プロトタイプ製作
  製作図作成・3Dモデリング
  木材選定・調達
  工程管理
  加工・製造
  搬入・設置

【プロジェクト体制】
 クライアント:プラネット・テーブル株式会社
 設計:古市淑乃(古市淑乃建築設計事務所)WIZU Inc.
 設計・製作ディレクション:岩岡孝太郎・浅岡秀亮・甲斐貴大・飯山晃代 (ヒダクマ)
 製作:すぎした工房、田中建築、Go Products

[Outputs] クラフトマンシップを大切に、オーダーメイドのオフィス家具たち

農畜産物のつくり手支援を行うプラネット・テーブルは、オフィス家具についても「クラフトマンシップを大事にしたい」という信念を持っていました。山の資源を有効活用したオーダーメイドの製品開発を得意とするヒダクマの考えと一致し、実際に飛騨へ足を運び、ミーティングを重ね、製作側と対話しながら細かい仕様を決めていきました。
結果、自分たちの納得のいく、個性的かつスタイリッシュなテーブル等の家具が生み出されました。

11_西野製材所_02

■ カフェエリア
キッチンカウンターとキッチン

_I8A2467
食を扱う会社として、食べものを楽しんでシェア出来るスペースをつくりたいという要望に応えた、5.5mを超える象徴的なキッチンカウンター。ナラの角材が積層されたようなデザインに仕上げました。日々ここで皆で料理したり、美味しいものとともに楽しいコミュニケーションが生まれています。
<仕様>
 材料:ナラ
 サイズ:W3100 × D800 × H850/W2400 × D800 × H850
 仕上げ:浸透性ウレタン

食器棚
既存の作業台の高さに合わせた食器棚。使い勝手を考え、可動棚を付けました。
<仕様>
 材料:クリ
 脚仕様:クリフラッシュ
 サイズ:W1200 × D600 × H800
 仕上げ:ウレタン

造作棚板
棚受の金物が見えない、すっきりとしたデザインに仕上げました。
<仕様>
 材料:クリ
 サイズ:W3700 × D300
 仕上げ:天然オイル

カフェテーブル

入り口から一番近く、社内外の人が交わるカフェエリアに配置するテーブルは、コミュニケーションをしやすい雰囲気のカフェ風にしたい、という要望がありました。そこで3種の木材を斜め貼りにすることで、スタイリッシュな雰囲気を醸し出します。2台のテーブルを繋げると木目が屈折して見え、ひと味違った印象に。実はこのテーブルはフローリングの余り材で作られており、さらに無垢材よりも低コストかつ軽量化を実現しています。
<仕様>
 材料:まぜまぜ広葉樹フラッシュ(クリ、ブナ、ナラ)
 脚仕様:粉体ブラック塗装(スチール)
 サイズ:W800 × D800× H720
 仕上げ:天然オイル
 台数:6台

窓際カウンター

_I8A2525
窓際カウンターテーブルは、こちらもフローリングの余り材を短手(みじかで)方向*に横貼りしていくことで、5mのゆったりとした長さを実現しました。テーブルの脚はオリジナルの金物で壁に固定し、足回りに十分なスペースを確保。日当りのよい「縁側」のような雰囲気を生み出しています。
*長方形の距離が短い方向。
<仕様>
 材料:まぜまぜ広葉樹フラッシュ(クリ、ブナ、ナラ)
 脚仕様:粉体ブラック塗装(スチール)
 サイズ:(A)W5500 × D440× H900 (B)W5500 × D600× H720
 仕上げ:天然オイル

■エントランス
受付カウンター
こちらもフローリングの余り材を活用し、農作業リヤカーをリメイクして製作。普段は来客時の受付として、イベント時には移動出来る仕切りやカウンターとして使いたい、という要望に応え可動式カウンターに仕上げました。プラントスペースで植物を育てたり、フローリングの実(サネ)*の溝にDM等を差し込めるデザインになっています。
*板と板をはぎ合わせるとき、一方の板の側面につける細長い突出部。
<仕様>
 材料:ヒノキ合板(本体)
 脚仕様:クリ(フレーム)
 サイズ:W900 × D600× H1800
 仕上げ:天然オイル

