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鉋(カンナ)を気軽に体験できるカフェ・FabCafe Hida

日本の木造建築では必ずと言っていいほど使用されている「鉋(カンナ)」。
古い建物が好きな人や、海外のお客様で「使ってみたい」と思っている人はたくさんいらっしゃいます。

しかし、
「道具を揃えないといけない」
「よくわからない」
「普段の生活では使わない」
などの理由で諦めていた人も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

そんな人でも、FabCafe Hidaの「MY箸づくりプラン」で、宿泊でも日帰りでも、気軽に鉋を体験することができます。

このブログでは、鉋のことをより身近に感じてもらえるよう、その歴史、使われ方、仕組みやお手入れの方法など詳しくご紹介します。鉋という木工道具を通して、木のものづくりや、関わる人々に興味を持っていただけたら嬉しいです。

鉋の歴史

みなさんが「鉋」と聞いて、一番思い浮かびやすいのは、四角い木に刃物が斜めに差し込まれた形のものだと思います。それらは「平台鉋」と呼ばれるもので、室町時代中頃に中国から伝わったと言われています。
室町時代より前の時代には「槍鉋(ヤリガンナ)」という、鑿(ノミ)と鉋の特徴を両方併せ持ったような形をしたものが日本では鉋と呼ばれ、主に神社仏閣の柱材、大きな針葉樹を加工する時に使われていたそうです。

鉋の現在の使われ方

鉋は、現在でも現場や最終仕上げで使われます。
平鉋(ヒラガンナ)は木造建築に使われることの多い鉋ですが、家具製作にも使われています。
家具では目違い(メチガイ:2つの材を組み合わせた時にできるズレ)をとる際に使ことが多いです。
あとは意匠として。塗装ではなく鉋仕上げで仕上げると、木の繊維を壊すことなく表面を整えることができるため、木の表面に塗装をしなくてもツヤが出て、いい味がでます。

鉋をかけるためには、台と刃両方の手入れが必要です。台も木でできているため、常に形が変わります。台の整備、刃の研ぎ、使用前の調整など、鉋は使用するまでに手間がかかることもあり、現在カンナ仕上げはあまり見かけない高級な加工方法となっています。

刃のセッティングをしてみましょう

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●まず刃の出し方を調整しましょう。刃が抜け落ちて怪我をしないよう、二枚の刃の頭を人差し指で押さえます。
(ヒダクマ / FabCafe Hidaで主に使っているのは、刃が二枚合わさっている「二枚刃鉋(ニマイバガンナ)」です。刃が一枚の鉋を「一枚刃鉋(イチマイバガンナ)」といい、一枚刃の方は使いこなすのがとても難しいと言われています。)

●台頭と刃を叩いて、削りたい厚み分だけ刃を出します。(基本は0.1~0.2mmがベスト)

●玄翁(ゲンノウ)で台頭を叩けば刃がひっこみ、かんな身の頭を叩けば刃が出ます。
(木工の用語はたくさんあり、人によって呼び方は様々ですが、カナヅチ / ハンマーの事をここでは玄翁と呼びます。)

カンナ身の頭を叩くと刃が出ます。
(ちなみにこれは玄翁ではなく木槌(キヅチ)で叩いています。)

台頭を叩くと刃が引っ込みます。

●カンナ身を大体の場所に合わせたら、裏金(ウラガネ)と呼ばれる小さい方の刃物の頭を叩きましょう。
テーパーがついているため、ストッパーのように刃が固定されます。
※この時、刃先が傷んでしまうため、裏金の刃先がカンナ身の刃先より出ないよう、注意してください。

●刃を水平に出す事が重要です。刃を左右から軽くで叩いて、水平になるように調整しましょう。刃がきちんと出ているかは目視が一番良いですが、少ししか刃は出ておらずとても見えづらいため、試し材を鉋がけしてみて刃の出具合を確認するのが確実です。
※刃を触るときは怪我に注意。間違っても触っている際に指を横にスライドしてはいけません。

裏金の刃先が、カンナ身の刃先より出てしまった状態。

裏金の刃先は、カンナ身の刃先より少し手前の状態で止めましょう。

歯が斜めに出てしまった状態。

ちょうどよく刃が出た状態。
(髪の毛一本分)

刃を出しすぎてしまった状態。

鉋の仕組み

鉋はざっくりと言うと、「台」と「刃(カンナ身、裏金)」でできています。
台の下面を総じて「下端(シタバ)」と呼び、ここを調整することを「下端調整(シタバチョウセイ)」と言います。鉋で大事な部分は、全て台の下端に集まっています。そのため、作業を一旦中止する時など鉋を置く際は、台を横にするなどして台の下を傷つけないように気をつけましょう。

鉋の台は硬い樫(カシ)の木でできています。木でできているため、時間が経つと収縮し、少しづつ動き(歪み)ます。台の動き方は1つひとつ違うため、常にメンテナンスが必要です。