 

■シェアエリア
シェアオフィステーブル

プラネット・テーブルの可変性のあるワークスタイルに合わせ、シェアスペースのテーブルは8台1セットの仕様ですが、使う人数に合わせて自由に組み合わせられるスタイルにしました。材料には4種の広葉樹を用い、カラフルでそれぞれ異なる木目の出方がユニーク。そして、パズルのように全てを組み合わせた時に、木目の方向が揃うというお楽しみが。もともと千切り(ちぎり)*でテーブル同士を固定出来る案でしたが、社員の方々はきっと自由に動かして使うに違いないと予想し、このような仕様になりました。
*木と木を接合させる際、補強のためにうめ込む鼓形の板片。
<仕様>
 材料:サクラ、ホオ、クリ、トチ
 脚仕様:ステンレス(一本脚)
 サイズ:(合計)W4000 ×D2000
 仕上げ:浸透性ガラス塗装
 台数:8台1セット

■ミーティングエリア
会議デスク

_I8A2555
一番奥に位置するミーティングエリアに置くテーブルは、渋くて深みのあるクリ、タモを組み合わせることで、落ち着いた独特の色合いのテーブルになりました。
<仕様>
 材料:まぜまぜ広葉樹(クリ、タモのスポルテッド)
 サイズ:W2500 × D1000× H710
 仕上げ:浸透性ウレタン

ホワイトボード
半透明で軽いポリカーボネートをホワイトボードに転用。飛騨産の広葉樹クリの相欠(あいかき)*加工で製作した土台に、ポリカーボネートを差し込むだけで固定できます。可動式でシェアスペース内の空間を緩やかに仕切ります。
*二つの木材の継ぐ部分を互いに半分ずつ欠き取り、重ね合わせて継ぐ方法。
<仕様>
 材料:クリ(フレーム)
 脚仕様:クリ(土台)/ストッパー付きキャスター
 本体仕様:ルメカーボ(クリア)

 

■執務エリア
フローリング
飛騨の森林で伐採された、幅も樹種も均一ではない小径木を集め、それを長さ180cm以下、幅12 cm以下に揃えることでフローリング材への活用を可能にしました。使用した樹種はクリが8割、ブナ、ナラがそれぞれ1割の「まぜまぜ広葉樹」。その不揃いな素材が却って面白いアクセントとなり、個性的なフローリングに仕上りました。
<仕様>
 材料:まぜまぜ広葉樹(クリ、ブナ、ナラ)
 サイズ:80㎡
 仕上げ:超仕上げ/ステイン/ガラス塗装

 

■全体
シェルフ

空間作りにおいて、壁で仕切らず緩やかに仕切ることを目指し、スペースとスペースの境界線には、適度に目線が抜けるシェルフを設置。ヒダクマが開発した飛騨産の広葉樹ホオノキを使用したボードで組み立てました。
<仕様>
 材料:クリ25mm角材(フレーム)、
ホオノキストランドボード(仕切り)、フレキシブルボード(棚板)
 仕上げ:白木仕上げ

_I8A2565

○ミーティングエリア間仕切シェルフ
一番大きいサイズで天井と床に直接固定しました。大事な会議も行うスペースでありながら、「セミクローズドで人の気配を感じる空間に」という要望から、こちらもシェルフを仕切りに。ケンドン式*のボードにより、自由に棚の高さが付け替え可能です。シェアオフィスのゲスト用ロッカーも、下段に20台収納可能な仕様。
*扉や蓋をはめ込む方式で、上下に溝をつけ、戸や蓋を上げ落としに建て込む方式。
サイズ:W2790 × D414× H1962

プロジェクター台(キャスター付き)
シェルフと同じデザインで、キャスター付きの小型の台。ホワイトボード用のペン等を収納でき、ミーティング時に活躍します。
サイズ:W414 × D414 × H801