また、加工したい材の硬さや工程、目的によって、鉋の刃先や下端の調整も変えなければいけません。調整は大きく分けて、荒仕工(アラシコ)、中仕工(チュウシコ)、仕上げカンナ(シアゲ)の3タイプ。それぞれ一回で加工できる厚みが違います。

実は加工する材が針葉樹か広葉樹かでも、仕込み方が違うんですよ。柔らかい針葉樹を加工する時は刃先は鋭く、硬い広葉樹を加工する時は角度を鈍角にします。それぞれの調整はだいぶ時間がかかるため、鉋を頻繁に使う職人は複数台持っていることが多いです。(ちなみに鉋を数える時は1丁(イッチョウ)2丁(ニチョウ)…と数えます。)

鉋で木が削れる仕組みを絵にしてみました。

鉋で木を削ってみよう

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鉋を握る時は利き手で台の中央をしっかりと押さえ、反対の手は台頭か刃に指をかけ、軽く押さえます。
重要なのは、木材に鉋を垂直に押し当てる力です。 弱い力だとグラグラと安定しないため、きれいに削ることができません。また、力みすぎると材に刃が食い込みます。しっかりと引き、安定して削るために下っ腹に力を込めましょう。腰をほどよく落としてゆっくりと引きます。

鉋は削りきる直前、木材の最後のところが難しいです。最後まで力を抜かずに、かといって、斜めに入らないよう水平に抜き切ります。

削る時は木目(木の繊維の向き)にも気をつけましょう。
木目に逆行していることを「逆目(サカメ)」。木目に沿っていることを「ならい目(ナライメ)」(順目(ジュンメ)とも呼びます)。逆目を削って木の繊維がむしり取られてしまうことを「逆目ぼれ(サカメボレ)」と呼びます。選ぶ木によっては逆目とならい目、両方の性質を持っている材もあるため、できるだけ逆目の部分が少ない向きを選んで削りましょう。

サカメボレの様子。

鉋の持ち方。

鉋の手入れ

  1. 乾燥したところに置き、水がかかったり、湿気の多いところにはおかない
  2. 日の当たるところにはおかない
  3. 置く時は下端を下にしておかない
  4. 使用後は刃先をほんの少し引っ込めておく

他にも、刃や台には油を塗る / 塗らないなど、道具の扱い方や呼び方は人によってそれぞれです。地方によっても違うのでしょうか。学べば学ぶほど、正解がない世界だなと感じます。木工道具の世界は奥深いです。

飛騨の大工さんをサポートする金物屋さん「マルサンカナモノ」

そんな奥深い鉋ですが、さすが飛騨。街の金物屋さんが、今も大工さん達のために良い道具を揃えて取り扱ってくれています。ヒダクマから歩いて1分の所にある「マルサンカナモノ」は、昔から大工さんたちの大工道具や、機械刃物の研ぎ、道具の仕入れまで一環してサポートしてくださっている金物屋さん。朝早く現場に出勤する大工さん達のために、朝7時からほとんど年中無休でお店を開けてくださっています。

店主の渡辺さんは、ご自分で電動工具の整備や修理も行っているので、道具の構造から仕組みまでとてもお詳しいです。今も毎日、いろんな方々が渡辺さんのお店に出入りする様子が見られます。
(ちなみにマルサンカナモノさんのお店も、伝統建築の面影残る建物なんです。店舗の奥に蔵と天窓がさりげなくあって、この土地ならではの風情が感じられます。)
地域のつながりが大切なこの地域で、私たちも一緒にものづくりをさせていただけることが、とてもありがたいです。

大工道具から日用品までギュッと詰まった、地元の方々を大切にしている金物屋さんです。
【マルサンカナモノ】
 〒 509-4235 岐阜県飛騨市古川町弐之町7-16 TEL: 0577-73-2538

店主の渡辺さん。

大工さんのために揃えた鉋は、桐の箱に大切にしまわれています。

使ってこその道具です。手入れの仕方は渡辺さんに聞いてみましょう。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。鉋にまつわる話、いかがでしたか?
鉋のことが以前より身近に感じてもらえていたら嬉しいです。

鉋で仕上げをした木を飛騨で実際に見てもらったり、体験を通して質感を感じてもらえたら、より一層鉋の魅力を知っていただけると思います。
ぜひヒダクマ/FabCafe Hidaへ、鉋体験しに来てくださいね。

「鉋(カンナ)」を使った木工体験をしませんか?

ヒダクマ / FabCafe Hidaでは、飛騨の広葉樹を鉋で削って自分だけのお箸を作れます。
そのほか様々な木工体験プランを気軽にお楽しみいただけます。
お子様から大人、初心者の方も、ヒダクマの工房スタッフがサポートし、安心して製作できますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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