○執務エリア間仕切シェルフ
固定席のある執務エリアと、キッチンやゲストが出入りするエリアの仕切りに設置。動線を考慮し、通路を確保しつつ、エレベーターから入ってきたお客様をお迎えしやすいよう目線が抜ける構造にしました。スタッフ用ロッカー兼収納としての役割も。
サイズ:W1575 × D414× H1575/W1962 × D414× H1575/W4284 × D414× H1575

○カフェエリア間仕切シェルフ(キャスター付き)
キャスター付可動式で、人の往来に合わせて自由に動かせる仕様に。高さも人の目線を妨げないよう、低めに製作しました。
サイズ:W1962 × D414 × H1188


 

[Process] 飛騨の職人とのコラボレーションでアイデアを具現化

製作では、ヒダクマの飛騨の大工・家具職人とのネットワークを駆使し、そのプロジェクトごとに最適なものづくりを目指します。飛騨の職人たちの高い技術に支えられ、アイデアを高い品質で具現化することができます。

飛騨の大工の製作風景(田中建築)

浅岡(ヒダクマ)が窓際カウンターを設置する様子。この設計も担当した。

ステップバイステップの対話を経てつくり出す

自由にレイアウト可能なテーブルを提案

製作過程は約1年に及び、第5期に分けて製作・納品しました。プラネット・テーブル社内ではオフィス移転後のスタッフの増員、配置などの状況を見ながら、アイディアをじっくりと考え、一方のヒダクマはヒアリングを重ねながらクライアントのアイディアに沿ったイメージを起こす、といった対話が繰り返し行われていきました。

181024_シェアテーブル_s
シェアオフィステーブルのはじめのデザイン

全体図(第5期の提案)

カフェテーブル天板の製作では、フローリングの余り材を使うという菊池さんのアイデアを、板を斜めにはることで印象的なデザインに

カフェテーブル天板の裏の反り止め

 


 

[Member]

 

メンバーズボイス

“生産者支援や、食材ロスをなくして有効活用することに取り組んでいるので、オフィスを一新するならば、山にある素材を有効活用したい、作り手さんと仕事したい、という思いが根底にありました。そして、何か新しいものやサービスを作るときは、デザイナーやエンジニアとの信頼関係や対話がないと、良いものは絶対に作り出せないと思っています。製作メンバーは深くヒアリングしてくれて、じっくり話し合うことが出来ました。作って終わりではなく、ヒダクマさんとはオフィスや家具を「一緒に作って育てる」、そんな感覚で今後もご一緒出来たらと思っています。(プラネット・テーブル株式会社 代表 菊池 紳)

会社概要とプロフィール


プラネット・テーブル株式会社
世界の「生産者支援」に取り組むスタートアップ。 「すべての人が、食べ物に参加する社会」の実現を目指して、テクノロジーやデザインを活用した生産者支援プラットフォームを提供している。

菊池 紳(きくち・しん)
プラネット・テーブル株式会社 代表取締役社長
起業家。ビジネス・デザイナー。1979年東京生まれ。大学卒業後、金融機関や投資ファンド等を経て、2013年に官民ファンドの創立に参画し、農畜水産業や食分野の支援に従事。2014年にプラネット・テーブル㈱を設立。『SEND(2017年グッド・デザイン金賞 受賞)』、『SEASONS!』『Farmpay』など、“食べる未来”をテーマに、デザイン/テクノロジー/サイエンスを活用し、未来への提案となる事業を生み出している。Next Rising Star Award(Forbes Japan)受賞、EY Innovative Startup Award(EY)受賞。

写真:川瀬 一絵(ゆかい)
文:石塚 理奈   

 

オフィス環境を家具から見直していきませんか?

ヒダクマでは、オフィス家具の提案から設計、設置まで、皆さまに寄り添ったお手伝いをいたします。
お問い合わせはこちら